■サッカーブログランキングに参加しています、ご協力をお願いします■
にほんブログ村
にほんブログ村
筆者、久しぶりのアウェイ遠征。仙台から片道500kmを越える高速道路の路程を、長野県に向けて進むにつれ、次第に眼前に広がり始める、風光明媚な山岳風景。地元の方々にとっては「いつもの風景」でも、初めて訪れる者にとっては「絶景」である。
そして、今節の戦いの地である松本市に近づき、移動車両の目的地として目指していた "大芝生駐車場" に到着したとき、私たち一行を出迎えたのは、大迫力の航空機離発着ショーを堪能できる、空港の滑走路すぐ脇の広大な芝生の草原の美しさだった。
今節の戦いの場となる、松本平広域公園総合球技場は、信州スカイパークという広大な敷地の中のスタジアムであるが、その敷地は、なんと「信州まつもと空港」の敷地に隣接。ほぼ、同一敷地内に、スタジアムと空港が存在すると言っても過言はないだろう。
遠征前の事前の現地情報調査にて、「ふーん、空港のそばにあるスタジアムなんだ」と、デジタルな情報として知り得てはいた。が、いざ現地に来てみると、その光景を初めて見る者にとっては、アナログな感性を刺激される、サプライズなビュー・スポットだった。おそらく、Jリーグ開催ベースでは、日本一空港に近いスタジアムなのだろう。
これが、アウェイ遠征の醍醐味の一つだ。しかも、全く足を踏み入れたことのない、知らない土地へ赴き、初めて観る光景に感動を覚える愉しさは、Jリーグのアウェイ遠征という目的を以て移動するサポーターにとって、そうしょっちゅう味わえるものではない。今回は、J1初参戦となる松本山雅FCとの対戦によって実現したものだ。こういう楽しみもあるから、サポーターは辞められない。
そして、大芝生駐車場から、今回の最終目的地である「アルウィン」へ。シャトルバスに乗って移動し、待ち合わせの友人と合流して着席。程なく聞こえてくる、ジェットエンジンの轟音と共に、飛行機が離陸して行く姿を、ほぼ真下から観覧。サッカーの試合を観に来たはずなのに、まさかの航空ショーを堪能。見慣れない者にとっては、異次元の感動すら覚える「お出迎え」に、来て良かった、との実感を覚えた。
さて、肝心の試合である。
先発の顔ぶれに、今節も期待のウイルソンの名前がなく、彼はベンチスタートだった。奥埜と先発2トップを組んでいたのは、3日前の清水戦で、仙台移籍後初ゴールを挙げたFW金園。確かに、直前の試合で「結果を出した」訳ではあるが、だからと言って、この一戦で、ウイルソンを押しのけてまで先発するほどの期待感があるのか?と、一抹の疑問が脳裏を過ぎる。清水戦でもベンチスタートだったウイルソンは、このリーグ戦の先発を見据えていたと思っていた。だが、大方のサポーターの期待とは裏腹に、何を理由としてか、ウイルソンはこの一戦でもベンチスタートとなった。
「ウイルソンが居ないと攻撃がままならない」
その心配は、仙台のサポーターなら、誰しもが思っていた事だろう。斯くして、その不安は的中する。前線にウイルソンが居ないだけで、攻撃で前線にボールが収まらない仙台。それでも、何とか松本の裏を取ろうとして、必死にタイミングを伺い続ける奥埜。3日前の清水戦に続き、今度はリーグ戦での初ゴールを狙う金園。だが、中盤からのボールが、なかなか彼らに入らない。今季未だホームで未勝利の松本のディフェンスの執念が、仙台の攻撃のミスを誘い、停滞させる。松本の厳しい前線からのプレスに屈し、ボールを持っても、横パスやバックパスで、様子を伺い続けるしかない仙台。意を決してボールを前線に送り込もうとしても、パスミスから逆にカウンターのピンチを受ける。
対する松本の攻撃は、FWオビナにボールを集めるシンプルな展開。だが、ウイルソンの居ない仙台にとって、充分に驚異だった。風上に立っていたはずの前半、決定機そのものの数も少なく、ゴールの臭いが全くしない。とても、15位に沈むJ1初参戦のチームを相手にしているとは思えない、ミス連発の拙攻拙守で、全く良いところなく、前半をスコアレスで終えた。
仙台サポーター陣取るアウェイ席から、容赦なく飛び交うブーイング。無理もない。あんな為体な内容の試合を観に、仙台から500kmも離れたもの松本の地へ来た覚えはないのだ。少し暑めの気温や、中2日のアウェイ連戦という状況ではあったものの、それを差し引いても、あまりにも期待薄な展開。ウイルソン抜きだと全く戦えない事を露呈したに等しい、厳しい内容で試合を折り返した。
迎えた後半。
こんな状況では、ウイルソンの投入も早めに来るだろうと予想。また、他の選手にも、何らかの指示やハッパ掛けがベンチからあるものと思い、後半の頭からの奮起に期待して試合に見入る。しかし、選手の動きには、何の改善も観られない。風下に立った後半は、むしろ、ボールを更に前へ運べなくなってしまった感もあり、サポーターにも焦燥感が募ってくる。
こんな状況では、先に失点してしまうと、余計に苦しくなるものだ。そうなる前に、早くウイルソンを投入して、膠着する状況を打破したいところ。しかし、更に仙台を苦境に追い込む展開が待ち受けていた。後半14分、自陣ゴール前での混戦を征し切れず、最後は松本のMF8・岩上に押し込まれ、やってはいけない失点を許してしまった。
後半15分。松本1-0仙台。
その失点が決まった瞬間、仙台以外の、スタジアム中のほぼ全ての松本サポーターが、タオルマフラーを振り回す。その光景が、あまりにも圧巻過ぎた。この地に根付き始めているサッカー熱が、今季のホーム初勝利を信じて、その温度を増している。ホームチームとサポーターの一体感、それを実感するに足りる光景だった。
さて、このままでは終われない仙台。当然、すぐにウイルソンの投入があってしかるべき、と、仙台サポーターなら誰しもが思っていたはず。しかし、その期待を裏切るかのように、どういう訳か、その腰を上げるそぶりすら見せないベンチワーク。
失点から、3分、5分と、時間がただジリジリと経過。まだベンチは動かない。何故だ??この状況で、ウイルソンの投入以外に状況の打破は有り得ない。ようやく7分後くらいでウイルソンが呼ばれ、後半23分にピッチへ。流石にウイルソンが入ると、そこから、何かを思い出したかのように、それまでほぼ全く機能しなかった攻撃が機能し始める。ボールの収まるウイルソンが居るだけで、仙台の攻撃が活性化。だが、結果的にウイルソンの投入が遅くなったため、残された時間は、20分少々とアディショナルタイムのみだった。
当然のように、追い付きたいと「攻める仙台」vs 逃げ切りたいと「守る松本」の構図へとシフト。だが、焦りからか、疲れからか、パスミスや連携の悪さが目立つ仙台。せっかくウイルソンに収まっても、そのサポートが足りず、松本の執拗なプレスの前に、ボールを失ってはカウンターのピンチを招く展開を繰り返し、苛立ちと焦りだけが募っていく。
終盤になっても動かない得点。37分には、多々良を下げて蜂須賀を。42分には、茂木を下げて山本を投入するも、得点は動かず、そのまま試合は終了。終了間際には、線審の判定に異議を訴えたウイルソンが警告を貰ってしまった。
松本側の選手たちの「勝ちたい」気持ちが見えたのとは裏腹に、仙台側の選手たちからは、同じ気持ちの見えなかった試合内容。当然、ハーフタイムのときと同じようにブーイングが飛び交った。
不慣れなピッチ、少し暑めの気候、許した先制点、遅きに徹したウイルソンの投入。そして何より、ウイルソン抜きでは、得点の臭いを発してくれない攻撃陣。選手も頑張ったとは思うが、良かった点を殆ど見出せず、ただ、勝ち点ゼロという結果だけが虚しく記録された一戦の様にも思われた。
長いシーズンの間には、こういう一戦もあるという事は判っているつもりではあるも、それがよりによって、何も、久しぶりのアウェイ遠征のタイミングで来なくても。。とは筆者の気持ち。だが、これもサッカーだ。負けて悔しい思いをする可能性が嫌なら、初めから遠征などしない。勝って、現地で共に歓びを分かち合える可能性に賭けての参戦の結果だ。素直に受け入れるしかない。
試合以外の面では満点級の今回のアウェイ遠征だったが、その代償が、よもやの勝ち点ゼロだった。帰路の車内では、ウイルソンが先発を回避した理由、そして、失点からウイルソンの投入までもが遅かった理由について、その談義が断続的に続いた。
翌朝の河北紙にて、その理由がコンディション不良だと判った。もしかしたら、水曜日のナビスコカップ清水戦の時点から、もうコンディションの問題を引き摺っていたのかもしれない。それなら、この松本戦で、先発を回避した理由も、失点からの投入が遅れた理由も判る気がする。逆を言えば、そんなコンディション不良な選手を、判断が遅れてでも投入せざるを得なかった訳だ。如何に、攻撃がウイルソン頼みに傾倒しているかが良く判る。
GW連戦の入り口で、垣間見えた、仙台のボトルネック。単純に、ウイルソンのコンディション回復を願うだけでは駄目な状況である事は、誰しの目にも明らかだ。菅井は?ハモン・ロペスは?清水戦にも、松本戦にも、現状の切り札と思える彼らの名前は、ベンチにすら無かった。
公式戦3連敗。このままズルズルと行きたくはないが、かと言って、コンディションが完全でない選手を使う事にも抵抗はある。監督を初めとする、コーチ陣の苦悩が伝わってくる様だが、容赦なく、試合はやって来る。
サポーターとしては、気持ちを切り換えて、鹿島戦を見据えるしかない。選手らの、コーチ陣らの奮起を願って-。
■サッカーブログランキングに参加しています、ご協力をお願いします■ にほんブログ村 |