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J1 前期 第09節(通年09節) vs 広島戦プレビュー 気が付けば、1年近く勝てていないアウェイ。それでもやってくる、強豪とのアウェイマッチ。リーグ3連勝中の広島 vs リーグ3連敗中の仙台の構図だが、単純な「攻める広島×守る仙台」の様相にしてはいけない。まずは連敗ストップが至上命題も、姿勢はギリギリまで勝利を目指す。キープレーヤーはやはり、直近で得点を挙げている、あの選手か。

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 開幕からのリーグ戦5試合を無敗としながら、その後に3連敗と低空飛行を続ける仙台。だが、GW連戦の真っ直中では、問題点を見直す時間も、それを修正する時間も限られる。連敗脱出という "結果" が欲しい仙台にとって、今節の相手となる広島は非常にやっかいな相手だ。

 広島は目下、リーグ戦では5勝1分2敗の4位。それも直近の3試合を3連勝とし、一気に順位を上げてきた。首位まで勝ち点差4と急接近しており、彼らにとっては、2015年のファーストステージ優勝へ向け、絶対に落とせない一戦となる。当然、この仙台戦へ向けては、3連勝の勢いに乗り、ホームで仙台を迎撃する気満々で居るに違いない。

 
だが、そんな広島にも「小さな穴」が見え隠れする。実は今年の広島は、現在リーグ3位となる6失点の堅守の中においても、その半分の3失点が、前半15分以内に喫しているものだ。うち1点こそ、第2節の松本山雅戦でFWオビナにPKを決められたものではあるが、あとの2失点は、ここ3試合で、FC東京のFW武藤嘉紀(開始1分)と、横浜FMのFW伊藤翔(開始4分)にやられたもの。どちらもポジションはフォワードだ。
 
それに、第2節の松本山雅戦においても、前線のFWオビナをターゲットとした松本のカウンターから始まった波状攻撃を受け、MF森﨑和幸が溜まらず相手を倒してしまってのものだった。
 
もしかしたら、今季の広島は、何か、試合の入りに対する集中力のようなものの欠如があるのかもしれない。その3失点こそ、広島からみれば全てアウェイでのものではあるが、アウェイながら前半15分のうちに3失点もするという事は、対戦相手のモチベーション次第では、ホームでも充分に失点する可能性はあるものと推測。そこを「拠り所」として、今節の戦い方を考えてみたい。
 
なお、補足として、その前半15分までの間に、広島は今季ここまでの10得点中、3得点を挙げている。つまり、今季の広島にとって、前半15分までの間に、得点も失点も多く発生しているのだ。言い換えれば、広島との対戦は、前半15分までの間に「試合が動く」可能性が充分にある。
 
それならば、今節の広島の対戦相手となる仙台は、アウェイながら、むしろこちらから仕掛ける作戦を採ってみたいところ。そして、そのキープレーヤーとなる選手こそ、公式戦4連敗中の期間内ながら、この期間内で公式戦2得点を挙げた、FW金園ではないだろうか。
 
ナビスコカップの清水戦(4/22)、そして、先日のホーム鹿島戦(4/29)のいずれにおいても、金園は、相手ゴール前でポジションを取って待ち構え、振り向きざまにシュートを打って得点している。そのシュートコースも正確で、きちんと枠を捉えていた(だから得点に至った訳なのだが)。あの距離、体勢、あのタイミングでシュートを打たれるのは、GKにとっては非常に守りづらいはずだ。金園はおそらく、後ろに眼が付いている、、、ではなく、ゴールに背を向けていても「感覚で」シュートを枠内に飛ばせるのだろう。
 
あの感覚と感性を、今節の広島戦で活かさない手はない。そして、それを最大限に活かせると思われる時間帯こそ、前半15分までだ。つまり、金園の先発こそが、この広島戦において最も勝利に近い "人事" ではないか、と思えるのだが、如何だろうか。
 
因みに、金園のここ何年かの得点データを確認したところ、2013年の第20節のアウェイ広島戦(2013/08/10 19:00 K/O)で、後半26分に得点を挙げている。実は金園、磐田時代にJ1の舞台で、最後に得点を挙げたのが、このときのアウェイ広島戦での得点だった。
 
(2014年以降、磐田はJ2に落ちており、そのJ2時代にも金園は公式戦で3得点を挙げてはいるものの、、金園が「J1在籍で」得点を挙げたのは、あのときのアウェイ広島戦での得点以来、仙台での今季2得点である。)
 
となれば、金園は「広島のスタジアムでの得点実績」という武器を引っ提げて臨む事が出来る。こういうのは以外に大事なもので、「あのスタジアムで得点を獲った事がある」というだけで、本人や廻りに、得点への雰囲気と期待が産まれるものだ。
 
そこに期待するべく、今節は、前節に先発復帰を果たしたウイルソンと共に、2トップ先発の一角としての活躍に期待したい。
 
なお金園は、今季のリーグ戦では、既に3試合で先発している。それも、第2節の柏戦、第3節の湘南戦、そして、未だ記憶に新しい、第7節の松本山雅戦となっており、全てアウェイだ。それもこの3試合において、ハモン・ロペス、ウイルソン、奥埜ら3選手との先発を経験済み。そのため、誰と2トップを組む事になったとしても、おそらく「ぶっつけ本番」とはならないだろう。
 
ところで、金園が先発を果たせば、誰かがベンチに廻らねばならない。最有力なパターンとしては、奥埜がそのままベンチスタートとなるか、或いは、奥埜を右サイドハーフに廻し、茂木をベンチスタートとする案が有力だろうか。この他、前節にて戦列復帰を果たした菅井が、この広島戦で先発復帰も果たせるかどうか。ここまでの "人事" を敢行できれば、仙台の右サイドは、一気にその経験量と期待度が跳ね上がる。金園の先発への期待と共に、菅井の先発復帰も待ち遠しいが、果たして、指揮官の判断や如何に。
 
この対戦カードを、第三者は「広島の攻めを、如何に仙台が守るか」という構図で捉える事だろう。無理もない、かたや3連勝、かたや3連敗なのだ。誰がどうみても、そういう構図になる事は否定できない。
 
だが敢えて、そこに「広島の出鼻を挫く先制弾」をお見舞いし、試合の主導権をこちらで握りたい。追い付かねばならない広島は、当然のように、必死に攻めて来る。だが仙台は、前線にウイルソンと金園を張り付かせる事で、広島の裏を狙いやすくし、広島も、おいそれと人数を掛けては攻めてこれなくなるはず。最後は、先制点もしくは追加点を最後まで守りきって、アウェイながら勝利を掴み取りたい。
 
だが、油断は禁物だ。広島の強さの基盤は、「相手に先制されても、慌てずにそこから逆転できる底力」にある。事実、前述した直近の3連勝は、FC東京のFW武藤嘉紀(開始1分)と、横浜FMのFW伊藤翔(開始4分)のいずれに先制されながらも、そこからキッチリと逆転勝利を収めた結果を含んでのもの。仙台が先制点を挙げたとしても、それで、簡単に慌ててくれるような広島ではない。
 
しかし、広島がもし「アウェイではなく、ホームで、相手に先制弾を許す展開」を強いられたとしたら?
 
実は、前述したFC東京戦も、横浜FM戦も、広島にとってはアウェイ。ここには、広島から先制点を幸先良く奪ったチームが、ノリノリで広島を相手に攻める姿勢を貫き続けた結果、広島に、冷静に裏のスペースを突かれて逆転負けを喫した様相が見て取れる。
 
だが、今節は広島のホームだ。もし仙台が先制点を挙げられたとしても、それで仙台が、ノリノリで広島を攻め立てるような展開になる事は考えにくく、むしろイーブンと捉え、アウェイの地での失点を防ぐべく、追加点よりも、「3連敗で臨むが故に、まず失点しない、専守防衛」ためのハイプレスと堅いブロック守備を敢行するはずだ。
 
そして、ホームなのにビハインドの状況を覆せない広島は、ホームの大観衆の中、勝たねばならないというプレッシャーを受け始め、次第に焦りの色を見せ始める。そして前掛りになる広島の裏を、奥埜や茂木が、面白いように切り裂きまくる。あわよくば、今季初のMF登録の選手による追加点を挙げられれば最高である。
 
「3連勝でホーム開催の広島」vs「3連敗でアウェイ遠征の仙台」の構図の対戦となるが、必ずしも、ホームのチームが有利に試合を進めるとは限らない。仙台としては、3連敗で臨むアウェイの一戦であるが故に、例え先制できたとしても、それで浮かれる様な試合をするとも思えない。むしろ、広島の攻撃の芽を潰し続ける、地道かつ堅実な試合運びを、90分間貫き通すだろう。
 
そういう試合運びとするためにも、是非、前半15分以内で、金園もしくはウイルソンによる先制点が挙がる事に期待したいものであるが、果たして。
 
加えて、もう一つ。試合日の広島地方の天候は「晴れ・最高26℃」の予報となっている。16:00キックオフの夕方開催とは言え、充分に「暑さとの戦い」にもなる様相は不可避だ。当然に、運動量を駆使して前線からの積極的なディフェンスを標榜する仙台にとって、90分を通してのそんな戦い方は選択できない。暑さの中での一戦となるが故に、まずは試合の主導権を握るべく、早い時間帯での先制点奪取は、この一戦で勝ち点3を挙げるための重要なピースとなるはずだ。
 
もういちど「勝ちたい気持ち」を。
もういちど「可能な限りの人事」を。
 
掲題にも挙げたが、仙台は、1年近くもアウェイで勝てていない。それでもいずれは、アウェイでの未勝利の記録も止まる事だろう。
だが、願わくばそれが、今節の戦いで達成さらん事を。
ここに、強く、強く、願って止まない-。



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