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仙台2-3FC東京 鹿島戦の課題を克服できず、またも同じ展開で敗戦を喫し5連敗。3失点から2点を返す終盤の猛攻も、勝ち点には届かず。前半のウイルソンPK失敗から流れを失い、FC東京の日本代表軍団の敵地活躍に屈す。最後は渡邉監督の退席処分で締めくくったGW連戦の中にも、まだ見える、ほんの僅かな希望の光。

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 リーグ4連敗で迎えた、ホームFC東京戦。ホームでは、相変わらず良い試合の入りが出来ており、この試合でも、やはり良い入り方の中から、チャンスメークを繰り返した仙台だった。

 前半最大の見どころは2つ。1つは、8分の野沢のバー直撃。そして23分のウイルソンPK獲得。8分の野沢のバー直撃のシーンでは、右サイドに侵入したウイルソンからのセンタリングが、相手DFにカットされるも、そのこぼれ球に素早く詰めた野沢がそのままボレーシュート。だが勢いがありすぎ、バーに嫌われ、跳ね返ってしまった。

 
23分のウイルソンのPK奪取のシーンでは、自陣右サイド奥からのロングボールの落下点でポストしようとしたウイルソンが、FC東京DFに倒されてしまったとして獲得。これをウイルソン自身が蹴ったが、ボールは日本代表GK権田に完璧に止められ、ゴールならず。
 
実はこのPK失敗のシーンで、筆者は「嫌な予感」に見舞われた。ウイルソンと言えば、昨年、何度もPKを失敗しており、その忌まわしい記憶が甦って来た中で迎えた、今節のPKシーン。そのPKを獲得したのがウイルソン自身であり、彼にPKを任せるのが基本筋。あくまでも、昨年のPK失敗は昨年のものであり、それを払拭する意味でも、このPKは、是非とも決めて欲しかったところだった。
 
だが、筆者の予感は、残念ながら的中する。映像で確認する限りでは、ウイルソンが蹴る前に、GK権田はもう右に飛ぶ体勢に入っており、コースを読まれたのか、それとも2分の1の確率で、当てずっぽうで飛んだのかは判らないが、結果として、GK権田はウイルソンのスピードあるボールの軌道を、ほぼ体の中央で止めており、明らかに「意図して右に飛んだ結果のスーパーセーブ」とされてしまった次第だった。
 
そして、この権田のスーパーセーブを皮切りに、それまで仙台に押し込まれていたFC東京が息を吹き返す。仙台に押し込まれ、苦しいながらも、FW武藤がピッチ上を縦横無尽に走り回り、仙台の持つボールに次から次へとアタック。彼が近づいてきた事すら気が付かない仙台の選手が、あっと言う間に彼にボールを掻っ攫われてしまったり、そこからのミスでボールを失うシーンが目立った。その様は、例えが悪くて申し訳ないのだが、「五月蠅いハエ」のそれ、である。
 
正直、武藤の運動量豊富なディフェンスは、味方としてみれば素晴らしい働きなのだろうけども、敵としてみると、腹が立ってくる。彼の、持ち味の一端が良く判った一戦でもあった。彼は、その得点能力だけでなく、守備でもチームに貢献しているのだ。なるほど、チェルシーやマインツから声が掛かる訳だ。悔しいが、彼の凄さを認めざるを得なかった。
 
そして迎えた、前半32分。自陣右サイドのペナルティエリアの少し外側の、かなり危険な位置でフリーキックを与えてしまうと、そこから、日本代表DF太田の蹴り込んできたボールは、大外へ回り込み、ダイレクトで森重に合わせられてしまい、豪快に仙台ゴールネットが揺れてしまった。
 
前半34分。仙台0-1FC東京。
 
またも、またも。ホーム鹿島戦と同じだ。前半の試合の入りが良かったにも関わらず、そこからの得点機をモノに出来ない展開が続き、そして、相手に与えたセットプレーから、ワンチャンスを逆にモノにされて失点を喫してしまった。特に今節は、せっかくのPKを得点に結びつけられず、そこから相手に流れを渡してしまっての失点だった。
 
迎えた後半。
 
仙台は、前半でFC東京に傾いた流れを引き戻さなければならなかったが、またも不運に見舞われる。後半キックオフから僅かに2分後。自陣ペナルティエリア内に放り込まれてきたボールに対し、FC東京MF米本を、二見が倒してしまったとして、今度は逆に、FC東京にPKを獲られてしまった。
 
レフリーに対し、否定する二見。だが、これも映像で確認する限り、完璧に手を使って相手を倒してしまった様にしか見えない。前半にウイルソンが獲ったPKのシーンも、ウイルソンは、背後から両手でわし掴みにされて倒されたものであり、正当なジャッジだったと思ったが、この二見が取られたPK判定も、また正当な判定の結果と納得するしかなかった。
 
そもそもサッカーでは、手を使ってはいけないスポーツだ。そのうえ、前半のうちにウイルソンがPKを貰っており、この日のレフリーの「手を使うプレーに対する判定」が厳し目である事は判っていたはず。それなのに、自陣ペナルティエリア内で安易に手を使ってしまった二見の軽率さに目を覆うばかりの、PK献上シーンだった。
 
そして、この献上PKを、日本代表FW武藤に、キッチリ決められてしまう。
 
後半3分。仙台0-2FC東京。
 
この後、ようやく何かを思い出したように、攻勢に打って出る仙台。獲られた得点を取り返すまいと、二見も、ロングスローの武器を惜しみなく繰り出す。
 
だが、不運は更に、仙台に付きまとう。自陣に攻め込まれ、そのカットボールを味方に繋ごうとしたが、これをFC東京に拾われてしまい、自陣右サイド奥へのドリブル侵入を許す展開に。そして、そこからのグラウンダー性のセンタリングの先に詰めて来ていたのは、僅か3分前にPKを決められた武藤だった。
 
もちろん、自陣ゴール前中央では、この日センターバック起用のDF石川が、守備で張っていた。が、ここで、そのセンタリングをカットしようとした石川が、一瞬、ピッチに足をとられてしまい、ディフェンスに遅れてしまう不運が。結果、武藤にフリーでシュートを打たれてしまう。しかもその軌道は、ディフェンスに遅れた石川の股を抜く、大胆なものだった。GK六反も、まさか、味方の石川の股からシュートが飛び出てくるとは、予想しにくかっただろう。完全に虚を突かれてしまい、シュートは六反の体に当たったものの、そのままボールは仙台ゴールへと転がり込む。悔しさのあまり、ピッチを力の限り叩く六反。
 
後半7分。仙台0-3FC東京。
 
追い付かねばならないはずの後半だったが、キックオフから僅か7分で、あっと言う間に追加2失点。後半に追加点を許す展開も鹿島戦と同じで、仙台は、その鹿島戦のとき以上に、苦しい展開を強いられる羽目に陥った。
 
この展開に痺れを切らした渡邉監督は、堪らず、この日ようやくベンチ入りを果たしたハモン・ロペスを、茂木に代えて投入。その後、奥埜を金園に代え、二見を蜂須賀に代えて勝負に出る。もはや、残り時間を考慮する余裕などなく、パワープレーに打って出た。すると後半42分。敵陣右サイドの浅めの遠い位置で獲ったフリーキックの場面から、左サイドへ放り込み、ここからの折り返しのボールを、ダイレクトでDF石川がシュート。その軌道は正確で、混戦の誰にも当たらず、FC東京ゴールの右隅を綺麗に射抜いた。
 
後半43分。仙台1-3FC東京。
 
ようやく、反撃の狼煙を上げた仙台。スタジアムの空気が一気に変わり、押せ押せムードが、ユアスタを劇場の雰囲気へと変貌させる。そして、その直後の44分。FC東京ゴール前、左サイドへ侵入した金園からの折り返しを、フリーでハモンがシュート。これが決まり、掲示されたアディショナルタイム5分を残して、辛くも、1点差にまで詰め寄る事に成功した。
 
後半45分。仙台2-3FC東京。
 
ようやく、後半の見せ場を迎えた仙台。当然、追い付かなければ何の意味もないため、最後の力を振り絞って攻め立てる仙台。必死に声援を送り続けるサポーター。だが、最後の最後で、またも不運に見舞われる。左サイドのカウンター攻撃のシーンで、ハモンが相手選手を倒したとしてフリーキックを取られた場面にて、渡邉監督がこれに猛抗議。確認は出来ないが、悔しさのあまりペットボトルを蹴ったとの話(仙台公式サイトに掲載)もあり、これが元で、渡邉監督が退席処分を喰らう羽目となってしまった。
 
渡邉監督の気持ちも判らないではない。むしろ、心情的には同感だ。だが、退席処分を受けるほどの猛抗議をして何になる??結局、追い付くための貴重なプレー時間を浪費しただけだ。
 
なんとか、3点差から1点差のビハインドまで詰め寄った仙台だったが、奇跡的に追い付くまでには至らず、失意のリーグ戦5連敗となってしまった。終わってみれば、GK権田にPKを止められ、被セットプレーでは太田と森重の連携で先制点を奪われ、そしてFW武藤に2得点を決められるという、FC東京の日本代表軍団にしっかり活躍されての敗戦となってしまった。
 
試合終盤に、パワープレーから2得点を挙げる事が出来たのは評価できるも、後半に2点づつを奪い合う展開だったのであれば、勝敗を決したのは、前半のセットプレーでの得点の是非という事になる。前半、PKを獲得した仙台は、ウイルソンがこれを決めきれず、逆に与えたフリーキックの場面では、高精度なセンタリングを放り込まれ、誰もブロック出来ずに、ワンチャンスをFC東京に決められてしまった。
 
現状の仙台が勝ちきれないのは、ホームで良い試合の流れの中から掴んだチャンスを、逸し続けているからに他ならない。また、アウェイでは、ホームで出来ている「良い試合の入り方」を、敵地で展開できない事にある。
 
良い試合の入り方が出来るにも関わらず、それを結果に繋げられない。野球で言うところの「打線が繋がらない」というのと同義だ。打てはするのだが、打線の連携がままならない。毎回の様に、2塁や3塁までは進塁出来るのに、そこからの1本のヒットが出ず、ホームインできずに、残塁の山を築く。そんな展開を繰り返すうちに、敵に、たった1本のホームランを許してしまい、自ら流れを手放してしまう。
 
毎試合のように、結果的に同じような展開を繰り返してしまい、たった1つの勝ち点すら積み上げる事が出来なかったGW連戦。しかも、渡邉監督の退席処分まで受けては、中3日で訪れる浦和戦にも影響する事は必至。(※退席処分を受けた監督は、次節のベンチ入りは認められないはず。もし違った場合はご容赦のほどを)
 
後味の悪い形でGW連戦が終わったが、アウェイ広島戦を除き、全て1点差での敗戦となっているあたりは、まだ救いようの余地もあると考える。特に、今節のFC東京戦で、最後に獲った2得点が無ければ、FC東京の首位浮上を許し、また自らは、得失点差で山形に抜かれて16位の降格圏に転落するところだったのだ。だが、16位の山形に勝ち点で並ばれてしまい、連敗の影響が、危険水域にまで及んでいる事を認識せずには居られない状況にある。
 
そして、こんな崖っぷちの状況に追い込まれた状況で、現在首位の浦和をホームに迎え撃たねばならない。しかも浦和は、現在までリーグ戦9試合(浦和はACL参戦により1試合少ない)を戦い、いまだに無敗だ。今節の対戦相手だったFC東京が、僅か5失点だったのに対し、浦和は更にその上を行く、僅か4失点である。どうやって、そんな堅守のチームから得点を奪えるというのか。
 
それでも、まだ仙台には、僅かな希望の光が見える。それは、ハモン・ロペスの戦線復帰だ。あの、プレッシャーが掛かる終盤の猛攻の中で、金園からのセンタリングを、落ち着いてボレーシュートし、しかもしっかりと枠を捉えるあたりは、流石としか言いようがない。
 
ホーム鹿島戦の試合終盤において得点を挙げた金園に期待し、次節のアウェイ広島戦で先発起用させたくらいの采配が出来るのならば、この一戦の試合終盤において得点を挙げたハモンに期待し、次節のホーム浦和戦で先発に起用しない筋はない。むしろ、これ以上の連敗を止めるために必要なのは、あの決定力だ。
 
今節の試合プレビューにて、筆者は「いま、やるべき事は、「仙台の攻撃の怖さ」を取り戻す事」と書いた。そして、そのためなら、この一戦を落としても構わない、とまで書かせて頂いた。
 
事実、この一戦は、残念ながら本当に落とす事となってしまった。願わくば、1-0での勝利に、期待はしたが。だが、結果として、仙台が不得手とする「撃ち合い」に持ち込まれてしまった以上、敗戦を喫するのは、もはや規定路線に近い。
 
だが、こうも書いた。
 
「-闘う姿を。-次に繋がる内容を。」
 
少なくとも、選手が闘う姿は確認できた。アウェイならまだしも、ホームでならば、サポーターの大声援を受けて闘う事が出来る事は、改めて確認できた。
 
そして、次に繋がる内容。それこそが、ハモン・ロペスの今季初ゴールにみる、仙台のMF登録選手の奮起だ。実は今季、未だ仙台のMF登録の選手の得点がなく、ここまで推移して来ていた次第なのだが、今節のハモン・ロペスのゴールにより、ようやくそれが達成された。
 
ここからの、仙台逆襲のシナリオ。それは、ハモン・ロペスという「伏線」の存在にあるのではないだろうか。仙台が、その攻撃の怖さを取り戻すためには、ウイルソン1枚だけでは、絶対的に物足りない。そこに加えるべきピースこそ、おそらく、ハモン・ロペスに違いないのだ。
 
中3日で、またすぐにやってくる浦和戦。不幸中の幸いにして、試合の入りが良いホームでの連戦だ。未だリーグ戦無敗の浦和を迎え撃つ事になるが、決して「相手が悪い」とは思っていない。現状の仙台が勝てていない原因は、相手にはないのだ。それは、例え現在最下位の甲府が相手でも、例え現在首位の浦和が相手でも、おそらく関係ない。
 
自分たちの攻撃の怖さを取り戻す事が出来れば、相手の順位だの成績だのに関係なく、結果は付いてくるはずだ。
 
そこを、現在唯一の「気持ちの拠り所」として-。
例え、相手が首位でも、それに臆する事なく-。
 
今節、勝ち点と引き替えに掴んだ、「ハモン・ロペスの戦線復帰」という手駒。渡邉監督が、浦和戦のタクトを振れない以上(※退席処分を受けた影響により浦和戦ではベンチ入り出来ないという前提です。違った場合はご容赦下さい)、ウイルソンとハモン・ロペスの起用法、そしてその戦い方は、事前に、明確に、はっきりと示しておく必要がある。
 
その点についての、筆者の希望論については、浦和戦のプレビューにて。
 
次節、何かが起きる予感がする。



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