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J1 前期 第16節(通年16節) vs G大阪戦プレビュー CB石川の負傷離脱も、鎌田の復帰で不安は解消。それでも、前期優勝へ向け最後の望みを繋ぎたいG大阪を止めるのは、至難の業。遠藤、宇佐美らタレント軍団に対抗できる手段は、刹那の隙すら見せない堅守をベースに、決して多くないであろうカウンターの機会を、如何にモノにするか。

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 2週間ぶりのJリーグ。この間に行われた、男女各々の日本代表戦のTV観戦を愉しみ、気が付けば、もう明日がG大阪戦というタイミングだった。刻が経つのは早い。歳をとればとるほど(以下略)

 前期の優勝争いに目を向けると、浦和の優勝目前+G大阪風前の灯火というシチュエーション。但し、G大阪は、今節の仙台戦を含み、あと3試合残っている。浦和がもし残り2試合を連敗し、G大阪が3連勝すれば、勝ち点37で並び、あとは得失点差勝負。もっとも、現時点で浦和とG大阪の得失点の差は9もあり、この差を埋めるのは容易ではない。しかし、G大阪の攻撃性を思えば、大量得点での勝利や得失点差9を3試合で埋める(※浦和の連敗が絶対条件なので、浦和との勝ち点差は実質7と考えるべきだが)のは、決して不可能と思える様な数字でもない。

 
つまり彼らは、この一戦に対し、「普通に攻めてくる」事は考えにくい。残り2試合を浦和が連敗するという前提で、自分たちは、複数得点或いは大量得点による勝利を、あと3つも達成しなければならないのだ。最低でも、仙台を相手に、2点差以上の勝利を目論んでいるはずである。まして、今節は彼らのホーム開催だ。浦和のほうの試合の結果がどうあれ、「目の前の一戦=仙台戦」には勝たねばならない。あくまでも「前期優勝を諦めていない」姿勢を、自らのサポーターに見せる必要のある彼らは、キックオフ直後から、猛然と襲いかかってくるであろう事は、充分に予想される。
 
そのうえで、仙台としては考慮しなければならない点がある。それは、現時点で、G大阪が最少失点(10)であるという点だ。従来、「得点も多いが失点も多い」イメージが拭えなかったG大阪に対し、今季のこれは、以外な数字に見える。もっともこれは、彼らが「堅守であるが故のもの」という訳ではないだろう。むしろ、あまりにも高すぎるその攻撃性がもたらす、「相手が攻める時間そのものが少ない」状況の裏返し、と観ている。
 
そしてそこには、当然のように、新・日本代表の宇佐美が君臨。その後見役として、遠藤もドッシリと構えている。新旧日本代表を含め、タレント揃いのG大阪。だが彼らは、前期優勝へ向けて、まさしく崖っぷちの立場だ。
 
「攻めて、攻めて、攻めまくる」
 
それが、今節のG大阪のテーマだろう。ただの勝利では済まされない、あと3試合で浦和との得失点差9(実質7)を埋めなければならない彼らは、今節、試合の序盤からギアをトップに上げて攻めて来る事が、充分に予想される。
 
対する、我らが仙台。前述の様な予想となっているG大阪を相手に、彼らの待つ敵地へ乗り込む訳だが、今節へ向けては、ここ数節、本職のセンターバックにて活躍していた石川が負傷で離脱というアクシデントに見舞われ、一瞬、不安を掻き立てられた。
 
だがここで、鎌田が何とか間に合い、戦線復帰の情勢。渡部-鎌田は今シーズンの序盤からのセンターバックコンビであり、石川が抜けても不安はゼロ。もし鎌田が間に合わなくても多々良が控えており、最終ラインは、どうにか「戦える顔ぶれは揃う」模様である。
 
この他、前線の攻撃オプションでは、同じく負傷離脱していた奥埜も全体練習に復帰しており、コンディションに問題が無ければ、ベンチ入り濃厚と観られる。
 
これで、負傷離脱(帰国)中のウイルソンと、新たに離脱してしまった石川を除けば、ほぼベストメンバーが組める状況だ。
 
あとは、G大阪を相手にどう戦うか。もっともここは、どう考えても「どう守るか」が主眼に成らざるを得ず、如何に堅守を維持するかがポイントとなる。
 
だからと言って、極端に引いて守るのもまた問題がある。G大阪の特徴として、彼らもまた「引いた相手を崩すのに手を焼く」傾向にあり、我らが仙台や、盟友・川崎などと同様、ガチガチに人数を掛けて守られると、そこを崩すのは非常に難しい。G大阪としても、「仙台には、前に出て来て貰いたい」と思っているはずだ。
 
もちろん仙台としても、決して「ガチガチに守ればいい」と安易に考えてはいけない。どんなに可能性は低くとも、目指すところはあくまでも勝利だ。90分を通して守るだけのサッカーでは、J1に居る意味などない。勝利に飢えるG大阪を相手に、如何に守り、如何に攻めるのか。
 
そこで考えられるのは、G大阪の攻撃を、如何に「中盤で潰す」か。G大阪の攻撃は、ほぼ間違いなく遠藤が起点になる。そして、遠藤がボールを持ったときの宇佐美の動き出しを徹底的にマークし、宇佐美を消さなければならない。現在、G大阪の20得点中、半分の10得点を宇佐美が上げている事を思えば、当然、このくらいの事は考えなければならないはずだ。
 
もちろん、宇佐美だけマークしていれば良い訳でもない。宇佐美を囮にして、他の選手がチャンスメークしてくる事も充分にあり得る訳で、そこへのケアも怠れない。
 
仙台としては、全体的には、まず、持ち味の組織的な堅守をベースとして、そこへ更に、「対・宇佐美対策」のなるようなディフェンスのエッセンスを加えたい。それが、マンマークなのか、それとも、いつも以上にマークの受け渡しをはっきりさせるのか。はたまた、宇佐美がボールを持ったら必ず2人で挟むといった約束事を決めるのか。状況によっては、宇佐美をファウル覚悟で止めなければならないシーンも出てくるかもしれない。どうせ、前期終了時点で、警告の累積はリセットされるのだ。出場停止を怖がる必要はどこにもない。
 
あとは、攻める気満々のG大阪の「裏」を、如何に突くかを考えたい。彼らとしても、現時点でのリーグ最小失点は、決して「狙って達成している」ものとは思っていないはず。あくまでも「攻める時間が長いが故の失点の少なさ」である事が予想され、全く隙が無い訳ではないはずなのだ。
 
そこで考えられる「攻め手」としては、今節のベンチ入り濃厚と思われる、奥埜の起用法。先発では、2トップはハモンと金園、2列目は野沢と梁のコンビが濃厚と思われるので、この面子で前半の攻撃を組み立て、後半に、奥埜の投入でアクセントを加えたい。
 
後半の要所までは、0-0で試合を引っ張っても構わないだろう。仙台よりも勝利に飢える今節のG大阪なら、無得点で時間が経過する事、それ自体が苦痛のはずだ。
 
後半の勝負どころで、タイムアップの時間が迫る中、焦るG大阪の裏を奥埜が突き、仙台が先制、、、なんていうシチュエーションも、無きにしも非ず、だ。そういう状況が見え始めるまでの間は、仙台としては、運動量を豊富に繰り出し、刹那の隙すら見せない堅守で、とにかくG大阪を無失点で抑え続けたい。
 
怖いのは、前半の早い時間帯で、どちらかに得点が入ってしまう事だ。こうなると、もう片方は嫌が応でも前へ出ざるを得ず、カウンターの応酬になりがち。アウェイ新潟戦やホーム鳥栖戦のように、相手の焦りの裏を突いて一方的な展開に持ち込めればそれに越した事はないが、G大阪の攻撃性やタレント揃い、そしてその経験の差を考えると、仙台がG大阪を一方的に畳み掛けるとは思いにくい。それもアウェイであれば尚更、甘い期待は抱くべきではない。
 
プランとしては、あくまでも1-0狙いか。終盤まで0-0で引っ張り、一撃でG大阪のゴールネットを揺らし、そこから残り少ない時間を逃げ切りたい。
 
もちろん、試合中に、いくらでも状況は変化する。変化に合わせて対処は必要だ。もし先に取られても、仙台は、慌てる必要性は一切ない。対するG大阪は、仙台に先制を許せば、そこからはもう、無理でも何でも、リスク覚悟の攻撃偏重タスクを実行し続けるしかなくなる。そうなってしまうと、勝負の行方はともかく、試合の内容自体は、大味な展開のものへとシフトする事になるだろう。
 
ここで、G大阪との過去対戦成績を確認してみた。
 
仙台のJ1昇格以降の過去5年間(2010~2014年/G大阪は2013年のみJ2へ降格)で、J1リーグでの対戦に限れば、2勝4分2敗と全くの五分。しかも、過去3年間の直近4試合では無敗で、1勝3分。この間の失点も、この4試合で僅かに3しかない。全て、1失点以内の好試合だ。
 
以外にも、過去対戦成績は好相性な相手だった訳だが、基本的に、過去の対戦成績は、あくまでも過去のものだ。しかも、宇佐美の台頭、そしてG大阪の置かれている現状を考えると、彼らは「獲物に飢えた野獣」の如く。過去の対戦成績など全く無視した試合展開、そして結果にも成る事は、充分に有り得る。
 
それでも仙台としては、あくまでも、冷静に。自分たちの出来る範囲の事をやるしかない。ここで、焦った事をやっても仕方ないのだ。
 
一応、仙台は現状で、リーグ戦2連勝中。アウェイ戦としても2連勝中なのだが、そんなデータは、試合実況や解説者の話のネタにしかならない。
 
冷静に、かつ、丁寧に。
 
G大阪の攻撃の芽を摘み続ける作業の中から、彼らの見せる一瞬の隙を見逃さず、そこを素早く決定機に繋げたい。そして、試合の流れや状況によっては、ドロー決着も視野に。彼らにとっては、ドローは負けに等しく、仙台は勝ちに等しい。精神的な面で優位に立っているのはこちらなのだ。焦る必要は、全くない。
 
是非、G大阪の焦りを誘うような、集中力を切らさない堅守を。
宇佐美には、絶対に仕事をさせないこと。
そして、その堅守の中から繰り出される、鋭いカウンター攻撃を。
 
為すべき事を為せば、結果は付いてくるはずだ。
 
それを信じて、今節の試合の行方を見届けたい。



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