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G大阪1-1仙台 前半のうちに先制を許す苦しい展開も、落ち着いて試合を運び、終盤の同点弾へ繋ぐ。奥埜、途中投入から僅か4分で「仕事」をし、自らの復帰戦でアピール。G大阪の前期優勝への小さな望みを粉砕し、対G大阪戦の無敗を継続。

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 目には目を、歯には歯を-。

 
仙台は、前半32分に、フリーキックの場面から獲られた得点を、後半43分に、同じくフリーキックの場面で獲り返してみせた。共に、同じような位置で得たフリーキックから、ファーサイドにポジショニングする味方の高身長な選手の頭に合わせた形からの得点だった。

 前半31分。G大阪スローインからのリスタートのシーンで、渡部がG大阪FWパトリックに対するファウルを取られ、G大阪にフリーキックを与えた場面。キッカーは、当然の様に、元・日本代表のMF遠藤。彼の蹴り込んできた絶妙のセンタリングは、こちらも元・日本代表のDF今野(この日はMF登録)の頭を正確に捉え、G大阪に先制を許す展開を強いられてしまった。

 
前半32分。G大阪1-0仙台。
 
仙台としては、比較的試合の入りが良かったと見えていただけに、セットプレーからの一発の怖さを、改めて思い知らされた。
 
前半キックオフの序盤から、仙台は非常にコントロールされた守備を披露し、かつその中からも、シュートシーンで終わる展開を順調に積み重ねてリズムを刻んでいた。対するG大阪は、前線の宇佐美とパトリックの「個」を活かし、カウンターから得点機を伺う展開。大方の予想なら、「攻める一方のG大阪、守る一方の仙台」的な展開であっただろうが、その大方の予想を良い意味で裏切り、意外にも「ポゼッション気味に攻める仙台、守ってカウンター気味に攻めるG大阪」の構図で試合は進んだ。
 
だが、試合の流れの通りに得点経過が進まない事は、サッカーでは良くある事。この一戦でも、まさにその通りの展開となった。前半32分に、G大阪に与えたフリーキックからの先制点献上は、それを裏付けるかのようなシーンだった。
 
仙台から、先制点を奪ったG大阪。そこからは、仙台が握っていた試合の主導権を奪え返さんばかりに、攻撃のギアが上がる。要注意と判っていたはずの宇佐美は、やはり凄かった。ドリブル突破の力強さ、読めないタイミングや位置からのシュート、そしてそのスピード。GK六反のファインセーブ連発や、バーに救われるなどの運が手伝わなければ、追加点を奪われていてもおかしくない、厳しい展開を強いられ続けた。40分には被カウンターの場面にて、この日にG大阪で初出場の高校生MF・堂安に繋がりピンチを迎えるが、素早く帰陣して事無きを得る。更には、前半アディショナルタイムには宇佐美に素早いシュートを許すなど、我慢の展開が続く。
 
だがこの日は、仙台のディフェンスラインが大活躍。前述したGK六反のファインセーブを初め、負傷離脱した石川に代わって先発入りした鎌田、同じく負傷離脱中の二見に代わって起用されている蜂須賀に加え、安定感抜群の渡部など、仙台の新・防衛網は、その役割をキッチリと果たしていた。先制点を奪われていてもなお、その事で慌てる様子は一切なし。強力な攻撃陣を擁するG大阪を相手に、堂々としたものだった。
 
その事は、試合後のG大阪DF今野の公式コメントからも読み取れる。
 
「ダメでしたね。相手が強かったです。守備もめっちゃしっかりしていたし、FWもしっかり守備をするし、前からいくところと、さがるところもはっきりしているし、プレッシャーくるときはくるし、相手がすごく良かった。」
(Yahooニュースサイトより抜粋)
 
迎えた後半。
 
1点のビハインドでハーフタイムを折り返した仙台は、後半も引き続き、G大阪の意欲的な攻撃の芽を潰し続ける、我慢の展開を継続。G大阪にディフェンディングサードへの侵入を許す場面では、自陣ゴール前に人数を掛け、専守防衛を徹底。この他、被カウンターの場面にてGK六反が1対1の勝負を強いられ、あわや失点の臭いがプンプンするようなシーンも散見されたが、それでも、最後はGK六反がその読みの良さと反応の速さを武器に、G大阪に追加点を許さない。G大阪の「追加点への渇望」に支配される中においても、守備は破綻せずに、1点差を維持したまま、その苦境を凌いでいた。後半11分に迎えた、自陣ゴール正面でフリーキックを与えたピンチの場面でも、体を張ってボールを跳ね返した。
 
すると、G大阪の執拗な攻撃を我慢しているうちに、仙台のボール支配率が徐々に上がり、攻撃のリズムを掴める様に。後半に入り、なかなかシュートで終われなかった仙台だったが、15分にハモンの豪快なミドルシュートからコーナキックを得ると、そのあたりから、G大阪の中盤にスペースが出来始め、その空いたスペースを、仙台が攻撃に使い出した。時折、攻撃から失ったボールをカウンターに持ち込まれる危うい展開も散見されたが、前述した様に、GK六反の活躍で、難を逃れ続けていた。
 
その守備の堅さに後押しされるかのように、仙台の攻撃が、徐々に眼を覚ましていく。後半19分には、セカンドボールを拾いまくる波状攻撃の中から、フィニッシュは菅井のオーバーヘッド。惜しくも決められなかったが、後半開始から15分間、全くシュートで終われなかった仙台が、徐々に攻撃のリズムを刻み始めた。
 
しかし、G大阪も食い下がる。厚みを増してきた仙台の攻撃の隙を狙い、ロングフィードから前線のパトリックへ繋ぐと、これを頭でそのままシュートしてきた。GK六反の手の届かないコースだったが、これは幸運にもバーに救われる。そこも失点を免れた仙台は、直後の後半20分に、スルーパスに反応して綺麗に裏へ抜け出した金園が得点機を創出。これは横からカットされてしまい、惜しくもノーゴールだったが、明らかに試合の流れは仙台へと傾いてきていた。
 
その後に仙台は、29分に金久保を投入(ミンテと交代)し、39分に奥埜(野沢と交代)を投入。攻撃的な選手の投入により、同点弾、そして逆転弾を狙いにいく。この間も、仙台は攻めるシーンを次第に増やしていき、気が付けば、ボール支配率でG大阪をほんの少し上回る、51%に達していた。
 
そして迎えた、後半41分。仙台スローインからのリスタートのシーンで、ハモンがG大阪DF岩下からファウルをもぎ取り、仙台にフリーキックのチャンスをもたらした場面。キッカーは、当然の様に、梁勇基。
 
「ん?このリスタートのシーン、前半にG大阪にやられた失点シーンと同じような・・・」と、脳裏を過ぎった諸氏は多かったに違いない。となると、期待するのは、このシーンからの得点劇。まるで、前半の失点シーンのリプレイを観ているかのような雰囲気の中から、梁の放り込んだボールは、DF渡部のヘッドを正確に捉えた。
 
これを、豪快にシュートする渡部。その弾道は、いったんはG大阪GK東口にブロックされるものの、このこぼれ球を、奥埜がキッチリと押し込んだ。
 
後半43分。G大阪1-1仙台。
 
振り返れば、昨年のアウェイG大阪戦でも、G大阪に先制点を許し、1点ビハインドで迎えた展開の中、後半アディショナルタイムに柳沢の得点で追い付いていた。あのときと同じような得点経過が、今日のこの日に "再現" した。
 
だが、あのときはもう93分と、もうほとんど時間が残されていなかったが、今日のこの日は、まだあと、2分と後半アディショナルタイムが残されていた。同点に追い付いた事で、逆転勝利への望みが出て来た仙台は、ここから更に攻勢を掛ける。
 
3分と掲示されたアディショナルタイムに突入した直後。仙台のカウンターの場面にて、この日途中投入された金久保のセンタリングに、豪快にダイビングヘッドしたのは金園。実況の下田氏(元・仙台放送アナウンサー)がその名前を絶叫するほどの決定機だったが、これは惜しくもGK東口の手に当たって弾道が上へ変化し、その先のバーにも嫌われてゴール成らず。しかしその直後にも執拗に攻め、G大阪DF今野のファウルを誘ってフリーキックを獲得。だがこの場面は、梁のシュートが壁に当たってしまい、これもゴール成らず。
 
試合は結局、このまま追加時点の3分を消化し、試合終了を告げるホイッスルが吹かれた。
 
試合の終盤に同点に追い付き、そこから立て続けに追加点を臭わせるシーンが相次いだ事から、逆転勝利を収めていてもおかしくない展開だった。しかも相手は、今季ここまで僅か2敗を維持し、直近5試合で無敗のG大阪。それも、G大阪のホームでの対戦だった。試合終盤に、G大阪が攻勢を掛けてそれを仙台が凌いでの勝ち点1、というならまだ判るが、同じ勝ち点1でも、その内容はまるで逆。仙台が終盤に攻勢を仕掛け、あわや逆転という可能性を充分に漂わせた中でのドロー劇だった。
 
やはりG大阪は、「引いて守る」という選択肢を持たないチームだった。彼らの攻撃的な性質や、彼らのタイトルホルダーとしてのプライドの高さを考えれば、仙台が苦手とする「引いて守られる展開」にはまず成らないだろうとは思っていたが、斯くしてその通りとなり、後半の勝負どころで、仙台は攻める機会を得る事が出来た。惜しむらくは、奥埜の同点弾以降に訪れた得点機のどれかを決め、爽やかな逆転勝利を挙げての帰仙としたかったが、アウェイの戦いである事、戦前に勝ち点19で並んでいた、他のライバルチームが尽く敗戦を喫し、その「横一線」から半歩抜け出せただけでも収穫だろう。
 
そして、やはり奥埜は、試合の流れを変えられるジョーカーだった。得点シーンこそこぼれ球の押し込みから獲ったものではあるが、運動量を武器にする選手を試合終盤に投入できる事の効果は大きい。それに、「こぼれ球への反応」というのは以外に難しく、簡単に打てば良いようにしか見えない決定的なシーンでも、焦って枠を外す事は意外に多い。そこを奥埜は、冷静に決めてくれた。おそらく、こういう場面での経験も、J2長崎での修行時代にして来ていた事だろう。
 
同日の裏の試合では、浦和が神戸を相手に勝ち点1を積み、無敗で前期優勝を決めた。素直におめでとうを言いたい。そしてそこに、昨年まで仙台在籍していたFW武藤の大活躍が組み込まれている事は、仙台サポーターとしては非常に歯痒いところではあるが、選手の特徴とチームのニーズのマッチングには、相性のようなものが存在する。仙台では花が開かなかった武藤だが、浦和では、前線のシャドーの位置で開花。本人にとっては、仙台からの移籍は成功したと言えるだろう。
 
仙台としても、磐田から獲った金園は、赤嶺の獲得以来のベストマッチなFW選手と言えるのではないか。前線からの守備の積極性は、武藤のそれを上回り、かつゴールへも期待できる。仙台では前線からの守備に難のあった武藤が、仙台よりも守備負担が比較的少ない浦和で開花したように、選手とチームとの相性や、戦術への理解度、浸透度は重要な要素だ。その意味で、武藤を浦和に出したこと、そして金園を獲得した事は、武藤にとって、金園にとって、そして浦和にとって、仙台にとって、皆がWIN-WINの関係となった。
 
これで前期は、あとホーム名古屋戦を残すのみとなった。1年の折り返しとなる一戦は、是非とも、勝利で飾りたいものである。
 
それまで、また一週間のスパンを。
共に、「次の土曜日」へ向けて、良い準備を-。



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