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前期は浦和の無敗で戴冠という結果になったが、前期はまだあと1試合を残す。結局仙台は、前期の優勝争いどころか、常に残留争いの窮地に立たされ続けた。残留争いと無縁だったのは、リーグ開幕からの5戦無敗時のみ。それ以降の5連敗で、一気に残留争いへと巻き込まれてしまった。
その後、浦和戦での壮絶な撃ち合いとなる4-4ハイスコアドローを皮切りに、その浦和戦を含む以降の6戦を3勝2分1敗とし、どうにかバイタルを持ち直した状況。まだまだ生傷は絶えない(=常に負傷離脱者が居る)ものの、戦力はどうにか維持。代表戦による日程調整の影響で、リーグ戦の試合間隔が空きがちなこの時期に、少しでもコンディションを整えて、来るべき夏場の厳しい戦いに備えたい。
さて、今節は名古屋をホームに迎えるが、名古屋とは今季、既にナビスコカップで対戦済み。アウェイではあったものの、開始から僅か26分で3失点と、守備が大崩れし、その後の戦いに不安を掻き立てられた。3失点後に2点を返す粘りこそ見せたが、あと一歩及ばず、名古屋3-2仙台の敗戦試合。2点を盛り返す力を示しただけに、あの3失点の時間帯が余計に悔やまれる。あの一戦で勝ち点を一つでも獲れていれば、今季のナビスコカップ予選の行方も、また違ったものになっていたに違いないのだが。
そして今節は、あのときに味わった苦みの「口直し」のチャンスでもある。シーズン序盤と違い、今季加入の新戦力の定着が進み、攻守に安定感が増した仙台。それがハマれば、ホーム鳥栖戦のように、大量得点での勝利もありうる事を内外に証明してみせた。大事なのは、持てる力量をしっかりと結果に繋げること。そして、それの継続である。
それが出来ることを「再確認」したうえで、後期の戦いに挑みたいものだ。シーズン序盤のカップ戦で3失点敗戦を喫した名古屋なら、相手に不足なし。カップ戦とリーグ戦の違いがあるため、ベンバー構成こそお互いにそれぞれ変化はあるだろうが、今節はリーグ戦であるが故に、ベストメンバー同士での対戦となる事はほぼ確実視される。名古屋側は、今月の日本代表戦のメンバー外となってしまった川又や永井のほか、大宮・清水で活躍した、あのノヴァコヴィッチも在籍。屈強なボランチ・ダニルソンや、いざとなればフォワード起用もある、あの闘莉王も。今季もタレント揃いの名古屋だが、それでも、直近の戦いでは得点力不足に苦しんでいる様子も伺える。
というのも、名古屋は3連敗以降のリーグ戦4試合にて2勝2分と、結果だけを見れば復調の様子も伺えるが、この4試合の間に獲った得点は、僅かに3。その代わりに、その4試合で1失点と守備が安定しており、その結果、4試合中2試合の勝利は、両方とも「1-0」勝利となっている。つまり現状の名古屋は、攻撃力の停滞を、守備力でカバーしている訳だ。
だが、現状での守備力なら、仙台とて負けてはいない。浦和戦での4失点以降、直近でのリーグ戦5試合にて、僅かに2失点と安定。それに加えて、現在3試合連続得点中。確実に得点を奪い、確実に勝ち点を重ねる好循環が産まれ始めている。
因みに名古屋は、5/2の第9節で湘南に3得点した以降、その後の3連敗を含めて、リーグ戦7試合は全て1得点以内。そのうち無得点は4試合もあり、現在残留争い渦中の、山形や新潟が相手でも、名古屋は勝ちきれていないのが現状だ。だが、だからといって名古屋の攻撃陣のポテンシャルが落ちているとも思えない。いつまた名古屋が、複数得点を挙げて息を吹き返すとも限らないのだ。
どうやらこの一戦は、共に堅守から試合を造る者同士の睨み合いの様相を呈しそうな雰囲気である。そしてお互いに、いざとなれば複数得点を挙げてもおかしくないメンバーが顔を連ねているところもまた同じ。となると、試合終盤までロースコアで凌ぎを削る展開も、試合序盤から撃ち合いになる壮絶な展開も、どちらも有り得る訳で、全くもって予想が付かない。
そこで、参考までに、名古屋との過去対戦成績を確認してみた。
仙台がJ1復帰した2010年以降、リーグ戦では、その復帰年の2010年に2敗したのを最後に、2011年からのリーグ戦合計8戦で、なんと無敗。4勝4分と好相性をみせる。
因みに、昨年は2分。ホームで3-3との撃ち合いとなったが、アウェイでは0-0のスコアレス。昨年の対戦状況をだけをとってみても、「撃ち合い」と「我慢比べ」の両極端な結果だった。尚更、今節へ向けた試合展開の様相は読み切れない。
現状、勝ち点22の名古屋と勝ち点20の仙台。仙台は勝てば、順位で名古屋の上に行けるモチベーションもあり、鳥栖戦に勝った直後の7位に復帰する可能性もある。7位と言えば、J1リーグ戦の賞金圏内だ。その圏内で今季をフィニッシュできるのか、はたまた圏外で終わるのかは雲泥の差がある。まだ今季日程は半分残っているが、いちど順位で下位に沈むと、簡単には浮上できない。
ここから先の仙台は、勝利を逃し続ければ、再び残留争いへと巻き込まれ易い反面、しぶとく勝ち点を積み重ねれば、ジリジリと賞金圏を伺える位置へ近づける、非常に微妙な勝ち点の位置関係での勝負となる。例年、残留争いに巻き込まれるチームの数は増え続けている印象があるが、今季は特に、その傾向が顕著だ。おそらく今季の残留に必要な勝ち点は、一つの目安と言われている「40」を越えてくる可能性が多分にある。
今季から、リーグ戦が前期と後期に分かれての戦いとなっているが、J2降格の条件は相変わらず、「年間総合勝ち点による順位の下3チームが降格」というルールのままだ。つまり、残留争いが念頭にあるチームにとっては、前期も後期もない。毎試合が残留争いの戦いであり、毎試合が、その残留へ向けての一里塚だ。
だが、だからこそ、後期日程終了時点での残留をより100%に近づけるためにも、今節のこの一戦は落とせない。順位を一つでも上げられる可能性があるなら、それに果敢に挑戦するのがプロフェッショナルだ。この一戦は、前期日程の消化試合でも何でもない。後期日程への弾みを付ける意味でも、貪欲に勝利を追い求めたい。
勝てば、勝率が5割に復帰する。表現が野球的で大変恐縮なのだが、「勝ち数が負け数を上回っている」という状況は、精神面での余裕を産む。「負けてもいい」という意味ではなく、前向きに次の試合に臨める、という意味において、である。
直近の仙台の戦況を鑑みれば、負ける気は一切しない。
だが、やってみなければ判らないのがサッカーだ。こればかりはどうしようもない。
前期の浦和の優勝が決した現状において、後期優勝を目論む一部のチームにとっては、もしかしたら、今節はある意味で「消化試合」かもしれない。が、選手の大幅な入れ替えのあった今季の仙台にとっては、まだまだ、残留が目標ラインだ。そこを念頭において戦う限り、仙台に「消化試合」は存在しない。
よって、この一戦においても、貪欲に勝利を目指すのみ、である。
果たして、その結果や如何に-。
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