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昨年の「借り」は返せなかった-。
だが、明らかに、仙台は「昨年同時期のアウェイ福岡戦」とは、別次元のサッカーを展開していた。勝利したはずの福岡側には、今後の復調に向けた明るい材料は乏しく、今後も厳しい展開を強いられるだろう。強いて言えば、福岡側は高橋泰が復帰し、前線からの攻守に貢献した事くらいか。
焦れてはいけないはずの仙台が、福岡よりも先に焦れてしまった。それが敗因である。
後半15分。セットプレーのために上がっていたエリゼウが、ボールを福岡FW大久保に奪われ、そこから痛恨のカウンターによる失点。セットプレーのあとでやむを得なかったとは言え、攻撃の局面におけるカウンターへの配慮を欠いた、典型的な「攻守のバランスを崩した場面」だった。
試合には負けた。勝ち点3は奪えなかった。昨年の「借り」は返せなかった。
しかし、リスクを犯してチャレンジしての結果である。内容においても、気温の上昇による疲弊は決して大きくは感じられず、双方良く最後まで動けていた。「ガチンコ勝負」とは、この事を言うのだろう。
それでも、試合は「仙台が全般的に支配」していたのは間違いない。前半の「お互いの様子見」を経て、後半は明らかに双方、攻撃のギアをチェンジして臨んだ。仙台の繰り出すパスや裏を突くサッカーに福岡は手を焼き、守備に人数を割いて仙台の攻撃に耐え続け、少ない機会を待ち続けた。その結果、エリゼウの足下のボールを大久保が奪い取っての得点。だが失点後も仙台は、決して崩れる事なく、最後まで持ち味の攻撃を展開し続けた。
シュート数を比較しても、福岡の10本に対し、仙台は13本。そのシーンを見比べても、仙台はバーの直撃や福岡GKの好セーブに阻まれた場面が多かったが、福岡は「可能性のあるシュート」そのものが少なかった。
ただ、6試合ぶりの出場となった、高橋泰だけは、攻守に渡って良い動きが出来ていた。あわやというシーンの大半は、彼が絡んでのものだ。しばらく試合から遠ざかっていた事もあり、この試合にどの程度絡んで活躍できるかは甚だ疑問だったが、蓋を開けてみれば、彼の存在が福岡の息を吹き返させたと言っても過言はないかもしれない。
結果だけをみれば、15試合ぶりの無得点での敗戦だった。だが、長いリーグ戦において、内容で好調を維持し続けられるチームでなければ、結果を出し続ける事はできない。
福岡のように、勝ったり負けたり引き分けたりを交互に繰り返し、毎試合のように安定しない戦い方で、「偶に勝った時に嬉しさを爆発させる」ような推移では、今季の昇格争いは難しいだろう。
こういう言い方は福岡側には大変申し訳ないのだが、そのような推移は、「Jリーグ参入初期のチーム」のものである。ひしめくJの先輩チームとの対戦の中で、なかなか勝ち切れない展開の中、偶さか手にした勝利の余韻に浸り、そして次の試合からまた勝ち切れない展開を繰り返す。だから、なかなか連勝が出来ない。今の福岡には、そういう空気が蔓延しているように思われる。事実、福岡は今季、序盤に3連勝して以来、ここまで一度も連勝を挙げられていない。
筆者個人的には、昇格争いを展開している中における「負け方」というものがあると思っている。結果こそ出なかったが、次の試合へ向け、どれだけの「好材料」が揃っているか。ケガ人も発生せず、戦術で迷う事もなく、今後もブレずに戦えると説得できるだけの材料が揃っているかが重要である。その意味において、今節の負け方は、内容に決して大きな不満はなく、次節・東京V戦へ向けて、気持ちを切り替えて臨めば、必ずや結果には期待できる、と、みなが思っている事だろう。
ただ、長いシーズンの中で、「勝ち点3が最優先」という試合は必ずある。敗戦した直後の試合や、上位陣との直接対決で、負ければ勝ち点で大きく離される試合などがそうだ。だが少なくとも、この福岡戦は、そういう試合ではなかった。むしろ、ここで喫した敗戦により、勝ち続ける難しさを改めて認識できた事のほうが大きい。
やっと1/3を消化したばかりのシーズンにおいて、1敗はまだどこかで取り返せるものだ。それを取り返すために、絶対に連敗をしないという強い信念の元、もう一度、勝利に向けてチャレンジする気持ちを、プレーの質と共に維持し続けられるかがポイントとなる。その意味において、トップが敗戦を喫した時、サブメンバーが発奮し、「トップを刺激する事」が重要になってくる。サブメンバーの台頭により、トップのメンバーは危機感に晒され、競争が激化し、チーム全体が活性化するからだ。
ところで、土曜日の試合でトップは敗戦を喫したが、翌日・日曜日のサテライトでは、その敗戦の空気を払拭する、新たな「材料」を見出すことができた。
岩沼市陸で開催された、サテライト・ホーム大宮戦。個人的に期待していた西山は、サイドハーフで出場したものの、見せ場を全く作れず、ハーフタイムで飛弾に交代。これには流石にガッカリしてしまったが、交代で入った飛弾により、仙台の攻撃が1段シフトアップした事が読み取れた。
その後、不安定だったボランチ島川を下げ、FWに奥埜(仙台大・J特別指定)が入った事により、空気が一変。奥埜の投入直後こそ大宮側に先制点を許したものの、その僅か4分後。奥埜の投入によって、前線が急激に活性化した事により、波状攻撃を繰り出すように。右サイドで三澤から中央の飛弾に渡り、これを飛弾がシュート。これは惜しくも大宮GKが弾くも、その溢れ球を「そこへしっかりと詰めていた」奥埜が押し込み、いきなりの公式戦初得点。
これには、会場に訪れたサポーターも沸き返った。福岡戦・大宮戦共に、許した先制点は「後半15分」という偶然であったが、福岡戦と違い、直後に同点弾を決めた奥埜の存在を、脳裏に焼き付けたサポーターは多かった事だろう。
そしてその7分後、前日に決めきれなかった中原が、この日は「逆転弾」を決めてみせる。左の飛弾から上がったクロスを、ヘッドで見事に決めたものだった。「おいおい、前日に獲れよ(笑)」という囁きが、会場のあちこちから聞こえてきたのは言うまでもない。
そしてその直後、中原に代わって入った西村(ユース)、負傷の曽我部に代わって入った千葉(ユース)の「非プロ契約軍団」により、疲れで足の止まった大宮の守備陣を面白いように切り裂いていく。その姿は、「次のベガルタを率いて行くのは俺たちだ」と言わんばかりの、獅子奮迅の活躍だった。
ハーフタイムで下げされられた西山は、彼らから「サブメンバーの役割」というものを、しっかりと学びとらなければならないだろう。
むしろ、後半頭から投入された飛弾のほうが、より可能性を感じた。記録を見ただけでも判るが、1点目の奥埜の得点は、飛弾のシュートの溢れ球であるし、2点目の中原のヘッドのアシストも飛弾である。
長らく試合に出ていなかった事もあり、もしかしたら、始めから「前半は西山、後半は飛弾」という予定だったのかもしれない。だが、いずれにせよ「西山は存在感を示せず、飛弾はそれを示す事が出来た」事に変わりはない。
西山は、上背や体格で劣る分を、スピードやポジショニングで勝負しなければならない。もっともっと、フィジカルの向上と、ポジショニングのケーススタディが必要だろう。まだまだ若い。期待している。
それにしても、奥埜やユース君たちには驚かされた。サテライトと言えど、相手はJ1のチームである。物理的な力量の差はともかく「どんどん勝負を仕掛ける」事のダイナミックさが、如何に観客を引きつけるかを改めて認識した。
あんな試合を、無料で見られるなんて。サテライト観戦はこれだから止められない。(※大半のチームはサテライトも観戦料をとっているが、仙台のホーム戦は全て無料)
そして最後に。
試合終了間際、面白い展開になってきた試合そっちのけで、仙台側ベンチに、一斉に注目が集まった。
なんと、復帰間近のFW中島と、練習参加中のFWサーレスがアップを始めたのだ。筆者の陣取ったメインスタンドベンチ周辺は、一時、試合を忘れてアップ中の二人に喰い入った。サーレスは調子も良さそうで、是非とも仲間になって欲しいと、強く思った。
そして、もうすぐ中島が帰ってくる。最近は平瀬とソアレスの2トップで凌いできているが、トップの試合での運動量と守備貢献を期待できるFWはそうそう居ない。中原も福岡戦では結果を出せなかった事を受け、翌日のサテで見事に結果を出してアピールしてくれたが、中島が復帰してきた事により、ベンチ入りするFW枠の争いが激化するだろう。愉しみになってきた。
試合後半に「魅せて」くれた戦いぶりの面白さに加えて、中島の復帰間近な姿と「生サーレス」を拝めた事は、若干の雨の心配すら漂わせた岩沼に馳せ参じたサポーター諸氏に、何にも勝る「プレゼント」だった事だろう。
試合後、練習している中島とサーレスの2人へ、サポーターからコールが贈られた。もちろん、これから迎える夏場での活躍を期待してのものだ。
厳しい夏場を、現在の主力選手だけで凌ぎ切るのが「至難の業」である事は、誰の目にも明らかである。その不安材料を払拭してくれそうな材料を、チームがこの日、サポーターに示してくれたのではないだろうか。
福岡戦の敗戦を、「良い意味で」忘れさせてくれたチームに、大いなる感謝の意を表したい。
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