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現在、4連敗中。その間の点数推移も、1得点10失点と、守備面に大きな問題を抱えている栃木SC。じゃあ楽に勝てるのか?というと、そうは問屋が卸さないのが仙台のサッカーである。
通例通りの仙台なら、こういう相手に対し、逆に「元気を付けてしまうような勝ち点を与える」という悪い癖が出るものだ。3節前の「20節・福岡戦」などは、その典型的な例であった。当時最下位だった横浜FCには勝っていたものの、これを含む「仙台との対戦前の12戦」では、実に1勝3分8敗と、良いところなど一切なかった福岡に、敵地で元気を与える勝ち点3を献上。絶対にやってはいけない勝ち点だっただけに、非常に痛い結果となった。
今節、対峙する栃木SCも、ここまでの6戦を1勝5敗と、まるっきり調子が上がってこない。もちろん、福岡と栃木の「Jでの経験と実績」を比較すれば、必ずしも福岡戦の時と同じような展開になる、とは予想し辛い。だが、「勝ちたい」という気持ちはどこも同じものをぶつけてくる。仙台というチームからは、どこかそういう「相手の気持ちの圧し」に弱く、相手に勝ち点を譲歩してしまうきらいを感じるのだ。それは、相手の力量に関係ないところで発揮されているように思われる。このため、相手が福岡だろうが栃木だろうが、「不振を極めている相手」であるからこそ、変な癖を再発しないかが心配である。
そんな相手に、どこか「穴」はないか?と、ちょっとデータを確認してみた。
まず、栃木の過去4戦の失点の状況を確認したところ、10失点中、なんと9失点が後半に集中している事が判った。そこで、栃木の今季の全失点も確認した。今季の全34失点中、実に25失点を後半に喫しているのだ。
どうやら栃木は、前半は失点へのケアをしっかりとやれているものの、後半に入ると途端に崩壊する癖があるようだ。もちろん、後半は選手交代や体力消耗、戦術変更などで、前半に比べて攻守の動きが大きく変動するものなので、リーグ全体として、後半に得点が動くケースは比較的多く見られる。(前節の東京V戦などもそうだった)だが、実に73%もの失点を後半に喫しているというのは、おそらくJ2リーグでもトップクラスだろう。
そう思い、こちらもデータを確認した。前半失点の「9」が、リーグトップ3位タイなのに対し、後半失点の「25」は、リーグワースト1位。栃木からみれば、2節前のホーム鳥栖戦の5失点(うち4失点が後半)が響いているが、これを差し引いてもリーグワースト1位の座は変わらない。やはり、後半に極端に守備力が低下する傾向であるようだ。
仮に前半を0-0で終えたとしても、後半で充分に挽回できるだけのデータは揃っている。あとは、中2日で迎えるこの試合を、どのように戦うかがポイントである。
帯同メンバーにおいて、ちょっと気になる状況が。前節を欠場し、今節の復帰に期待された朴柱成は、今節も難しいらしい。左SBには田村がスタメン入りの報道。朴柱成がスタメンを張った試合は目下11連勝中だっただけに、早期の復帰が望まれてはいるが、ここへ来て、朴の足の調子が宜しくない様子。札幌戦へ万全を期すための欠場であれば良いのだが・・・。
ボランチの一角には、久しぶりに千葉が入る見込み。もともとボランチは永井-斉藤-千葉の3人で廻しており、ここは問題ないだろう。むしろ、サブメンバー帯同が予想される富田が、栃木県出身という事もあり、出場できれば「地元凱旋」となる。最近はめっきり出場機会が減ってしまったが、フィジカルの弱さを除けば、膠着状態の時に左右にボールを散らせたり、時折見せる縦への鋭いキラーパスなど「良いもの」は持っているだけに、得点に絡む活躍を是非見せて欲しいものだ。
別な選手でちょっぴり期待したいのは、頭髪を黒に戻した関口。以前、頭髪を金色に染めた際は「自分を追い込むため」という理由からだったが、結局、誰がみても「うだつの上がらない」内容だった。「一回休め」とまで言われたドリブラーは、夏場に向けて頭髪の色を戻し、心機一転か。パフォーマンスは、是非ともプレーでお願いしたい。
そして、現在最大の話題といえば、サーレスの加入により競争が激化したFW陣。国際移籍ウィンドウの関係で、サーレスの出場は7月19日の鳥栖戦からとなるため、現存FW陣で試合に臨むのは、今節を含めてあと5試合となった。サーレス自身まだ23歳と若い選手だが、全世界的に、大舞台で活躍する選手の低年齢化が進んでおり、サーレスが大化けしないとは限らない。出場可能な節まで一ヶ月近くもあり、この間にサーレスもチームにフィットしてくるだろうし、現存FW陣の競争激化は、夏場を迎えるチームにとっては何よりの好材料だ。
だがまずは、目の前の敵を倒すことに集中したい。
東京V戦では、前半は相手にボールを廻され、やや苦しい展開を強いられたが、復調途中でほぼベストメンバーだったヴェルディだからこそできた側面もある。対して栃木は、FW河原がチームトップの5得点と「牽引役」を果たしてはいるものの、東京Vの大黒の動きを見せつけられた直後だけに、決して河原に振り回されるような状況にはならないだろう。
それでも栃木は、「何とか状況の打開を」と、死にもの狂いで食い下がってくるに違いない。特に失点の多い後半は、より一層の守備への集中を見せて来る可能性もあり、前述したデータ通りの結末を期待できるかどうかは、やってみなければ判らない部分もある。
そこで、後半に守備が崩壊すると判っている相手であるからこそ、敢えて前半から積極的に得点を狙い、「リーグ3位タイの失点の少なさを誇る前半」のうちに、相手の自信を打ち砕く先制点を挙げてしまう事が重要だと思われる。その良い例が、栃木-鳥栖戦だ。前半7分に鳥栖のハーフナー・マイクに先制点を許したかと思えば、後半は怒濤の4失点。特に、後半ロスタイムにも2失点を喫するなど、守備への集中が最後まで続かないのは、現在の栃木が抱えるシンドロームと言えそうである。
そうなってしまえば、只でさえ10戦1得点の攻撃陣は、落ち着きを失って組織的な攻撃はできなくなるだろう。先制点を許して尚、どれだけ落ち着いて同点・逆転弾に繋げられるかは、チーム全体に漂う「それでも逆転できるという空気」が必要だが、10戦1得点のチームに、そんな空気があるとはとても思えない。
栃木GK・小針には申し訳ないが、今しばらく「Jの洗礼」を浴び続けて貰う事になるだろう。
仙台としては、ここで立ち止まっている訳には行かないのだ-。
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