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甲府からみれば、3位・湘南に勝ち点2差を付けられてしまい、昇格圏争いから一歩後退。
そして仙台からみれば、C大阪の追撃は成らずとも、4位・甲府を昇格圏争いから叩き落とし、自らの昇格圏の座をより一層確固なものとした一戦となった。
それを考えれば、小瀬のジンクスを破っての勝利こそ成らなかったものの、第二クールでの対戦時の反省を活かし、失点を金信泳に許した同点弾のみに留め、最低限の勝ち点1を獲得できた事は、一定の評価に値する。
流石に、お互いリーグ失点数1位と2位の「堅い」試合だった。ともに勝ち点3を目指して臨んだ試合だったが、相手に先に点を許せば、追い付くのは容易ではない事が脳裏にあったのだろう。お互いがお互いのチャンスの芽を潰す事にやっきとなり、お互いがシュートまで持ち込む事すら難しい前半だった。
ハーフタイムでお互いのシュート数を確認してみると、甲府が4本、仙台が2本。特に仙台はアウェイという事もあり、前半を0-0で折り返しての後半勝負は、誰の目からみても上等な戦い方であっただろう。前回の小瀬での対戦で、試合開始後僅か2本でガウボンに先制点を許した事や、あれ以降に中原のスーパーサブとしての覚醒がみられた事から、前半終了時点での0-0は、決して悪くない展開と言えた。
そして迎えた後半。試合は、それを観ている者の思い描く通りに、一気に「静から動」へと、試合の流れを大きく変化させていく。
甲府はこの日、右SBの杉山新の出場停止を逆手にとり、3バック気味の3-5-2布陣。そのため、サイドを起点としたい仙台の意図が嵌れば、甲府3バックの両サイドを破ってチャンスメークに繋げる事も出来ただろうが、甲府の出足の速さ・リスタートの早さに苦しみ、思うように決定機を作る事が出来ずにいた。
3バック気味にして中盤の人数を増やした甲府と、もともと両SBが高い位置取りで攻撃参加する仙台。必然的に、中盤での競り合いと潰し合いが激しくなり、お互いが中盤で奪ったボールを、前線で待ち受ける、互いの "18番" エースストライカーに素早く渡す展開。
前半こそ0-0でスコアレスだったが、後半32分。ゴールが決まるとすれば、梁のアシストだろうと思っていた矢先、やはりその梁からの見事なスルーパスに反応した、"仙台の18番" ソアレスが、相手DFと競り合いながらも、実によくコントロールされたループシュートを撃ち、これが甲府GK・荻の頭上を綺麗に越し、反対側サイドのゴールネットを揺らした。
歓声に溢れる仙台サポーター。両手の指を天に高々とかざし、ゴールを決められた事の喜びを体いっぱいに表現するソアレス。仙台の堅守を考えると、この1点はあまりにも大きく、そして甲府を勝ち点0の奈落の底に突き落とす、待望の先制点だった・・・・・
・・・・・はずだった。仙台の先制点から僅か4分後、仙台の守備の「一瞬の隙」を、"甲府の18番" 金信泳が見逃さず、渡辺広大のブロックよりも一瞬早く、ダイレクトシュート。これがゴール左隅へ刺さり、あっさりと同点弾を許してしまった。
堅守同士のチームが、お互いの "18番" エースストライカーの得点により、両者痛み分けのドロー。これが第一クールの対戦なら、「次の対戦で決着を」と言いたいところであるが、この試合が今季の最終対戦。そして仙台は、甲府に一勝も挙げる事なく、残り10試合に臨む事となった。
不思議なのは、甲府に一勝も出来なかった仙台が、甲府よりも勝ち点で4つ、上に居るという事実。負け数も仙台より少ない甲府が、4位に甘んじている理由。それこそが、昨年の仙台が露呈した「引き分け試合の多さ」である。
甲府の41節終了時点での13引き分けは、札幌・富山と並び、リーグトップタイ。このうちの2つ~3つを勝利できていれば、今頃は勝ち点で仙台を抜き、C大阪と首位争いをしていただろう。だが現実は、今季、一度も負ける事の無かった仙台に4差を付けられての4位。「上位相手には良い試合をするのに、引き分けが多すぎて昇格圏になかなか手が届かない」という甲府の現状は、まさに、昨年の仙台そのものではないか。
その点、仙台は、昨年の反省を活かし、引き分けの試合を勝ち試合に持ち込む強かさを身に纏って今季を戦っている。ならば、甲府との対戦成績も、甲府に付けている勝ち点差の通りとしたかったところであるが、終わってしまったものは仕方ない。その分、残された10戦を、しぶとく戦うのみである。
上位との対戦では絶対に負けず、下位からはしっかりと勝ち点3を奪う。それがJ2リーグにおける昇格争いのセオリーであり、甲府に今季負け越しこそ喫したものの、そのセオリーをほぼ踏襲できている仙台が、2位という好順位に付けていられるのは、紛れもなく実力である。そこは、自信に持って良いところと思う。
勝てば、4位・甲府に7差を付ける最大のチャンスだったが、やはりジンクスというものは、簡単に破れるものではなかった。だが、トータルで昇格を達成できれば、それで良いはず。あくまでも優勝を狙うと指揮官は明言してはいるが、本当に大事なのは、優勝する事よりも「4位に差を付けて昇格圏に確実に留まる」事に尽きる。
その点において、指揮官の今節試合後のコメントにある「ゲーム中には一切引き分けは考えていませんでした。」の一文は、些か真意を計りかねた。第二クールの対戦での「失敗経験」と、勝ち点で4を上回っている事実を考慮すれば、今節の戦いにおいて、ドロー決着は仙台の勝ちに等しく、また甲府の負けに等しい。試合の流れによっては、無理をせずにドローで終了する事も、強かな試合運びという意味では正解の部類に属する。
よって、指揮官の発したこの一文は、あくまでも「メディア向けのリップサービス」と思いたい。もし本気で「引き分け決着を考えていなかった」とすれば、我が軍の指揮官は、まだまだ甘いと言わざるを得ないが、2年近くJリーグの監督をやっていて、そんなはずも無いだろう。口では「優勝を目標に」とは言ってはいるが、その実、昇格圏に確実に留まるための施策を最優先に考えていると信じている。
次の試合は、またすぐにやってくる。本当に今季のJ2リーグは、過密日程だ。クラブや選手も大変だとは思うが、一喜一憂するサポーターもまた同じ。年間通して、51回もの喜怒哀楽が産まれているかと思うと、早くこの心労が「結実」してくれる事を、切に願って止まない。
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