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鳥栖・仙台お互いにとって、この試合は「ピッチとの戦い」を強いられた一戦だったと言えるだろうか-。
真偽の程は定かではないが、佐々木氏のラジオ3アウェイ実況中継によれば、鳥栖の磯崎から「佐賀陸上競技場は砂が浮いている状態」という、ピッチコンディションに関する情報が寄せられたらしい。事実、映像で見る限りでも、現地のピッチ状態は、必ずしも良くはなかった。
翌日の河北紙によれば、試合後の岸野監督のコメントに「(ピッチ状態が悪く)仙台にも迷惑をかけた」とする談話もあった様子。それを言わしめるくらい、よほど悪い状態だったのだろう。
鳥栖から見れば、本来ならハーフナーの高さをターゲットとして攻撃したかっただろうが、それが適わぬ今節は、ロングボールで仙台DFの裏を突くサッカーをしたかったのだろう。またそれは、仙台もしかり。パスを繋げる事に苦しむ両者が採った手法は、結局、ロングボール主体のサッカーとなった。
仙台が風上に立った前半。ハーフナーというターゲットを欠く鳥栖は、山瀬と高瀬の2トップ。これは予想の範囲内だったが、予想に反した事もあった。それは、「鳥栖は鳥栖らしく、前からのプレッシングを積極的に仕掛けてくると思った」のだが、それが前半は見事に裏切られた格好。ハーフナーを欠く分、試合への入り方を慎重にしてきたのか、鳥栖は思ったより前には出て来なかった。これには意外性を感じたが、ピッチ状態の悪さとハーフナー欠場という状況を考えれば、この戦い方へのシフトは、鳥栖にとっては必至だったのかもしれない。
案の定、前半の試合の主導権は仙台が握る事に。6:4、いや7:3くらいで、ポゼッションは仙台だっただろうか。だが、引き気味の鳥栖に対し、やはり仙台もフィニッシュまで持ち込む事はなかなか適わず、前半を終わってみれば、仙台4本、鳥栖1本というシュート数の少なさだった。
得点が動いた後半。鳥栖は立ち上がりから前線にトジンを入れ、ようやく鳥栖は前線にターゲットが出来た状況。前半に溜めていた「鬱憤」を晴らすかの如く、鳥栖はトジンを起点にして、山瀬が立て続けに仙台ゴールを急襲。
もちろん、仙台も負けてはいなかった。山瀬にゴールを脅かされたその直後、今季初先発の木谷が、CKから豪快なヘディングを打つも、軌道は枠の外。競り合いでは完璧に勝っていただけに、これは勿体なかった。
お互い、後半の頭から激しく競り合うようになってきた、後半11分。ピッチコンディションを考慮し、採ってきたロングボール主体の攻撃が実を結ぶ。最終ラインのエリゼウから、前線の関口に一気にボールを繋ぐ。関口は鳥栖DFの渡邉がボールを一瞬見失うのを見逃さず、PA内右隅で一気にボールを前へ運び、右足でクロス。その精度は抜群の軌道を描き、鳥栖DF柳沢との空中戦勝負を制したサーレスがヘッドでこれを押し込む。自身8試合ぶりの出場を、先制ゴールという形で見事に飾った。
サーレスは、前半にもヘッドで惜しい場面を作っており(いや、あれは足で決めるべきだったのではと未だに云々・・)、調子の良さをアピールしていたが、見事に期待に応える活躍。ソアレスを不調で欠く中、復調してきたサーレスが代わって結果を出すあたり、今季の選手獲得と補強は「当たり」と判断して良いのではないかと考える。(外国籍選手と言えど、1年を通して活躍し続けるのは難しいもの。ピンポイントとしてのサーレス補強は、ある意味で正解だったと思っている)
・・と、ここまでは、仙台のゲームプラン通りだったのだろうが。
鳥栖も、タダでは起きなかった。一番気を付けなければならない時間帯。それが「得点直後の時間帯」なのだが、サーレスの得点から僅か4分後、鳥栖に与えたCKの競り合いでエリゼウが負け、鳥栖DFの渡邉に豪快にヘッドで決められてしまった。
ここに、一人の鳥栖の選手が浮かび上がってくる。DF渡邉。仙台の先制点は、関口との競り合いで、彼がボールを一瞬見失うというミスからもたらされたものであったが、逆に失点は、そのDF渡邉自身によるもの。彼のミスによって仙台は先制点を獲り、そして彼の奮起で同点弾を許してしまった事になる。
試合後のインタビューでも、DF渡邉は「自分ミスからやられてしまったので、なんとしてでも取り返そうと思った」とある。セットプレーという、相手に有利な状況下での失点シーンではあったが、エリゼウですらも競り負ける気迫のダイビングヘッドは、敵ながら賞賛もののプレーであった。
戦前のプレビューで、「仙台は、相手に気迫と運動量で負けてはいけない」と書かせて頂いたが、まさにその「気迫」の部分でヤラれてしまった格好となった。
その後、お互いが追加点を狙って果敢に攻め合うも、両者譲り合わず、1-1のドロー決着。仙台はせっかくの先制点を勝利に結び付けられず、また鳥栖は、気迫の粘りこそ見せたが連勝を仙台に止められてしまい、昇格レースから1歩も2歩も後退する、限りなく敗戦に近いドロー劇となった。
今節、首位のC大阪と、3位甲府・4位湘南の3チームが全て勝利を収めたため、仙台にとっては首位争いから1歩遠ざかる一戦でもあった訳だが、それ以上に、鳥栖にとっては昇格圏から8差と、大きく引き離されてしまった。残り試合数(6試合)を考えると、非常にダメージの大きい結果である。仙台としては、首位争いから一歩後退した事のトレードオフとして、鳥栖を昇格レースの有力候補から事実上引き摺り下ろす事に成功したと言えるだろう。
そして、面白いのはここからである。敢えて、鳥栖の今後の奮起に期待したい。
次節より、ハーフナーマイクが戦列に復帰する鳥栖は、今季最後の望みを託して、湘南・甲府との連戦を控えている。ここで勝ち点6、つまり2連勝を達成できなければ、鳥栖は昇格レースから事実上の脱落となる。それも、勝ち点10差のある2位仙台まで届く事はまず不可能で(数字上の可能性はあるが)、実質は「甲府・湘南の3位争いに加われるかどうか」という点になる。
ここで鳥栖が奮起してくれれば、仙台から見ても、3位争いから距離を置く事ができる。そして、第49節には、甲府と湘南の直接対決(仙台はC大阪との直接対決)もある。3位争いが、鳥栖も含めた3チームで混沌としてくれれば、仙台としては「願ったり適ったり」である。
もっとも、それを「皮算用」するためにも、仙台としても続く草津戦・札幌戦は「試金石な2連戦」となる。敵が勝手に転んでくれるのは構わないが、自らの歩みを止めては、何の意味も無い。仙台は仙台で、今節の結果に関わらず、続くホーム2連戦は、ホーム連勝の記録を伸ばす意味と共に、2位以上を安泰とするために、絶対に勝たねばならない試合である。
第49節の展望を、「C大阪との首位攻防戦」vs「甲府・湘南・鳥栖の3位争い」という、二大サブジェクトにできるのか。それとも、C大阪の首位独走を許し、「仙台・甲府・湘南・鳥栖の4チーム」で、最終戦まで2枠を争う、熾烈な戦いを強いられる事になるのか。
いずれにせよ、そのキャスティングボートを握っているのは、間違いなく仙台である。
次の試合は、中2日ですぐにやってくる。疲労の癒えた、出場停止開けの渡辺広大の復帰に期待しつつも、今節を含めたこの3連戦にサーレスが間に合ったのは大きい。これでソアレスが復帰してくれれば、FW先発の駒揃いの意味で、もう言うこと無しなのであるが。
さぁ、過ぎ去った試合は忘れ、いざ草津戦へ。ホームで最後に勝てなかった相手でもあり、その時もミッドウィーク開催だった。今季最後の平日開催。中2日の勝率が以外に良い仙台としては、今度も都倉にヤラれてしまわないように、入念に守備の再チェックを。
J1昇格達成へ向け、ここで足踏みをする訳には、絶対に行かないのだ。
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