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もはや、このチームに「プレッシャー」という言葉は似合わないのか?
そう言いたくもなるほど、仙台は今季最後のアウェイの地、鳴門大塚で、徳島0-4仙台の完勝劇を見せてくれた。開始開始直後こそ、徳島の出足と勢いに飲み込まれそうになり、あわや失点という場面も招いてしまったが、それこそ「いつものアウェイの戦い方」よろしく、序盤は相手の出方の様子見を行い、徐々にこちらのペースに相手を引き摺り込んでいく。
相手にとっては、まさに「蟻地獄」とも比喩できそうな戦い方で、ここ4試合1失点と守備面では好調だった徳島から、じわじわと得点を奪い、次第に奈落の底へ突き落としていった。
前半24分、仙台の最終ラインから一気に出たフィードに反応したソアレス。「今週は今季で一番の出来」と監督がコメントするほどパフォーマンスの良かったソアレスだったが、それを証明すると言わんばかりに、個人技で、徳島のディフェンスラインをものともせず、これを強引に突破。徳島も易々とマークを離してはくれなかったが、そのマークを引き連れたまま、ソアレスはGKの頭上を越す、美しいライナー性の軌道を描くシュートを撃つ。そのシュートの「絶妙な高さ」は、徳島GK・上野の延ばした手と、バーの間を見事に射抜き、ゴールネットのど真ん中に突き刺さる。
前半こそ、仙台はこの1点に留まった。が、5試合で1失点と、守備に関しては好調を維持していたはずの徳島には、充分にボディブローとして効いた「一発」となったように思われた。
そしてこの一発は、90分を通して見たあとの感想としては、「序の口」に過ぎなかった事が明らかとなる。
迎えた後半。仙台得意のセットプレーから、「ミスター仙台」千葉が、徳島のマークをスルスルと外し、どフリーで撃った豪快なヘッド。GK上野は、一歩も動けなかった。
更に、絶好調・ソアレスの野獣のような攻撃から生まれた、GK上野の溢れ球を、詰めていた関口が難なく押し込む。これで3点目。
最後は、途中投入された中原のシュートの溢れ球がソアレスの元に舞い込み、それをGK上野と競り合いながらも、そのニアを見事に射抜き、角度の無いところから、この試合自身2点目となる、ダメ押しの4点目を突き刺す。
後半、怒濤の3得点。徳島は、守備こそ好調を維持していたが、反面、攻撃面では「4試合で無得点」と、逆に不調のどん底に居た。そんな得点力の状況下で、仙台に前半のうちに先制点を許してしまった事が、徳島の後半の足を止めてしまったのだろう。後半、時間が経過するに連れ、仙台は得点を重ね、しかも連携のスピードは一向に落ちない。対する徳島は、どんどんと各選手のスピードが落ち、守備をしたいディフェンスと攻撃をしたいオフェンスの意志が統一されぬまま、中盤は間延びし、更に仙台に攻撃のスペースを与える結果となっていった。
終わってみれば、仙台・4得点の快勝。対する徳島は、戦前までのデータの通り、1点の報復も撃つ事が出来ず、ホーム最終戦を勝利で飾ることが出来なかった。
あまりの盤石ぶりに、映像を通してみていても、これが本当に、あのベガルタ仙台なのか?と、目を疑いたくなるほど。これで、連勝を5に延ばしたが、この5試合は全て無失点。得失点差も+48と、なんとC大阪に追い付いてしまったのだ。
しかもこの試合は、リーグ終盤に来て復調してきた、FW中島と、そして右サイドバックの主力として君臨してきた菅井の2名の主力を欠いて臨んだ一戦である。ふつう、こういった主力の欠場がある場合は、「その穴をどうやって埋めるのか?」という点が話題に上るが、仙台は、いともアッサリとその疑問に即答。ソアレスと田村の先発起用により、これまでと寸分違わない、いやむしろ、これまで以上のパフォーマンスで徳島を圧倒。「誰が出ても同じパフォーマンスを」という、チームコンセプトをそのまま体現したかのような起用と、そして見事に、ソアレスと田村はその役割を果たした。
ソアレスの2得点の陰に隠れてしまいがちだが、菅井のバックアップとして出場した田村も、きちんと右サイドで徳島の左サイドの攻撃の目を摘み続けていた。菅井のように、果敢にゴール前までオーバーラップするような事はほとんど無かったが、ソアレスの「圧力」を考えれば、無理に攻め上がる必要も無かっただろう。
いいのか。本当にいいのか。こんなに強くて。
来季の分まで、今季中に運を使い果たしてしまっていないかと、余計な心配すらしたくなるような、豪快な勝ち方。鳥栖にアウェイで引き分けたあとの5試合とも、全て完封勝ち。しかも、手堅く行かなければならないはずのアウェイ戦で、水戸と徳島を相手に、合計で8点も稼いでしまった。また、スコアレスで終わろうとしていた、ホーム・C大阪戦でも、朴の劇的な決勝点という「勝負強さ」まで備えて来ている。
応援する側からみても、怖いくらいに強くなった仙台。だが、今節は決して「ソアレスという個の力」だけで勝った訳ではなく、そのソアレスに守備をも求め、そしてソアレスがそれをきちんとこなせるようになった結果、前線からの守備が効き、その事が、中盤の守備の負担を軽減している。それが好循環を招き、90分間、全体的な運動量を落とす事なく、常にパスが中盤で繋がり、また常に相手の持つボールにプレスを掛けられるようになった。試合が終盤になればなるほど、その傾向は顕著であった。
そして、相手の運動量が落ちれば、相手のミスや隙を突いて得点する「ソアレスの個人技の炸裂」に繋がってくる。その最たるものが、4得点目のソアレスのゴールだろう。ゴール前での中原のシュートの溢れ球が、たまたまソアレスのところに行った格好とはなったが、既に体力も判断力も限界に近かった徳島のディフェンス陣には、もうソアレスの個人技を止める力は残っていなかったと思う。
かくして、今季最後のアウェイ戦が終わった。運の悪戯だったのかもしれないが、試合後、この日は、仙台にも在籍したGK高桑の引退セレモニーも。仙台サポーターからも、熱い感謝の声援があったようで、高桑にとっては、ノーサイドで見送って貰えたという気持ちでいっぱいだったに違いない。ありがとう高桑。仙台の歴史の1ページには、間違いなく君の存在が欠かせない。
それにしても、既に昇格も決まっており、かつ、前日にC大阪が勝利したため、この試合で何かが決する訳ではなかった一戦に、よくぞあれだけの仙台サポーターが駆けつけた。声も良く通っており、どちらがホームか判らないほどだった。もっとも、この試合で昇格や優勝が決する可能性も決して無くはなかっただけに、現地に足を運んだサポーター有志には、おめでとう、そしてお疲れ様と言いたい。
また、筆者は「参戦」しなかったが、勾当台公園でのパブリック・ビューイングにも、1,200名を越えるサポーターが駆けつけたとの事。16時キックオフという事は、試合終了の頃には、もう辺りは真っ暗になり、気温も下がる事が予想される中での観戦は、さぞかし体に堪えただろう。だが、ゴールが決まる度に、その寒さは忘れていったに違いない。その意味でも、ゴールが4つも決まった事は、地元で応援するサポーターにも、良いプレゼントとなった事だろう。
多くの期待と不安を胸に、ここまでのリーグ戦50試合を、チームとサポーター、共に戦い抜いてきた。
チームは、昨季の入れ替え戦敗退の悔しさを糧に、大きな上積みと成長を成し遂げた。
サポーターは、チームの躍進を信じ、決して多くないお小遣いから観戦チケット代を捻出し、必死に応援してきた。場合によっては、多額の旅費を掛けて、アウェイの地にまで参戦した。
全ては、昨季までの悔しさを、共に晴らすために。
次節、集大成の一戦。今季のリーグ戦も、12月のホーム愛媛戦を残すのみとなった。既にチケットは完売し、その刻が来るのを指折り数えて待つだけである。
チームのほうは、もう何の心配も要らないだろう。中島や菅井の復帰があるのかどうかなどは、もはや問題ではない。常に「ベストな選択で試合に臨む」姿勢を貫く指揮官に任せ、私たちサポーターは、その刻が来るのを楽しみに待っている事としよう。
勝って、今季のJ2優勝を-。
私たちの目指す「完全昇格」は、もうその手の届くところまで来ている。だが、チームもサポーターも、その刻が来るまでにするべき事は、何も変わらない。これまでのリーグ戦同様、チームは静かに「いつもと変わらぬ準備」をし、そして私たちサポーターは、粛々と、日々の仕事に、家事に。充実した、残りの刻を過ごそう。
2009年、12月5日。
その日、私たちは、歴史の「目撃者」であると共に、みなが「当事者」となる-。
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