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7季ぶりに、ホームで迎えるJ1の舞台。その対戦は、戦前から「お互い背負うもの」を携えてのものとなった。大宮は、DF塚本のがん闘病(正確には骨肉腫という病気だが、骨のがんと呼ばれている)のサポートのため。そして仙台は、雪で覆われたピッチを除雪してくれた、多数のサポーター・仙台商業の生徒諸氏の想いに報いるため。それぞれ、背負うものの内容や質は異なれど、目指すものは「勝利」という結果。それを見据えて、ピッチ上では前半の序盤から、激しい攻防が繰り広げられた。
この試合を、結論から言ってしまえば「セットプレーの持ち味の差」と表現できるだろうか。大宮のDFマトに決められた、前半40分の豪快なフリーキックは、もはや「お見事」の一言しか言いようがないもの。恐らくあの弾道とスピードは、日本代表の楢崎(名古屋)や川島(川崎)でも止めるのは容易ではなかっただろう。
だが、逆を言えば、大宮に許した失点は、僅かにこの1点のみ。
セットプレーの守備に関しては、おそらくJリーグ1番の集中力を備えている仙台は、これ以外のセットプレーや流れからの大宮の攻めを、自慢のセンターバック2枚看板であるエリゼウ・渡辺が尽くブロック。安定度バツグンのGK林のキーパーぶりも含め、観ていて不安を感じない守備であった。
そしてやはり、仙台の「セットプレーの攻撃」は、昨年までと同様に、充分私たちの期待に値する武器である事を、J1の舞台でも改めて確認できた。
ただ、敢えて苦言を呈するなら、今節の3得点全てにおいて、「運」が左右した側面を否めない。もちろん、運を呼び込む力量を含めてのチーム力ではあるとは思うが、それを差し引いたとしても、必ずしも3得点全てを「完璧な攻撃」で奪い取った訳ではなかった。
1得点目。梁が決めたPKの場面。
きっかけは左CKの競り合いで、渡辺広大が相手にエリア内で倒されて得たPKだった。これを梁が大宮ゴール右隅を狙って力強く蹴り込んだが、大宮GK北野の左手が僅かにボール触れ、ボールは弾かれて右ポストへ。普通ならそのままクリアされるか、再びCKへと逃れられてしまう場面だが、運良く、ポストに直撃したボールが、GK北野の「倒れた体」にヒットし、そのままゴールイン。非常に珍しい決まり方であった。
2得点目。エリゼウが決めたFKの場面。
大宮ゴール右斜め45度くらいの右サイドから梁が蹴り込んだボールを、千葉がヘッドで更に奥へ流し込む。このボールが、千葉の後方に居た敵・味方の誰もが触る事なく、そのまま大宮ゴールの左側へ流れていった。そしてそこへ居たのは、両チームを通じて一番ファーに詰めていたエリゼウ。難なくこれを押し込み、2点目をゲット。
3得点目。フェルナンジーニョの仙台デビュー弾となったCKの場面。
梁の蹴る右CKを、エリゼウがヘッドでゴール方向へ軌道を変える。この先に位置取っていたフェルナンジーニョが、更にヘッドでシュート。このボールは大宮GK北野に一旦は阻まれ、バーを直撃してしまい、ゴールライン上でバウンドしてしまった。厳密には、この時点はまだゴールラインをボールが完全に割っては居なかったため、クリアされればノーゴールとなっていたところだった。
ところが、そのボールをクリアしようと詰めてきた、大宮の右サイドバック・杉山新が、誤ってこのボールを「押し込んで」しまった。その結果、仙台のゴールが認められた。(記録上はフェルナンジーニョの得点)
もちろん、得点差を2点として勝利した事を思えば、この3得点のうち、どれか1点が決まっていなくても、2-1で勝利できたと思う。だが、セットプレーでの得点は、必ずしも毎試合のように当てに出来る武器では無い。90分を通して不発に終わる場合もあり得るだけに、あくまでも「流れの中からの得点に乏しい時のオプション得点源」と考えるべきだろう。その意味では、今節、大宮の屈強なセンターバックであるマト・深谷に対し、流れの中からの得点を奪えなかった事は、小さいながらも今後の反省材料とすべきだろう。
もっとも、7季ぶりのJ1の舞台。しかもホーム開幕戦である。運でも何でも利用して、大宮に快勝し、暫定ながら首位に躍り出た事実は、間違いなく他のチームに対し大きな影響を与える事だろう。
試合後、あるサポーター氏が言った。
「今は、J1の舞台に慣れるまでは、内容よりも勝つ事が大事。勝つことで自信が付き、実力も付いてくるでしょう」
それを聞いたとき、今の仙台が、「事実上のJ1・1年生」である事を思い出した。
そうなのだ。前回のJ1在籍時の主力が残っている訳でもなく(強いて言えば千葉直樹だけか)、2004年から全てをやり直しているチームなのだ。いくら、昨年の天皇杯でJ1チームとの対戦を経験しているとは言え、相手にも主力欠場やコンディションの問題があり、必ずしも万全では無かったのだ。それを考えれば、相手がベストコンディションな状態で挑む、初めての年なのだ。
この際、運でもなんでも利用して、結果を残し続けなければならない。そうしないと、1年でまたJ2に転落する事にも成りかねない。勝ち続ける事で、修正点も前向きに改善する気持ちになり、チームの雰囲気も良く、次の試合へ臨める様になるだろう。
今節のレポートに話を戻せば、大宮とのこの対戦は、常に中盤でのボールの奪い合いであった。1節の磐田戦と同様、相手は「J1のチーム」である。過酷なリーグを生き残るため、やはりプレーの精度やスピードは高いものがあった。
それでも、今節の内容を見ると、磐田戦のように「試合終盤まで、終始押し込まれ続ける」事は無くなり、大宮の圧力を丁寧に返して反撃のチャンスを作る事は出来ていた。ホームの雰囲気も当然ながら味方しただろう。その点では、充分に改善は見られた試合だったと言える。
なお、選手単位で気になっているのは、前半5分に大宮DFマトとの競り合いで頭を強打し、早い時間帯でフェルナンジーニョに交代した、FW中原。接触後のプレーでも、目の焦点がクリアにならず、自らの判断で交代を要請したくらいである。脳に深刻な影響が無ければ良いが。
また、プレーの荒さが目立った選手として、ボランチ富田を挙げる。いくら体格的に厳しいとは言え、良いプレーと悪いプレーの差が激しすぎる。J1昇格達成の功労者の一人でもあるだけに、早急な改善が求められる。でなければ、鳥栖から来た高橋あたりに、ポジションを奪われかねない。
とにもかくにも、無事、J1の舞台をホームで迎える事が出来た。この日を待ち侘びて駆けつけた、18,000に迫るサポーター諸氏は、十二分に、J1の楽しさを味わえた事だろう。
仮に、同じサッカーの試合であっても、やはり相手が「J1級」であるのと、そうでないのとでは、自ずと「試合の醍醐味」に差が出てくる。それは、1節の磐田戦しかり、今節の大宮戦しかり。やはり、J1は愉しい舞台だ。1サッカーファンとして、日本最高峰リーグの醍醐味を味わえるのは、やはり素直に嬉しいものだ。
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ところで今年からは、アウェイでしか愉しめなかった「佐々木聡氏の試合ラジオ実況中継」が、ホームでも愉しめるようになった。
個人的には、以前から「サッカー観戦初心者向けの試合解説手段」として、ラジオによるホーム試合中継の実現を望んで来ただけに、実は大変嬉しく思っている。
早速今節、ラジオを持ち込んで、佐々木氏の実況を愉しんでみた。結論を言ってしまえば、目の前の試合の状況が、次から次へと耳に飛び込んでくる「試合内容の把握のし易さ」に、改めて感動を覚えた。目の前で起こっている事がどんな事なのかを、その場で知る事が出来る。これは、サッカー観戦の初心者であればあるほど、貴重なデバイスと言える。
機会があれば、このラジオ中継の愉しみ方について、当ブログにてサイド・レポートも執筆してみたいと考えている。
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