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神戸戦で失っていた「仙台らしさ」を、確かにこの湘南戦では取り戻していた。だが、勝利には程遠い内容。相手が昨年まで同じカテゴリーだった湘南と言うこともあってか、試合は「形」には成っていた。それでも、最後の決定力の不足に無き、湘南の反撃弾となった、CKからのセットプレー一発に沈んだ。
この日の仙台は、前節から3人の先発メンバーを入れ替えて臨む事になった。結論を急ごう。太田は合格点、鎌田は及第点の出来と見えた。そして先発に復帰した中島は、申し訳ないが、「やはり」落第点だった。
関口に変えて太田を先発投入した事は、正しかった。要所要所でみせる攻撃性の高さと判断の良さは、充分に期待できるものがあった。どこがどう良かった、というレベルではない。既にサポーター皆が認めている通り、彼はやはり「J1の選手」だったという事だ。もしこの先、足の不調の回復のために梁を休ませなければならないとすれば、間違いなく太田の一択であるはずだ。そこに疑いを持つサポーターは少ない、と見て良いと思っている。
渡辺に変えて鎌田を投入した事も、大きな収穫となった。安定したディフェンディングに加え、前評判の高かった前線へのフィードも、前半19分の中島へのロングフィードという形として表現してみせてくれた。自陣左サイドの深い位置で敵から奪ったボールを、前線に居た中島目掛けて正確なロングフィード。その精度は見事で、走り出した中島に見事に収まった。この展開の結末については、中島が目測を誤り、GKの上を越す様に撃ったループシュートはバー上部のネットを揺らし、残念ながら得点には至らなかった。しかし、「狙って出した」という鎌田のその精度の高さは、今後も大きな武器となるはずだ。
結局この試合は、ある程度「自分たちのサッカー」を取り戻す事ができたが、それを勝利に結び付ける事ができず、手倉森監督下では初めてとなる3連敗を喫する事となった。
この試合の敗因は、いったいどこにあるのだろう。それを問うたとき、サポーター諸氏は、みな口を揃えて、こう言うだろう。
「決定力が無いからだ」
この問題は、何も今に始まった事ではない。以前から、仙台の攻撃陣の決定力の無さは、ことある事に顔を覗かせてきた。だがそろそろ、いい加減なんとかしないといけない時期に来ているのはないだろうか。
この試合、「可能性を感じる」シュートは、全部で11本だった。公式記録のシュート数は15となっているが、その中から「比較的フリーで撃てたシュートで、得点の有無がプレーヤーの技術力に大きく依存したと思われるもの」を抜粋した数字である。なお、角度が無く、可能性が低かったものや、相手にシュートコースを消されてボールが枠に飛ばなかったものについては除外している。
前半:5本
05分:左CK 太田→中原(枠上)
08分:中盤 太田→中原(GK)
13分:右CK 太田→エリゼウ(GK)
19分:左後 鎌田→中島(枠上)※ロングフィード
34分:左FK 梁→中島(枠左)
後半:6本
11分:左前 ~中原(GK)
15分:左CK 梁→千葉(GK)※ニアでヘッドもGK
37分:中央 ~中原(GK)※ミドル
39分:右CK 梁→エリゼウ(枠左)※ニアでヘッド
44分:右前 ~菅井(枠に行かず、ほぼ真左へ飛ばしてしまった)
49分:中盤 ~関口(GK)※ミドル
これだけ可能性のあるシュートシーンを作っておきながら、全て枠外か、或いはGK正面だったのだ。
それも、今回の相手は、同期昇格組の湘南。こう言っては申し訳ないのだが、これまで対戦してきた相手と比べると、やはりまだJ2のレベルを脱していないと見た。プレーの精度の問題や、最後の決定力という点においても、J1で通用するとは思えない、完成度の低さだった。もしここにジャーンが万全であったとしても、それは大きく変わらないだろう。
だがそれでも、仙台は、そういうチームにすら敗れてしまったのだ。
やられてしまった、右CKの場面。最近では仙台キラーとまで言われるようになった、FW阿部吉朗に、ニアでヘッドに合わせられ、見事に仙台ゴールの逆サイドネットを揺らされてしまった。あの形は、仙台も千葉などが得意とする形。阿部は仙台の誰からもプレッシャーを受けず、ほぼフリーでシュートを撃てた。もちろん、阿部のヘッドの精度の高さも、この日唯一の得点を決めた要因である。
記録を見ると、実は、湘南は、この得点が産まれるきっかけとなった右CKが、この日初めてのCKであった。これを含め、湘南がとったCKは、なんと3本のみ。対する仙台は、10本ものCKを奪いながら、1本も決める事ができなかったのだ。
とうとう、"伝家の宝刀"セットプレーすらも、錆び付いてしまったと言うのだろうか。
神戸戦の反省から、メンタル面の問題を強調し、そこを改善できたと思われる状況にまで復調した事は認める。だが、相手がまだJ2レベルの湘南であった事も勘案しなければならない。実際問題として、内容では、湘南と比較すれば、仙台の方が上回っていたと見て良いと思うし、シュート数やコーナーキック数を比較しても、全体的に圧していた事は間違いない。
だが、結局のところ、最後の決定力という部分で、相手に差を付けられ、最後は逃げ切りを許してしまった。
実際のところ、足の打撲による不調を圧して梁を強行出場させた事により、攻撃の展開には些かのパワー不足も感じた。だが、この試合に関して言えば、梁を強行出場させた事が敗因では無いと思っている。そこは、太田の出場によってある程度カバーできた部分ではあっただろうし、実際のCKの精度なども、梁に引けを取らない、素晴らしいものを感じた。
やはり、この試合を通して再認識させられたのは、仙台の決定力の無さ。いくら良いキッカーやクロッサーが居ようと、最後にフィニッシュする選手の技量が足りなければ、いくら組織的に良い攻撃で相手を崩す展開ができても、意味が無いのだ。
そもそも「仙台はセットプレーに強い」と言われる所以は、ひとえに梁の存在があるからこそ故だ。CKにしろ、FKにしろ、或いはPKにしろ、梁が、精度良い、合わせやすいボールを供給してくれるからこその「得点力」だったはずだ。だが、今節はその梁がCKを蹴らず、太田にそこを託した。太田の精度も決して悪くはなかったが、今回は1本も決められなかった。そこは、経験や数を重ねてきた「梁の放つボール」に慣れていた選手が、たまたま太田の放つボールに合わせられる機会が無かっただけの事であり、太田が悪い訳でも、それを受けた選手が悪い訳でも無いだろう。今後、太田がCKを担当するのであれば、これまで梁と同様、セットプレーからの得点に繋がる可能性は高いと考えている。
やはり、最大の問題は「流れの中からのシュートが得点に結び付かない」事にある。そうなれば、梁のセットプレーの精度は関係なくなり、流れの中において、フィニッシュを託された選手の技術力の問題となる。
この3連敗中は、相手のシュートの精度の高さばかりを見せ付けられた。清水戦のヨンセンや本田、永井のシュート。神戸戦の都倉のシュート。そして、湘南戦の阿部のシュート。特に、都倉と阿部は、仙台と同様、昨年までJ2の舞台に居た選手だ。つまり仙台の得点力は、いわゆる「同期」である、J2上がりのFWにすら及ばないのである。
そしてこれは、何もFWに限った話では無い。仙台のウィーク・ポイントは、FWに限らず、誰1人として得点に期待できるシュートを撃てる選手が居ない事だ。もしこの意見に反論できる人が居たら、その選手名を挙げてみて欲しい。もし仮に、唯一、その選手の名前とそのプレーを挙げるとすれば、「梁のFK」以外に、回答の選択肢は存在しないはずだ。
今節は、その梁が、CKを回避するくらいの不調を圧しての出場だったのだ。本来なら休養を取らせるべきであり、おそらく、梁の意見と熱意に押されての出場の許可だったと思われるが、そろそろ梁も、連続出場の記録に拘らず(本人がこれに拘っているかどうかは別な問題として)、足の治療に専念しても良い頃だろう。無理をすれば、ワールドカップへの出場機会すら失いかねない事態に陥る。アピールなら、キャンプ中の代表招集で充分出来ているだろう。今ここで、無理をしても始まらない。
この3連敗という結果は、これまで仙台が改善して来なかった(或いは出来なかった)、フィールドプレーヤー全体の決定力の無さが産んだものだ。そしてもうこの話は、この3連敗だけに限った話でない事は、誰の目にも明らか。J2の頃には、相手のプレーのレベルの低さや、梁の高精度なボール供給によって得点を奪えていたかもしれないが、やはりJ1は甘くないという事だ。
ところで、この試合の結果を受け、筆者なりに感じた事がある。それは、監督の試合後のコメントにみる「危機感の無さ」と、不足していると思われるシュート練習について。
「3年目の3連敗はいい語呂」って、冗談を会見で言っている場合では無い。置かれた状況を、本当に判っているのだろうか。せめて、言ってしまったならば、その部分は記録に残されないよう、オフレコをメディアにお願いするべきだった。こんなフザけたコメントが、将来、何年にも渡って過去の記録として掲載され続けるのだ。一体、何を考えているのであろうか。
そんなくだらない冗談を言う暇があったら、選手に「おまえたちはシュートが下手だ」と、ミーティングで一喝して貰いたい。どれだけの仙台サポーターが、他のチームの選手の決定力の高さを羨ましがり、そして自らの応援するチームの決定力の無さに嘆いていると思うのだ!?撃っても撃っても入らないシュートに、試合中はベンチで業を煮やしていたのではないのか!?その悔しさをコロっと忘れて、会見で冗談を言う余裕などあるのか?
そしてもう一つ。同じ会見の中で、「悲壮感を持つ必要は無い、と選手には話した」と言われているが、危機感は持って欲しい。まずは、選手とコーチ陣全員が、危機感を共有し、シュート練習に最大限励むべきであると思う。それも、ちゃんと相手の守備を付けての、実践的なものを望む。相手のブロックを受けながらのシュートを練習しなければ、何の意味も無い。
いや、今の仙台の選手ならば、仮に「どフリー」の状態でシュートを撃っても、GK正面か、それとも枠外のどちらかだろう。これは、皮肉でも何でも無い。毅然たる事実なのだ。いったい、今季が開幕してからここまで、どれだけの「流れの中からの決定機」を外して来たのだ。まともに流れの中から得点できたのは、磐田戦の梁のゴール(厳密にはスローインからのセットプレーだったのだが)と、鹿島戦のフェルナンジーニョの2得点。そして、清水戦の中原の一矢報いたヘッドだけ。中島に至っては、相変わらず「惜しい」シュートばかりで、その精度は既に「オオカミ少年」級である。いったい、彼のシュートはいつ入るのだ?
ところで、もうそろそろ、根拠のない自信を振りかざしたり、昨年の実績云々の話に固執するのは止めにして欲しい。
これだけの不振を晒しておきながら、これ以上「自分たちのサッカーを貫くだけ」とか、「下を向く必要はない」とか。その根拠は、いったいどこにある?
全ては、最後の決定力を含めての結果によってのみ、勝敗は決せられる。次に「結果」が出るまでは、もう、何を言っても「言い訳」にしか聞こえない。
そして、これはもう止めた方が良いだろう。昨年のJ2優勝という実績への固執。これは、試合後の会見の中の発言でも、実際の練習の根拠としてでも、である。
もう既に、私たちは"J1"のチームなのだ。昨年までの経験と実績は、確かに誇って良いものではあると思う。が、それはあくまでも「昨年までのJ2で培ったもの」であり、今季のこの8節を終了した時点で、既に「仙台のこれまでのサッカー」が通用しなくなってきている事は、誰の目にも明らかだ。
だが半面、「最後の決定力」さえ何とかなれば、そこまでの過程を組み立てる能力は元々あるだけに、一気に上昇気流に乗れる可能性もある。
まずは、シュート練習だ。次のセレッソ戦に向けては、もう下手な小細工など通用しないだろう。相手には、あの香川真司がいるのだ。あの決定力の高さに屈しないよう、こちらも少ない練習時間の中、少しでも精度が上がるように、フィールドプレーヤー全てが技術を磨くしか無いではないか。
忘れてはならないのは、昨年の第7節、ホーム・宮城スタジアムでのセレッソ大阪戦。あの香川に、屈辱的なドリブル突破での逆転・決勝ゴールを許したではないか。
もう一度、あの屈辱を味わいたいか?
少なくとも、筆者は嫌だ。あんな屈辱的な負け方、もう見たくもない。試合が終わってから、「昨年と同じ事をやられて負けてしまった」などという言い訳は、決して聞きたくない。
しかも、次節のセレッソ戦は、NHK-BS1で全国放送される。嫌が応にも、全国の注目を浴びてしまう一戦となるのだ。全国に、仙台の決定力の無さを晒しても良いのか?
これからの一週間。果たして、どのような修正がなされ、どのように決定力が改善されるのか。時間は短いが、試合は待ってくれない。
一つだけ、はっきりしている事がある。それは、このままの状態で今後の試合に臨めば、ワールドカップによれる中断期間までの試合の結果、7連敗も充分あり得る、という事だ。
最後に。
せっかく辿り着いた"J1"の舞台。だがそこは、決して「ゴール」ではないはずだ。この舞台で、この先何年も、私たちサポーターを魅了するプレーを見せてくれるために昇格したはずだ。
決して、仙台サポーターは、今のチームを見捨てたりはしない。いや、出来ないのだ。選手は移籍できても、サポーターは移籍など到底できない存在なのだ。
そのサポーターの期待に応えるためにも、一刻も早く、シュートの技術力を磨いて欲しい。
仙台サポーターは、心待ちにしている。
目の覚めるような弾丸ミドルシュートが、相手ゴールに、豪快に決まる瞬間を。
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