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平瀬、今季初先発-。
その報を聞いたとき、攻撃の連動性復活の予感は充分にあった。今節のプレビューでも、「この試合、とにかく、決定機は数多く創れそうな予感はする」と書かせて頂いたのだが、まさにその通りとなった。
前半6分に、右サイドの梁からのクロスに中島が合わせようとする。これは惜しくも合わなかったが、連動性復活の兆しが見えたシーンだった。そしてこのシーンを皮切りとし、
前半09分:中島ヘッド[枠内][GK正面]
前半30分:中島シュート[枠内][GKパンチング]
前半32分:田村ワイドクロス→平瀬ダイレクトボレー→[枠内][GK正面]
前半43分:関口シュート[枠ポスト左][弾かれゴールならず]
と、枠内もしくは枠に当たるなど、可能性を感じたシュートは、前半だけで4本。特に、中島のシュートと平瀬のボレーはきちんと枠に飛んでおり、相手GKが楢崎でなければ、決まっていた可能性もあった。
惜しむらくは、38分に、エリゼウがPKを献上してしまった事。映像で再確認しても、ファウルに値するほどの悪質なものとは感じられず、ケネディの「演技」に見事に嵌められてしまったのかもしれない、と感じるほど、勿体ないシーンであった。
ただ、後半に入っても、名古屋の攻勢に遭いながらも果敢に攻め続ける仙台の姿勢は、充分にゴールを予感させる、好感の持てる内容であった。但し、平瀬を下げて中原を投入してからというもの、前線でのタメが一気に創れなくなり、代わりに、左右のサイドをワイドに使ったサッカーに変える事で、事態を打開しようと図っていた。
また、この試合では全般的に、永井のドリブルによる仕掛けも有効であった。ボールを失いやすい富田に替わり、先発起用された永井は、持ち前のドリブル突破力を余すことなく存分に発揮し、名古屋の中盤を容赦なく引き裂いていった。そこで崩れた名古屋の陣形を、平瀬のタメによって有効活用する事に成功。平瀬の正確でお洒落なパスワークと、そのセンスは、味方の2列目からの飛び出しを、実に多彩なものに昇華させてくれていた。
(但し、時々、プレーがお洒落過ぎて味方にパスが通らず、苦笑いするしかなかったシーンが散見された事は内緒である)
そして、後半20分にフェルナンジーニョからゴール前の平瀬に送られたクロスを、平瀬が正確なヘッドで名古屋ゴールへ流し込む事に成功。これは惜しくもオフサイドの判定とはなったものの、フェルナンジーニョと平瀬の両ベテランが創出した、この日最初に訪れた、会場盛り上がりの場面であった。また、中原以上の決定力を誇示した場面であったとも言えよう。
残念ながら、このあとに平瀬を中原に替えた事によって、縦への連動性を欠くようになり、中盤での落ち着きを失ってしまったのだが、その後、疲れた永井に替わって入った太田によって、左右にワイドに展開するサッカーにスタイルチェンジする。ボールを廻して名古屋のディフェンス陣を揺さぶり、隙を見せたその瞬間。ボールを持ったフェルナンジーニョが、阻む名古屋の選手2人の陰から、GK楢崎の虚を突くシュートを放つ。このシュートを撃った位置や角度は、前半の関口が左ポストに当てた際のポジションに良く似ていた。そしてそのシュートは、前半の関口と同様、またも左ポストを直撃するも、今度はそのボールは、ゴール枠内に吸い込まれ、日本代表GK・楢崎から、起死回生の同点弾を奪う事に成功した。
喜び狂う、スタンドのサポーター群。前半に与えたPKにより、ビハインドを受けながらも、決して自分たちのサッカーを見失う事なく、できる事を最大限発揮して、ようやく勝ち取った、貴重な、貴重な1点であった。
その後、後半43分に、闘莉王の右クロスからケネディにヘッドで決められた2失点を受け、試合は1-2となり、残念な敗戦となった。2失点目のシーンを見ると、ケネディを見ていたエリゼウはきちんと体を寄せて自由にさせないようにしていたのだが、ケネディはエリゼウのブロックをモノともせず、エリゼウを体ごと吹っ飛ばしながら、頭でボールを仙台ゴールにねじ込むパワーを持ち合わせていた。
思えば、この試合のプレビューで、直近の名古屋の「勝ち試合2試合の決勝点の時間帯」を書かせて頂いたのだが、
第8節 4月25日 vs セレッソ大阪戦:後半ロスタイムの玉田のゴールが決勝点
第9節 5月01日 vs モンテディオ山形戦:後半ロスタイムの闘莉王のゴールが決勝点
というものだった。
今回のケネディの得点も後半44分である事から、名古屋の終盤の粘りに屈した形となってしまった。この失点さえなければ、せめて勝ち点1は挙げられたところではあるが、お互いに果敢に攻め合い、決勝点がどちらに転がり込んでもおかしくない好展開の中、今回はたまたま名古屋に軍配があがっただけの事であり、仙台としては、敗者と成りながらも、充分に賞賛されるべき内容を、この日集まった、17,239人に示せたと思う。
何より、試合終了後の仙台コールや拍手の大きさが、次の戦いに期待するサポーターの意志の現れであろう。
ところで、この試合を通じて、ようやく仙台の目指す方向性が見えてきた気がする。
リーグ序盤こそ、昨年までのメンバーをベースとして戦い、ピンポイントでフェルナンジーニョを起用する事で結果を出してきたが、清水戦の大敗以降、チームの攻撃の連動性が一気に縮退してしまっていた。
その最たる要因は、大敗後のチームの立て直しのやり方を間違ってしまった事にあるのではないか。まず、最大の問題点は、「決定力がある」と鹿島戦までに確認できたはずのフェルナンジーニョを、湘南戦から先発回避させてしまった事にある。ガンバ戦・鹿島戦の出来を見れば、湘南戦以降もフェルを先発で使うべきだったと見る諸氏は多いはずだ。
だが、手倉森監督の選手起用の趣向の問題から、すぐに中島-中原に先発2トップを戻してしまう傾向にあり、なかなかフォワード陣の先発争いが活性化されなかった。このため、フェルナンジーニョや平瀬といったベテラン攻撃陣を活かす事が出来ず、5戦連続勝ち無しという低迷を招いてしまったと推察している。
しかし、平瀬のコンディションにメドが立つや否や、結果の出せない中原を平瀬に替える事で、一気に事態は好転。中盤でタメの創れる平瀬の先発投入によって、チームの前線での落ち着きが産まれ、2列目からの飛び出しが有効に機能するようになった。またここに、永井をボランチ起用する事によって、富田にはない「ドリブル突破から産まれる仕掛け」に期待できるようになり、確実に攻撃にアクセントが付けられるようになった。
そして最後は、やはり、フェルナンジーニョの決定力の高さに尽きる。同じ試合で、関口が前半にシュートを放った位置や角度が寸分違わぬ状況において、更に相手ディフェンス陣2枚に着かれていたにも関わらず、逆にその2枚の陰からシュートを撃つ事で、GK楢崎の虚を突いてのゴールインとなった。お見事としか言いようのない、技ありなゴールであった。
思えば、鹿島戦の先制弾となった彼のシュートも、相手センターバックのイ・ジョンスの不用意なパスをインターセプトしたシーンから放ったものであるが、この時にも、彼のシュートはゴール枠の左ポストを直撃している。だが、他の選手と違うのは、彼の放つシュートは、ポストに当たっても枠内に吸い込まれるのだ。
更に思い返せば、第2節のホーム大宮戦でチーム加入後初ゴールを決めた際にも、彼のシュートは、バーの下ぎりぎりにヒットし、そして枠内に吸い込まれていったのだった。
まるで、ボールに神経が通っているかのようだ。どうすれば、あそこまで都合良く、バーやポストに当たったボールが枠内に吸い込まれるのであろう。是非とも、関口や梁にコツを教えてやって欲しいものである。
この試合の結果を受け、中断期間突入後の最後の一戦となる浦和戦は、フェル-平瀬の先発2トップで臨む公算が大となった。但し、今節と同じ中島-平瀬から入る事でも悪くはないかもしれないが、相手が浦和である事を考えると、少しでも決定力の高い選手を先発起用するべきである事は間違いない。
清水戦の大敗以降、仙台は、ベテラン平瀬の先発起用というオプションに到達するまで、長い時間を要してしまった。やはり、J1昇格初年度のチームとしては、まず、平瀬・永井・フェルと言ったベテラン選手がチームを牽引し、若手がJ1の舞台に慣れ、成長していくのを見守るしかなさそうである。
中断期間に突入すれば、また落ち着いて、チームの強化や、この序盤の12試合までで判った「仙台に足りないもの」を補う時間が出来る。
まずは、名古屋戦で得られた「現在の仙台に必要な"最適解"」である、ベテラン選手による攻撃の活性化という選択肢を棄てる事なく、このまま浦和戦に向けて良い準備をして欲しい。
この一敗は、決して、清水戦や神戸戦のそれとは違う、大きな意味を持っている事は間違いない。
そこから目を背けてはならない。むしろこの試合にこそ、仙台が、今季のJ1残留を果たす鍵が隠れているはずだ。そこをどう捉えるかによって、仙台の進むべき道は、大きく方向性が変わってくる。
果たして、この先、仙台が進んでいく道は、J1残留・上位躍進へと続く階段なのか。それとも、このまま降格圏に飲み込まれて、勝ち点3最優先の「つまらないサッカー」に終始する展開を強いられてしまうのか。
筆者としては、是非とも、チームと、そしてサポーター諸氏と共に、前者を勝ち取りたい-。
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