
にほんブログ村
それでも、梁のJ1初となるFK弾が飛び出し、W杯出場に向けてのアピール弾を自らの足で叩き出した事は、本人にとって、そして彼を送り出すクラブやサポーターにとって、願ってもない展開であった。
シュート数こそ、仙台の11本に対し、浦和は28本と、あまりにも撃たせ過ぎた感があり、もう少し試合を落ち着かせる努力をしなければならないと痛感。引き分けで終われた事自体、未だ信じられないところもある。
選手はおそらく認めないかもしれないが、この試合を端からみていると、どうしても「浦和の攻撃に萎縮してしまい、勇気を持った攻めが出来なかったり、ミスを連発してしまっていた」としか取りようが無かった。それは最低でも、前半35分の梁のFKが決まるまでは続いていた。
ただ、前半28分にセットプレーからエジミウソンに押し込み先制点を許してしまったあとの展開として、その前半のうちに、梁のFK弾(前半35分)で1-1同点とし、残った前半の10分間は盛り返しを見せる事はできた。だが、後半に入ると、浦和は仙台の中盤を切り裂いていた田中達也を早々に見切り、エスクデロを後半の頭から投入してくると、再び流れは浦和へ。仙台が、同点弾の時間帯から奪いかけた試合の流れを、再び浦和は自らのものとし、仙台を押し返す事に成功。仙台は、前半の序盤と同様、またも我慢の時間帯を長く強いられる事となってしまった。
それでも、後半も試合時間が経過してくると、疲れからか浦和の攻勢に陰りが見え始め、次第にピッチのあちこちにスペースが出来始める。そこを利用するべく、仙台は中島をフェルナンジーニョに替え、前線中央の驚異を増すと、浦和は疲れの見え始めた左サイドバックのルーキー宇賀神を下げ、新外国人サヌを投入。すると三度、浦和は攻撃の圧力を増し始めた。
替わって入ってくる選手の層すらもブ厚い浦和の攻撃陣の前に、仙台は、決して数多くの決定機を創る事はできなかった。それでも、前半にあった平瀬や千葉のヘッド、そして後半4分の梁の左ポスト直撃シュートなど、必ずしも決定機を創れなかった訳では無い。あわよくば、この後半4分の梁のシュートが決まってくれていれば、2-1で勝てた公算が大きかっただけに、実に勿体ないシーンであった。
最後は、平瀬を中原に替えて打開を試みるも、名古屋戦と同様、中原が大きく決定機に絡む事はなく、試合はそのまま終了。中断前に勝ちたかった一戦ではあったが、浦和の攻撃力の高さを考えれば、勝ち点1をもぎ取れた事は、決して悪くない結果と言える。
圧倒的な浦和の攻撃陣を前に、名古屋戦の好内容しか期待の拠り所が無かった仙台。その期待も虚しく、結局は、終始粘りのある守備を発揮せざるを得ず、また、浦和のシュートミスや林の好セーブにも助けられ、なんとか1失点で凌いだものの、やはり、J1で優勝争いに加わるチームとは、まだまだ実力差が大きいと感じられた一戦だった。
そもそも、いくら浦和の攻撃力が高いからと言っても、仙台は落ち着きがなさ過ぎた。その根本は、中盤でボールをうまく収めて味方に効果的にパスできる選手が、この日は平瀬も含めて、皆無であった事。中盤から前にボールを運ぶ前に、相手のチェックに易々と引っかかってしまったのでは、決定機を創る事もままならない。
ボールを保持している時に、敵側から受けるプレッシャーの大きさは、やはりJ2の比ではない。そこは、時間を掛けて経験し、それをうまく捌けるように慣れていくしかないのだろう。
また、ホーム開催ながら、浦和サポーターの織り成す大声援の応援が、ホームチームの選手のプレッシャーになっていたかもしれない事も、ある程度は要因としては絡んで来ただろう。クラブとしては、前回のJ1時にも、宮城スタジアムでの浦和の応援は経験済みであるが、選手はほぼ全員が入れ替わっており、アウェイチームの応援の凄さを受けながらのプレーには、少なからず戸惑いはあったのではないか。
だが、それも含めて"J1"である。J2では到底考えられないような雰囲気が、J1にはあるのだ。今節のこの状況は、その一例に過ぎず、今後もこういった「未知の世界」を、度々経験していく事だろう。例えば、第二クールでのアウェイ浦和戦。アウェイでさえ、あの迫力である。いったい浦和のホームでは、どのようなプレッシャーがアウェイのチームに襲い掛かってくるのだろうか。
間違いなく、あの凄まじいばかりの応援は、浦和の選手の原動力の一つとなっているだろう。
W杯による中断期間への突入前、最後の一戦という事で、この試合を以て、J1の各チームは、一つの区切りを迎えた。仙台としては、最後に勝って梁をW杯に送り出したかったが、負けなかった事も、大事な状況の一つには間違いない。浦和からしてみれば、明らかに勝ち点2を失っての帰路となり、再び上位進出を狙うチームとしては、揚げ足を救われた格好となった事だろう。
鹿島戦のあと、清水戦から始まった3連敗を含み、結局、中断期間までのこの7戦で、仙台は一度も勝てなかった。この舞台での戦いが、厳しいものである事は充分に予感していたつもりであったが、現実を突きつけられると、一ヶ月以上も勝てないというこの状況が如何に苦しいものか、改めて身に染みる想いである。
ここから迎える、約2ヶ月の中断期間を、如何に過ごすか。それは、J1のどのクラブにも当てはまる事ではあるが、仙台の場合は特に、「鹿島戦までの流れ」と」清水戦からの流れ」を、それぞれ個別に、充分に分析する必要があるだろう。
鹿島戦までの貯金を、浦和戦までに完全に使い果たしてしまい、借金生活にすら突入してしまった仙台。だが、この中断期間を如何に過ごすかによって、中断明けからの快進撃も決して不可能ではないはずだ。
そのためには、やはりナビスコカップは有効活用するべき大会であるし、7月4日を予定している、プレシーズンマッチの浦項スティーラーズ戦ですら、重要な強化試合となる。
個人的には、この試合の翌日に開催された「みやぎチャレンジリーグ」初戦の山形戦にて、凄まじいドリブル突破力を見せた、MF28:三澤選手の台頭を心待ちにしたいところ。
だが、基本的には、J1の舞台での試合の運び方を、もう少し研究しなければならないのではないか、と考えている。
例えば、相手の特長やウィークポイントなどに合わせて、先発の一部の選手を変更するとか、場合によっては布陣を変更するとか。また、そこまでやらなくても、ある程度カウンター狙いとする守備的サッカーをした方が良いかもしれないし、逆に、始めから超攻撃的に行った方が良い場合もあるかもしれない。
ところが、仙台のここまでの試合への入り方を見ていると、J2時代の延長線上の戦い方に終始しているように感じられる。それは、「相手に関係なく、自分たちの基本的サッカーを崩さずに、毎試合同じやり方で臨んでいる事」だ。
J2では、そのやり方でも通用してきただろう。もちろん、このやり方は大事だし、通用する場合は多分にある。
だが、この12試合を戦ってみて、必ずしもそれがベストであるとは思えなくなってきたのだ。事実、鹿島戦まで通用した仙台のサッカーは、清水戦から全く通用しなくなった。というか、相手に通用しないと判った時の「二の手」が、現在の仙台には無かったのだ。
J1で何シーズンも戦ってきたクラブであれば、相手チームの情報の蓄積があるため、相手を研究した結果を、試合に臨む際の材料とする事ができるが、仙台には、そういう「蓄積」が無い。つまり、J1を戦い抜くために、まず「J1を経験する」事から始まっているのだ。
その意味において、ある程度、負けが混む事も、今は、必要な経験なのかもしれない。
この12戦で、具体的に学んだ事の一つに、「勝つためには、一試合2得点は必要」という事。1得点で勝ったのが、リーグ開幕のジュビロ磐田戦だけであった事や、続く大宮戦や鹿島戦では、3得点・2得点での勝利だった事を考えると、勝ちきるためには、マルチ得点は必須事項と言える。
もし、運無く1得点に終わったとしても、運良く無失点で終わる事で、勝利を手にする事は、結果として「ある」かもしれない。だが、始めから1-0を狙う戦い方は、短期的には通用しても、長期的には通用しないと見るのが妥当な判断だろう。
仙台としては、この点を最大限に改善するために、中断期間を利用しなければならない。
それがどのように展開される事になるのかは、まだ判らないが、サポーターとしては、この二ヶ月間の成り行きを見守るしかない。果たして、巻き返しに期待できるような展開は成されるのか。ナビスコカップの出来は。そして、中断明けのアウェイ・山形戦の行方は。
一つだけ、はっきりしている事がある。
それは、今季の仙台の活躍が再び訪れる時期が来ることを、信じて止まないサポーターの存在である。
チームを信じ、選手を信じ、そしてゴールを、勝利を信じて、精一杯の応援をする事しか出来ないサポーター。だがその声は、間違いなく、選手の足を動かす原動力だ。
この二ヶ月間、リーグ戦の舞台ではその声を届ける事は出来ないが、ナビスコカップでこれを届ける事ができる。
今季の鹿島戦までの様な展開を、再び、仙台は取り戻す事が出来るのか。
それは、仙台の躍進を信じて疑わない、サポーター1人1人の気持ちの強さに懸かっている。そして、その期待の大きさを感じ、それに応えようとする選手1人1人の頑張りがあってこそ、実現する事ではないだろうか。
決して、他人事ではない。仙台が、今季、J1に定着できる力を持てるようになるかどうかは、それを応援する者の人生にも関わってくる、一大事だ。
少なくとも筆者は、"それ"を信じている-。
■サッカーブログランキングに参加しています、ご協力をお願いします■ ![]() にほんブログ村 |