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4試合ぶりの先制点-。
それが決まった時、改めて"決定力の必要性"を痛烈に感じた。渡辺広大に代わり、センターバックの一角として先発に定着し始めた、DF鎌田次郎。彼がペナルティエリア内の混戦から撃ったシュートは、そのシュートコースを消していた敵側守備5人の頭上をあざ笑うかのように通過し、逆サイドのネットを豪快に揺らした。
その先制点に繋がる流れを産み出したのは、後半8分という早い時間帯での"関口途中投入"というカードの切り方にあった。攻撃陣停滞の流れを受け、前節より、関口から太田に先発の駒をシフトしていた仙台であったが、皮肉にも、この"切り札・関口"が、先制点の突破口に繋がる事となった。
太田に期待した、攻撃陣の活性化。それは確かに、ある程度の効能はみてとる事が出来てはいた。実際に前半34分には、枠内を捉えた、惜しいシュートを放っている。これは惜しくもキーパーに阻まれたが、彼の攻撃性能の高さを感じられる、貴重な1シーンであった。
だが、前半は全般的にセレッソ側の猛攻を受け続け、仙台の攻撃は単発的であった。また、前半の途中に、菅井が相手DFに受けたスライディングタックルの影響により、37分、急遽田村に交代。仙台としては、ホームらしい戦い方を発揮できず、アウェイのセレッソに主導権を握られ続けてしまった。
それでも、7分の"あわや失点"のピンチを凌ぐ幸運などに恵まれ、無失点で前半を終える事ができた。
誰の目にも「セレッソ優勢」に映ったであろう前半の流れを奪い返すために、指揮官は、後半の8分という早い時間帯で、太田から関口にチェンジ。これは、前半を終えた時点での仙台のシュート数が「僅か3本」という事実からも判るように、仙台の攻撃が、効果的なフィニッシュをなかなか迎えられていなかった事によるものを受けての判断と思われた。
早い時間で交代されられた太田であったが、内容は決して悪くはなかった。実際、前半の21分には、ピッチ中央左から逆サイドを大きく回り込んで展開する菅井を視野に捉え、そこへ見事なまでのロングクロスを供給。これは惜しくも相手ディフェンスにひっかかり、菅井の目の前で弾かれてしまったが、「何でもない局面から一気に決定機を創りだす」その創造力は、常にゴールを意識する太田ならではのもの。関口との早い時間帯での交代は非常に惜しいとは思ったが、あくまでも「流れを変えるため」の決断だったと思われた。
そして、この交代は、予想以上の好転を呼び込む。8分の関口の投入後、関口は攻守に渡って運動量豊富に動き回り、前半に続いて停滞気味だった仙台の流れを引き戻すアクセントとしての役割を、徹底的に演じた。
その流れの中、12分のアドリアーノに与えた決定機をGK林が冷静な判断でセーブすると、13分に右サイドでFKを獲得し、14分には関口が左サイドから中央の千葉に送り、これを千葉が豪快に枠内へ飛ぶミドルを撃って会場を沸かせるなど、明らかに流れは仙台へ傾倒していっている事が判った。
また、千葉のこのミドルシュートの溢れ球を狙って、富田が相手GKへ詰めた事からも判るように、前節で、湘南の反町監督に指摘された「仙台はボランチの攻撃が希薄で助かった」という問題点を克服。この攻め上がりの積極性も、攻撃の流れを活性化させた要因と言える。
そして、交代要員による活性化という意味では、前半37分に、菅井の負傷によって途中投入された田村も寄与した事も書かねばなるまい。田村の「ある動き」が、先制点に繋がるCKを奪うきっかけとなる。
千葉のミドルをブロックされた直後の15分。右サイドでボールを持った田村が、セレッソの乾と尾亦に挟まれた瞬間、見事なボール捌きでこれを突破。そのままペナルティエリア内までボールを持ち込み、付いてきた尾亦にエリア内で倒された様にも見えたが、PK獲得はならず、判定はCK。あわやPK獲得かと思われた、期待度バツグンな突破シーンであった。
そして、ここで奪ったCKから、先制点が産まれる。梁が放り込んだボールは、中原とマルチネスの競り合いの溢れ球となり、それは逆サイドに詰めていた中島のところへ。当然、中島目掛けて、ゾーンディフェンスのセレッソ守備陣が詰め寄るが、中島の目には、少し後方で構えていた、DF鎌田の姿が映った。
中島から鎌田へボールを落とし、鎌田はこれを冷静に、右インサイドでシュート。この時点で、セレッソ守備陣は、GKも含め6人がゴールへのシュートコースを消していたのだが、唯一空いていた「ゴール右上隅」へ、右カーブの軌道を描いてボールは吸い込まれていった。セレッソのゾーンディフェンスをあざ笑い、豪快に叩き込まれたそのシュートは、仙台にとって4試合ぶりとなる先制点をもたらす。
この1シーンに、鎌田の決定力の高さをみた。セレッソがゾーンディフェンスだった事もあり、鎌田に直接的なブロッキングが無かった事も幸いしたものの、それを差し引いても、鎌田の冷静かつ落ち着いたシュートは、現在の仙台に不足する「決定力」の開眼となる可能性を秘めた、一つの光明となる可能性を感じた。
この後、執拗に左サイドや中央から1トップのアドリアーノに合わせるセレッソの反撃を受け、29分にそのアドリアーノに押し込みを許し、1-1とされてしまい、そのまま試合は終了となった。
残念ながら、勝ち点3を奪うまでには行かなかった。プレビューで期待した、複数得点を獲るまでには至らず、決して、筆者的に納得の行くような結果には成らなかった。
だが半面、現在の仙台に不足する「決定力」の片鱗を、DF鎌田が持っていた事が、予想外な収穫物として手元に残った。また、「関口の途中投入」という、従来は考えられなかったオプションが、以外にアクセントとして効能がある事も判った。これも、太田を獲得したこそ故のものであろう。そして、控えに甘んじている田村のあの鋭い突破も、菅井とはまた違った魅力を感じる。サイドの突破という意味では、左に朴柱成、右に田村という組み合わせも成立し、サイドの守備に難のある相手であれば、有効に機能する可能性も感じられた。
最終的には、1トップのアドリアーノに同点弾を許してしまったが、前半7分や後半12分に迎えたピンチを、林の冷静なブロックで防ぐなど、セレッソの攻撃力の高さを考えれば、むしろ1失点で凌げた事は幸運とも言える。そんな中、やはり勝ち切れなかった原因としては、失点を防げなかった事よりも、2点目を奪えなかった事にあると見る。
前半はチャンスらしいチャンスを創れなかったので、後半の関口投入以降で、やはり2点を奪う猛攻が必要だった。もっとも、決して消極的な攻撃に終始した訳では無い。関口の投入以降は明らかに流れは仙台に傾倒していたし、千葉のミドルやそれに詰める富田の存在などのシーンにも見られるように、ボランチの積極的な攻め上がりも改善され、総合的にみて、本来の仙台の攻撃性を取り戻しつつあると見るのが妥当なところだろう。
ただ、正直言えば、この試合は勝てるとは思っていなかった。鎌田のファインゴールが産まれていなければ、3戦連続で無得点敗退を喫するところだっただけに、決して、次節以降に過大な期待を抱ける状況では無い。
事実、他のJ1チームと比較しても、1位~7位までの「上位争い」から完全に脱落し、気が付けば、降格圏チームとの勝ち点差を3にまで縮められてしまった。5節の鹿島戦までの躍進は、やはり周辺には「春の珍事」として捉えられている事だろう。そして現在居る8位という順位も、下位との勝ち点差を考えれば、降格圏に突入しつつあると見て間違いない。
5節までの躍進、そして9節までの連敗を含めた低迷。これはある程度、予想された展開だ。完全に予想外だったのは、5節で鹿島を倒せた事くらいで、あとはある程度、誰しもが予想した通りの展開で推移していると思われる。
大事なのは、ここからである。
やはり仙台には、優勝争いに首を突っ込めるほどの実力は、まだ備わっていない。むしろ、下位チームとの残留争いに巻き込まれる事を、ある程度覚悟した上で、今後の試合に臨むべきだろう。
今節も、残念な結果となってしまった。だが、勝利に餓えているJ1チームは、何も仙台だけではない。例えば、次節の対戦相手であるFC東京などは、既に直近5戦を未勝利とし、順位も13位と、非常に危ないポジションに付けている。それ以前に危機的なのは、今季9戦を終えて、未だ7得点という得点力の無さだ。昨年のナビスコカップの覇者や、また天皇杯の覇者であるガンバ大阪でさえも、仙台に届かない勝ち点10の10位と低迷している。
そんな中、仙台に今求められているのは、やはり「J1で通用する決定力」である。今節の鎌田のような、本人曰く「神が懸かっていた」ようなスーパーゴールは、周囲のJ1チームの得点シーンを見れば、当たり前のように見て取れる。ほんの僅かなシュートコースを突いて得点しなければならない等という"芸当"は、J1では「決めてナンボ」であり、それを求めてサポーターや観客は試合を見に来るものなのだ。
その点は、J2上がり・J1再昇格初年度だからといって、仙台にアドバンテージが与えられる訳では無い。神懸かりなシュートだろうが何だろうが、「決められるシュート」を撃つ実力を備えなければならないのだ。
その意味において、今節、鎌田が決めてくれたゴールは、仙台の決定力向上の可能性の一端を見せてくれる、僅かな光明である。
このようなシュートやゴールは、これまでの仙台では、滅多にお目にかかれる様なものでは無かった。きちんと相手を崩し、練習通りにゴールを決められる事など、試合ではなかなか無い。それでもJ2の頃は、相手のレベルの低さやミスにも助けられ、ゴールを量産する事が出来ていたが、J1はやはり厳しいリーグだ。鹿島から奪った勝ち点3がなければ、今ごろ残留争いの順位に巻き込まれてたのだ。それを思えば、今後も高望みできるような順位アップは、まず簡単には期待できないだろう。
今、仙台に出来る事は、一つでも多くの「神懸かりなゴール」を産み出し、一つでも良いから、地道に勝ち点を積み重ねる事にある。つまり、「負けない試合」だ。それも、守備的に入って無失点達成を狙うものではなく、あくまでも「攻撃的に行って得点を奪い、常に勝利を狙い続けて」のものである。
昨年までは、堅守を謳われた仙台であるが、それを前面に押し出したところで、得点力が上がる訳ではないし、まして、J1の舞台で、そんなサッカーを見たいと思うサポーターが居るとも思えない。過去、守備偏重でJ1に昇格し、そして1年で降格していったチームを2チームほど知っているが、その後の低迷ぶりは広く知られるところとなっている。
敗戦を恐れて守備的な姿勢になるよりも、徹底的な攻撃による決定力の向上を目指すべきだ。そうでなければ、J1に昇格した意味が無いし、何より、そういうプレーを見たいサポーターの期待に応える事が、今後の仙台に求められている姿勢のはずである。
筆者の言いたい事を、もう少し判りやすく表現するとしたら、「1-0で守りきる展開」ではなく、「2得点以上、1失点以下で、常にマルチ得点を狙う姿勢が望ましい」となる。
決して、無理を言っているつもりはない。実際、J1の勝利チームの内容を見ると、マルチ得点を奪ったチームがほとんどであり、1-0の勝利はごくたまに見る程度である。やはり、J1で勝利を目指すには、毎試合、2得点以上を奪う得点能力が必要なのだ。
ワールドカップ開催による中断期間の突入まで、あと3試合。FC東京・名古屋、そして浦和と、強豪揃いが続く。
今節、セレッソからマルチ得点を奪えなかった悔しさを、FC東京に、思い切りぶつけて欲しいものである。
詳細はまたFC東京戦のプレビューで書く事にするが、今のFC東京であれば、2得点で充分に勝利できそうな気もする。また逆を言えば、1点では絶対に勝てないという予感も働く。昨年の天皇杯にて対戦し、3-0と快勝した相手ではあるが、決して油断はならない。まして、ここ4試合で2得点を奪えていない仙台としては、次節でも、得点を奪える自信や根拠はどこにも無いのだ。
唯一、鎌田がファインゴールを決めてくれた事で、チームに何らかの刺激が働けば良いと考える部分のみが、小さな希望の光でもある。
決して諦める事なく、90分間、最後までゴールを狙い続けて欲しい。
仙台というチームが、永らくJ1に留まり続けるためには、神懸かりなゴールでも何でも良いから、得点を量産し続ける力を見に付けなければならないのだ。
そのために必要な、先発の選手起用を求む。
今の仙台に必要なのは、決して「得点に期待できそうなFW」ではない。「狙った得点を確実に獲れる決定力のあるFW」である。その選手が誰なのかは別にしても、今、先発しているFWの選手が、その期待に中々応えられないでいるのは確かだ。
先発争いの活性化のためにも、FWのポジションの先発固定化には、はっきりと異を唱えさせて頂く。私たちが今居る舞台は、J1なのだ。結果を出せないFW登録の選手が、先発に起用され続ける事ほど、違和感を感じるものは無い。
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