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後半25分。その男が投入されてから、僅か5分後の事だった-。
中央で2人を引き連れ、ドリブルで駆け上がるMF太田。その左サイドを併走するMF高橋義希へ、太田から横パスが出ると、義希はこれを落ち着いてシュートを選択。なんとそのボールはほぼ無回転で宙を舞い、C大阪GKキム・ジンヒョンの右手をも撥ね付けて、ゴールネットに豪快に突き刺さった。
無回転のブレ玉性のあるミドルを武器とし、今季J2鳥栖から新加入してきた男が、ようやく「結果」を出した。太田・フェルナンジーニョ・鎌田と、今季新加入選手がどんどんリーグ戦・カップ戦で出場機会を得て結果を出す中、レイナルドと高橋義希だけは、ロクな出場機会にも恵まれず、虎視眈々とチャンスを伺っていた。
そしてこの日、ようやく彼に結果が訪れた。その一発は、チームの予選突破を後押しする、値千金の一発だった。
思えば、30m付近の位置からのミドルは、ゴールとの間に敵や味方が混じり合い、決して狙いやすいものでは無い。そのためか、これまでの仙台の選手には、あまりこの位置からミドルを撃つ姿勢を強くは感じてこなかった。
ところが、この日は違った。ゴールを決めた義希を始め、田村や朴柱成など、積極的にミドルを狙う姿勢が見て取れた。J1リーグ戦と違い、失うもののないこの大会では、思い切りの良さを出す絶好の機会でもあるが、それを仙台は、存分に発揮できているのではないだろうか。特に朴柱成のミドルなどは、GKのファインセーブに遭い、惜しくも決まらなかったが、決まっていてもおかしくない強烈なもの。彼にも、今季早くゴールが決まって欲しいところである。
この試合は、相手となるセレッソ大阪に大量の主力選手の欠場が見られ、そのためか、若手中心の起用。その影響か、セレッソ側はホームながら守備的な戦い方に終始した模様。これが幸いし、仙台は、ボランチに富田と田村の起用という「変化」があったにも関わらず、全体的にボールをポゼッションしながら攻撃を組み立てる事が出来た様子だった。終始、押し気味に攻める仙台に、ゴールが産まれるのは時間の問題か?と思われたが、後半の交代時間まで、スコアは 0-0 で推移した。
そして後半20分。足を痛めた関口に替えて、高橋義希を投入すると、ピッチ中央で相手DFを2枚引き摺ってドリブル突破を試みる太田の横パスを受け、冷静に30mの位置からミドルシュートを敢行。ほんの僅か、相手DFに当たってコースが浮き球性に変わった様子もあったボールの軌道は、GKキム・ジンヒョンの右手をもかすめ、豪快にネットに突き刺さったのだった。
戦前、この試合は「香川抜き&梁抜き」という、両チームのエースを欠いての一戦という様相があった。だが実のところ、仙台は梁を欠いてナビスコに臨む準備はとうの昔に出来ていたのに対し、C大阪は、香川が抜けただけでは済まない惨状。外国人選手を中心として、多くの主力をケガや出場停止で欠き、とてもベストメンバーとは思えない台所事情で戦うしか無い、苦しい状況だった。
もっとも、セレッソはもはやナビスコカップ予選敗退寸前という状況もあり、モチベーションもそんなに高くは無かっただろう。だが、それを差し引いても、仙台は試合を見事にコントロールし、最小得点ながら、同大会連勝を手中にする事に成功した。
ただ、手放しでは喜べない。筆者個人的には、4月4日の鹿島戦以降、未だマルチ得点が達成できていない事実を重く受け止めている。たまさか、2試合連続の無失点で連勝を達成できてはいるが、いつまでも無失点という訳にも行かない。失点を受けても勝ちきれるチームになるためには、どうしても、一試合で2得点は必要になる。
ただ、この試合も、2得点目を奪えるチャンスはあった様だ。朴柱成のミドルや、途中投入された中原にも惜しいシュートはあった模様。だが、結局は2点目を奪うに至っていない。
しかし、無失点で勝ちきるという戦い方も、厳しいJ1で生き残るには必要な要素である。この戦い方のベースとして定着しつつあるのが、平瀬1トップ+2列目に3枚を並べる、豪華攻撃陣。決して守備的とは思えない布陣だが、攻撃の圧力を増した事により、前線で仕事をする時間帯が多くなり、結果として守備の負担が減る事になっている。いわゆる「攻撃は最大の防御」が実践できている様子だ。その成果としての「無失点」であり、攻撃と守備を両立させる事のできる、今の仙台には非常に有効な手段と考えられる。
梁を欠きながら、いったいどうやってナビスコ予選を戦い抜くのかと一時は危惧したが、ここへ来て、ようやくリーグ戦再開後も含めた、仙台のJ1での戦い方のベースが産まれつつあるようにも思える。もともと、決して層が厚いとは言えない、仙台のFW陣。経験と技量的に期待できるのは、現在先発定着している平瀬くらいで、中島・中原に至っては、好調を語る材料が見当たらない。(早くキーマンとして台頭して来て貰いたいものであるが)
早晩、1トップを試す時期が来るだろうとは予想していたが、ここへ来てようやくその思惑を現実のものとして目の当たりにする様になってきた。
そして、この戦い方は、梁が戻ってくるW杯明けでも踏襲される可能性がある。FW陣に強力な補強などのテコ入れが無い限り、現状では、平瀬1トップの一択しか、戦い方は見つけられないからだ。そして梁が戻ってくれば、2列目の入れ替えのコマが増え、より厚みを増すというものである。
あとは、なかなか台頭してこない、FWレイナルドが今後どうなるか。今節で義希にゴールが産まれた事により、新加入選手で、まだ「結果」と言えるものを出していないのは、レイナルドだけという事になる。(※MCL第1節で、レイナルドは一応、先制ゴールを決めている)
今後、彼がナビスコカップ予選の残り2試合で、果たして起用されるのか。指揮官は「全員投入」を明言しているが、その中に、レイナルドは含まれるのか。
サポーターとしては、こちらにも注目して、残り2試合の戦いぶりを見守りたいところである。
この連勝により、予選を2勝2分の暫定2位とした仙台。あとは、ナビスコでは浮上のきっかけを見出せない名古屋と、リーグ戦では不振を極めている大宮との対戦を残している。大宮は、あの鈴木淳氏を監督に迎え、戦い方が一変した。次節の名古屋よりも、むしろ大宮との対戦のほうを危険視したほうが良いと考えている。(※名古屋を軽視している訳ではないので、誤解無きよう)
リーグ戦中断突入の時点で、仙台としては「ナビスコカップ予選は、リーグ戦再開に向けた、大事な強化試合」であると銘打たせていただいた。そしてチームはそれを確実に実行し、この期間を再浮上のきっかけとして「モノにしつつある」様子を伺い知れる。
リーグ戦再開時のモチベーションを下げないよう、まずはナビスコカップの予選突破だ。今は、ここを全力で駆け抜ける事に注力していきたい。
なお、ナビスコカップの唯一の不満は、TV中継がかなり限定的だと言う点。ホームならいざ知らず、アウェイでは試合観戦もままならない。フジテレビ系の有料チャンネルを契約していてもまともに観戦できない、という有様である。
ところで、敢えて本題では触れなかったが、後半終了間際に、フェルナンジーニョが相手GKキム・ジンヒョンに倒されたとの判定で、GKキムが一発レッドにより退場。ほぼ決着している試合だったので、仙台としては別に退場でなくとも良かったところではあるが、それほど酷いプレーだったのだろうか?
各局のニュース映像で、義希のゴールはいくらでも堪能できると思うが、むしろ気になるのは、こちらのほうであったりする。どこか、その「決定的瞬間」を映像で流してはくれないだろうか-。
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