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仙台0(PK3-2)0浦項 W杯の様相を模した演出の試合は、スコアレスドローでPK戦へ。GK桜井がまさかの「PK3本止め」を披露し、同大会は、仙台の初戴冠で終幕。試合後の岡山劇場も懐かしく堪能し、親善試合としては大成功。また強化試合としても「一定の収穫」があり、リーグ戦再開へ向け、決して無駄では無かったと感じれた一戦。

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W杯期間中に行われる、海外チームとの親善試合という事もあってか、その試合の演出は、まるでW杯そのものだった。

選手入場と共に流れてきたテーマ曲、両国国旗の入場とその配置、両国国歌の斉唱など、開催者の「悪のり」とも思える粋な演出に、国際親善試合の愉しさを認識させられた。また、観客席から聞こえてきたブブゼラの音色も、その雰囲気を一押しも二押しもしており、目の前の試合を、うっかり「日本代表戦」と見紛うような雰囲気の中、試合は18:00のキックオフを迎えた。

そして、ホーム側に陣取った仙台サポーターも、その「悪のり」に便乗するかのように、繰り出したチャントは日本代表のもの。浦項側からも「テーハミング(大韓民国の意)」の声援が聞こえてくるなど、試合は両サポーターも含め、まさしく「もう一つの日韓戦」の様相を呈した。

肝心の試合はと言うと、お互い、中断期間によるミニキャンプ開けの調整期間中であるにも関わらず、実にスピード感溢れるパスサッカーを展開。特に仙台は、前半の序盤から積極的なボールへのアプローチを見せ、奪ってはパスを繋ぐそのスピードの速さと言ったら、「いったいどこのチームなのだ?」と目を疑いたくなるほどの素晴らしさであった。

それもそのはず。この試合へ向け、指揮官はグアムキャンプで「フィジカルの向上と共に、プレースピードの向上をも目指す」と公言しており、まさしくその目標通りにトレーニングが進んでいる事を、この日はサポーターにお披露目する事に成功した。

その勢いを維持したまま、迎えた前半の30分~35分くらいでは、自陣からのパス廻しが面白いように前線へと繋がる。そのスピードは、W杯の試合中継でも何度かお目に掛かったものと大差を感じない、正しく世界レベルのプレーにも思えた。このプレーは、最後はシュートが枠の左に逸れ、惜しくもゴールを割る事は無かったが、仙台の攻撃の再構築が進んでいる事を確認できた、貴重な1シーンであった。

だが、そんな素晴らしいプレーを、現状の仙台が、90分の間で何度も繰り返し演出できるはずもなく、結局、見応えのあるパスサッカーとしては、この1シーンに留まっていたと言えよう。(大半は、敵陣ゴール前で崩しくれず、苦し紛れのミドルを撃って終わる展開だった)

後半に入ると、いくら親善試合とはいえ、やられっぱなしでは格好の付かない浦項側が猛攻に出てくる。それを我慢する時間帯が長く続き、ようやくそれが落ち着いたと思った頃には、仙台側も、浦項側も、お互いに「ピークをこの試合に持ってきていない」影響からか、足が止まり出す。

それでも、76分あたりだったか、浦項の攻撃のシーンで、チャンスと観るや、DF岡山がゴール前に上がってきて、あわやゴールインのプレーを披露する。あれが決まっていれば、間違いなくこの試合のMVPは、彼で決まりだった。

しかし、仙台初の日韓親善試合は、そんな「生優しい予想」を安易に具現化はしなかった。結局、必ずしも「勝利最優先」ではない親善試合は、90分を過ぎてスコアレスのまま、後半終了。大会規定により、延長戦は行わず、いきなりのPK戦へと突入する。

ここで、全く以て予想だにしなかった "事件" が発生する。後半の頭からプレーしていたGK桜井が、浦項のPKを3本も止めてみせるという「千両役者ぶり」を如何なく発揮。ほんの一週間前に、日本代表がパラグアイ戦でPK戦の末にベスト16で敗退するという「悲劇」が記憶に新しいこの時期、なんと自らの応援する地元チームの控えGKが、この大一番で、昨年のCWC3位のチームを相手にPK戦で大活躍するなど、いったい誰がこんな展開を予想出来たであろうか。

結局、この大会のMVPは、後半投入後に何度もゴールキックをタッチラインに外すという初歩的なミスを連発したにも関わらず、この「PK3本止め」でその汚名を一蹴し、GK桜井がこれをかすめ取って行った。賞金の10万円の行方が、気になって仕方がない。

試合こそ、PK戦の結果で仙台の勝利となったが、両チームの縁を取り持つDF岡山の存在もあり、両チームが揃ってピッチを一週。そしてこれは予想通り、仙台サポーターの目の前で、あの「岡山劇場」が、懐かしく幕を開けたのだった。

聞けば、岡山は浦項でも、サポーターからトラメガ(※ハンドスピーカーマイクの俗称)を渡される人気者なのだとか。どこへ行っても、彼の「サポーター親気質」は通用している様子。また、もう一度ユアスタにて現役のサッカー選手として、ベガルタと対峙したいという、彼の想いもこの日、実現した。

振り返れば、一年前の今ごろは、彼はまだどこにも属しておらず、国内外のサッカーチームへ売り込みを掛けていた最中だった。つまり「就職難民」だった訳で、想像を絶する本人の売り込みの努力によって、昨年のACL優勝、そしてCWC3位という名誉まで手にした。

そのご褒美として、この日の岡山劇場の「復刻」があったとも言えるだろう。

盛況の内に幕を閉じた、仙台初の日韓親善試合であったが、なんとこの大会。今年を初年度として、今後も年1回、定期戦としての開催が決まっている。来年は、浦項のホーム(つまり韓国・浦項市)での開催との事。来年はW杯の中断期間も無い事から、いったいいつの時期に実施できるのか、甚だ不安ではあるが、開催時期の心配よりも大事な事は、年1回とは言え、アジアの強豪チームとの定期戦が実現した事にある。

また、今年に限って言えば、W杯の中断開けの大事な "みちのくダービー" への準備期間中の公式戦としても、充分に意味のあるものだったと言える。短い期間ながら、グアムキャンプで積み上げてきたものを、いきなりJ1の本番で試すのではなく、韓国Kリーグの強豪の胸を借りて実践させて貰えたのだ。例え「親善試合だから、お互い負傷に繋がるような無理はしない」と判っていても、ここで鍛えられる「試合勘」が如何に大事なものか、長くJリーグの試合を観てきた貴君らには、充分なほど判っているはずである。

ある意味、「お祭り」でもある親善試合だが、少なくとも今年は、そこから得られるものは決して小さくなかった。少なくとも筆者は、そう捉えている。

ナビスコカップで決勝トーナメント進出を決めた流れから、この親善試合で、韓国の強豪を相手に十二分に渡り合った、ベガルタ・イレブン。お互い、決してコンディションもメンバー構成もピークでは無かったにしろ、自信を付けて、J1再開に臨む準備が整った事には間違いない。

未だ、成長過程の途上と言える仙台にとって、束の間の愉しいイベントであったと同時に、J1で再び旋風を巻き起こす、その礎を、サポーターに示した一戦だった。

J1再開まで、あと2週間。この試合に出場しなかった梁の再合流も含め、仙台は、もう一皮剥けようとしている-。




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