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川崎3-2仙台 2点リードを守りきれずに大逆転敗戦を喫し、順位も16位・降格圏へ。3試合連続で前半終了時の1点リードを勝利に繋げられず、苦しい闘いを強いられている仙台。課題はやはり、後半のゲームコントロールの稚拙さか。毎試合、先制点を奪えている好調さの陰で、90分を耐えきれない守備網。次節、チームの信頼を賭けてマリノスと激突。

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学習能力が無いのか、このチームには-。

2点リードからの大逆転を喰らっての、敗戦を告げるホイッスルが鳴った時、つくづく、そう想った。

前半の24分、関口の2戦連続となる先制ゴールは、FW朴→MF梁→MF関口と、前線の攻撃陣が、それこそ "J1級" のパスワークを見せ、最後は関口が川崎の選手3人を引き連れても落ち着いたシュートを放ち、これが川崎ゴール右隅に綺麗に決まったもの。

そして、3分後の27分、今度はGK林からのゴールキックが伸びるのを見逃さなかったフェルナンジーニョの、技ありのGK頭上越えのループシュートが決まったもの。

どちらも、J1によく見られる、「相手の守備を速いパスワークで翻弄する」「相手の一瞬の隙を突く」と言った、頭脳的なサッカーの、典型的なゴールシーンである。このような攻撃展開を、毎試合できるようになってきた事が、今の仙台の、唯一の希望の光でもある。

だが、3試合連続となる先制弾が、どういう訳か「勝利という結果」に結び付かない。

リーグ再開以後の4戦で、仙台は、前半のうちに必ず得点を挙げる事に成功している。リーグ再開直後の山形戦こそ、MF秋葉に豪快なミドルシュートを叩き込まれて先制点を献上したが、すぐに梁のFK弾で追い付き、状況を五分に戻している。その後の新潟戦・広島戦、そして今節の川崎戦において、全て前半のうちに先制弾を叩き出し、状況を優位に持ち込む事に成功している。

その理由は、あまりにも明快すぎるものだ。そう、MF関口の先発復帰である。新潟戦こそ復帰はならなかったが、細かい状況説明など不要なくらい、関口の先発での存在感は、他の追随を許さない。そしてそれは、2試合連続の先制弾ゴールという結果を以て記録にも残り、確実に仙台サポーターの心を掴んで離さない、至高の存在である。

この関口の先発復帰により、少なくとも、前半は「仙台らしいサッカー」を演舞する事ができるようになった。この点については、誰しもが認めるところだろう。

しかし、それと同時に「後半45分の脆弱さ」が課題である事も、多くの仙台サポーターは認識している。

ここまで、前半と後半の明暗がはっきり分かれるチームも珍しい。好調なチームは、前後半を通して好調を維持し、そして不調なチームは、前後半を通して、不調の極みを露呈する。もちろん、前半と後半で戦い方が一変する試合も、ある事はあるが、現在の仙台の場合は、それが実に、4試合も続けて起きてしまっているのである。

ここまでくると、もはや「この調子でいけば、いつか近いうちに勝てるはず。次こそ」と、悠長な事は言ってられなくなる。

私たちは、「いつか勝てる」と信じ、リーグ戦再開後の4試合を見守ってきた。その結果が、11戦勝ち無しという惨状なのだ。それも、前半に良い内容を見せ付けられながら、後半に失速し、相手に主導権を渡して勝利を逃してしまうという、大きな爆弾を抱えているのである。

きっと、今のままなら、同じ過ちを何度も繰り返す事になる、と筆者は見ている。つまり、「いつか勝てる」では、もはやダメだ、と言いたいのだ。

もう、誰の目にも明らかではあるのだが、現在の仙台は「後半の相手の猛攻を凌ぎきって加点するだけの総合力を持ち合わせていない」のである。

新潟戦で、マルシオ・リシャルデスに「有り得ないセットプレー3発」を決められるとか、広島戦で、富田のオウンゴールで追い付かれたとかの要因を、単に「不運だっただけ、あんなの何度も続かない」で片付けてはいけないのだ。

川崎戦も含めて、後半の仙台の脆さは、数字にも表れている。この4試合で、仙台が前半に喰らった失点は、僅かに2。これに対し、後半の失点は8。

確かに、後半に得点が動く傾向の高いのが「サッカーというスポーツの特長」でもある。だが、それを差し引いても、仙台のそれはあまりにも数字が大きすぎるのだ。4試合で8失点という事は、1試合平均で、後半に2失点を喰らっている事になる。

こう考えると、前半の出来の良さを差し引いても、かなり厳しい状況に立たされている事が判ると思うが、如何であろうか。こんな有様では、勝利どころか、引き分けに持ち込む事すら厳しいのだ。

そしてその要因は、筆者は、以下のように分析している。

・前半の出来の良さを、そのまま後半にも持ち込もうとしている。
・しかし、相手が後半に攻撃のギアを挙げてくる事に対し、それに耐えうるだけの力が備わっていない。

特に、後者の場合、基本的に中盤でのボールの扱いが、J1チームの中では比較的「下手な部類」に入る仙台としては、体力の落ちてくる後半には、致命的な問題となる。前半のうちは、体力もあり、まだミスをカバーできるだけの要素が揃っている。ところが、後半の足が止まる時間帯が来ると、J1経験豊富な相手との対峙では、どうしても差が出てくる。そしてそれは、「守備の緩慢さ」と「攻撃のスピードや精度の低さ」となって、プレーに現れてくるのだ。

みなさんも、川崎戦の後半をみて、思っただろう。川崎の選手と仙台の選手では、同じ90分を戦っているのに、どうしてこうも差が付いてしまうのだろうか、と。

再度、言おう。今のままでは、J1経験豊富なチームを相手に、後半を無失点で凌ぎきるのは不可能だ、と。そしてそれはおそらく、次節の横浜Fマリノス戦でも繰り返されるだろう。

もはや、前半の好調さだけを理由に、安易に次戦の勝利に期待など出来ないのだ。

「今のまま推移すれば、きっと勝てる」と、選手やコーチ陣、そしてサポーターが思っていたとすれば、それには"異"を唱えたい。

勝つためには、「何か」を替えなければダメだ。
その「何か」を、筆者は、以下のように説明したい。

・前半は、これまで同様、仙台らしいサッカーを展開し、最低でも1点リードで試合を折り返す事。
・そして後半は、追加点への欲望を限りなく抑えて、無失点に拘る事。
・後半の無失点を達成するため、とにかく「相手のやりたいサッカーを徹底的に邪魔する」事に集中する。そのためには、仙台らしいサッカーを棄ててでも、相手にボールと試合の主導権を渡さない事。

の3点である。
特に二点目は、異を唱える諸氏も多いだろう。「追加点のチャンスが来れば活かせ」、と。もちろん、それには反対しない。追加点を挙げられる事に越した事はない、と、基本線では考えている。

ここで大事な事は、「後半は、相手は間違いなく攻撃のギアを上げてくる。まず、それをどう凌ぐかを考えるべき」という事である。そのためには、前半と同じようなサッカーではダメなのだ。

どうせ、今の仙台の力量では、90分間、安定した戦い方は出来ないのだ。それが出来ていれば、今、降格圏になど居るはずが無いのだ。

だから、敢えて提言したい。

後半45分間は、仙台らしいサッカーを棄てて、相手の良さを消す事のみに集中しろ、と。

前半を1点リードで折り返せれば、後半は、追加点なんか要らない。どうせ、体力の問題や、途中投入される選手の得点力の無さで、サポーターの期待に添えるような結果は出せないのだ。それが、今の仙台の力量の程なのだ。

それとも、プライド高く「J1のチームに見合うだけの戦い方を意識し、前後半90分を貫きたい」とでも言いたいか?

そんなプライドなど、J1残留のためには、もはや邪魔なだけだ。

そんな実力もないくせに、他のJ1経験の長いチームと同じような事を目指して、今すぐ結果が出るようなチームではないのだ。

その事を、筆者は、今節の川崎戦で[嫌]というほど、味わった。

もし、そんなプライドを持つ選手や諸氏が居たら、「タイタニック号のイギリス紳士の話」をご説明申し上げたい。

あの船が沈没する際、イギリス紳士は、最後まで動じる事なく、自らのプライドと共に、船と一緒に沈んでいったと言う。アメリカの紳士が、助かりたい想いで必死に逃げまどう姿とは対象的に、見事な人生の最期を遂げた人が多かったと聞く。

実に見事な人生観ではあるのだが、「現実」を見据えた場合、そのプライドのために、再びJ2の海に身を投じる気は無い。この話のアメリカ紳士のように、泥臭く、必死に活路を探すべきなのだ。

J1に残りさえすれば、いつか、プライドを以て、90分間を通して仙台らしいサッカーを貫いての勝利を、この目で拝めると信じている。

だが、その実力が備わってない以上、1点リードで折り返した後半は、相手の攻撃のギアチェンジを凌ぐだけの、守備への集中が必要になる。そのためには、追加点への欲望など棄てて、とにかく、ボールのポゼッションで優位に立たなければダメだ。

例えば、相手がボールを欲しくて突っ込んできても、あっさりとボールをGKに返して、決して無理はしない。また、GKは安易にパントキックでボールを放り混んだりせず、最終ラインでじっくりと相手の出方を見ること。

一見、攻撃への希薄さが、味方サポーターからのブーイングを招いてしまうような、柔道や相撲で言うところの「指導」に相当する批判を招くおそれもある。バックパスをするな、攻めろ、と。

だが、その批判を負ってでも、相手にやりたいサッカーをさせない事を優先させるべきである。もし仮に「汚い手段」とか「卑怯な手口」とか言われても、ある程度はやむを得ないだろう。

なんと言っても、「実力」が伴わないのだから。不足する実力は、どんな手段を使ってでも補わなければならない。そうでなければ、J1というカテゴリーでは、「今は」生き残れないのだ。

しかし、何時の日か、こんな苦しい事を考えなくても、普通に勝利を期待できるだけの「J1で通用する総合力」を身に付けて欲しいものである。

結果を以て、サポーターの信頼を勝ち取れるかどうか。次節、やはりリーグ再開後は不振を極めている、横浜・F・マリノスとの対戦となる。直近の4試合の成績が、1勝2分1敗と、戦前の川崎戦と全く同じである。

しかも、4試合で僅か2得点と、これまた川崎と同じ状況だ。失点こそ多く、4試合で6失点と守備は崩壊している状況だが、川崎と同様、もともとは攻撃陣のタレントの多い、強豪チームである事に違いは無い。

折しも、川崎に続き「神奈川連戦」となる。J1では屈指の実力を誇るチームとの連戦だが、かならず隙はあり、得点は出来るだろう。問題は、後半の守備だ。そこがポイントである事を頭において、次節も参戦したい。

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ところで筆者は、帰仙の新幹線の中で、エルゴラッソ紙に目を通してきた。その中で、川崎-仙台戦のレポートを読んだ事は勿論だが、次節の対戦相手となる、横浜FM-名古屋戦のレポートを読んで、名古屋・ストイコビッチ監督の戦術に、"我が意を得たり" を感じた下りを発見した。

文・河治良幸氏(エルゴラッソ紙 895号 11頁下段より抜粋)
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"守備ブロックを作る"こと自体は、何ら特別な戦術ではないが、本来は自分たちがボールを奪いに行く名古屋が、完全に割り切って相手の縦を切る守り方に専念したこと、そして、その守備ブロックの作り方自体は、注目に値する。
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なんと言う事だ。あの名古屋でさえ、自分たちのサッカーを曲げ、相手の攻撃をスポイルする戦術を採っていたとは。まさしく「柔軟な戦術」である。押すばかりがサッカーではない。時には引く事も大事であり、勝利のために、自分たちのやり方に決して拘らないその姿勢が、名古屋の現在の強さなのだと思った。

ホームながら、名古屋に完敗を喫した、横浜Fマリノス。次節は、アウェイながら、必勝を喫して仙台に乗り込んでくるだろう。中村俊輔を始め、タレント揃いのチームだが、必ず隙はある。川崎戦と同様に「不調の敵チームに塩を送る」ような真似だけは、もう止めて欲しいものだ。

横浜Fマリノスの倒し方は、今節、名古屋がその"事例"を提示してくれた。もちろん、横浜FM側も修正してくるだろう。仙台としては、その上を行く作戦を練り、絶対にマリノスの思い通りにさせない、強かな試合を展開しなければならない。

何度でも言う。

今は、勝つためには手段を選ぶな。仮に、アンフェアととられても仕方のないプレーであったとしても、失点を未然に防ぐためなら、充分許容範囲だ。

このマリノス戦で勝利できなければ、J1に上がった意味を見出せないのだ。

選手よ、サポーター諸氏よ、危機感を持って欲しい。私たちは既に、残留争いの渦中なのだ。

ここから脱しきれるかどうかは、このマリノス戦に賭っていると言っても、過言では無い。




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コメント(1)

おとみさん : 2010年8月 7日 16:26

なんていうか、ブログ村を見ていて思うのですが、皆さんが優しすぎる。

サポーターが優しすぎると、監督もいい気になって反省も勉強もしないのが今のベガルタの状況ではないでしょうか?

手遅れにならぬうちに何とかしないと