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仙台2-0山形 予想以上の山形の低パフォーマンスにも助けられ、仙台がホームで、みちのくダービー・第一戦の借りを"完済"。芸術的な梁弾×2は、過去の2試合の得点シーンを彷彿とさせる、見事なものだった。終始落ち着いたゲームコントロールで、最後まで山形にゴールを許さず。残留争いのライバルをゴボウ抜きし、13位に浮上!

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戦前に心配された雨模様も、始まってみれば、利府の空は泣き崩れる事を我慢してくれた。その結果、その空に"虹"が架かる事は無かった-。

数日前から、この日の午後が、若干の雨模様である事は判っていた。そこで何を心配したかと言うと、「また試合前に、スタジアムの上に"虹"が架かってしまうのではないか?」というもの。

単なる気象的な現象ではあるのだが、みちのくダービー・第一戦の試合直前に架かった「見事なまでの虹」が、どうしてもあの日は山形の勝利を予感させるものであったような気がしてならず、今日のこの日だけは、絶対に"虹"は見たくない、と思っていた。

そんな詰まらない心配をしていた筆者であったが、結局、虹が現れるほどの雨量はなく、適度な薄曇りと若干の晴れ間の中、試合は開催。天候の心配よりも、久しぶりに来た宮城スタジアムのピッチ状態の悪さのほうが、むしろ余計に気になった。

キックオフのあと、10分~20分程度は、どちらかと言うと山形のペース。仙台は、試合を慎重に入りすぎているのか、なかなかフィニッシュまで持ち込めない展開。だが山形側も、フィニッシュまでは持ち込むものの、前回対戦のときのような元気が感じられず、どこか自信無さげなプレーが散見され、運動量も決して多いとは言えない状況。

「おかしい。これがあの運動量豊富な山形なのか?」と、試合を観ながら疑問に感じていた。

あとから調べたところ、どうやら山形は、前回対戦のみちのくダービー・第一戦(7月17日)で、仙台から3得点を奪ってからというもの、再戦となるこの試合までの9試合において、なんと僅か4得点。いくら得点力に欠けるチームとはいえ、J1を戦うには、あまりにも低い得点力で推移して来ていた。

実は、山形は現在、MF秋葉勝を始めとし、選手の多くに負傷者が相次いでおり、決してベストメンバーでは無かった。それに加え、この夏場の猛暑の影響を受けたらしく、只でさえ低い得点力が更に低下。このダービー・第二戦に向けても、苦しい台所事情で臨むしかない状況だった様子である。

だが、相手の不調に遠慮するほど、仙台は余裕が無かった。この日はどうしても「結果」を出す必要があり、またそれによって、今節は13位までジャンプアップできる事が、前日のうちに確定していた状況下において、何が何でも勝ち点3を山形から奪い去らなければならなかった。

正直を言えば、山形がこんなに調子を崩しているとは思っていなかった。7月に対戦したときの調子を維持しているものとばかり思っており、「相手は上位なのだから、最悪は勝ち点1でも可」と、少々控えめに考えていた。

ところが、いざ蓋を開けてみれば「上り調子の仙台 vs 下り調子の山形」という状況下での対戦に。そうであれば、勝ち点1などと言わず、勝ち点3を奪い取るべきであり、結果論として、まさに理想通りの結末を迎える事が出来た。

ここで、この試合の得点シーンを振り返ると。

1点目のFKの場面。梁のシュートは、山形GK・清水の手前でバウンドし、予測しにくい跳ね返りに期待して、見事に先制点を奪い取る事に成功。

2点目の場面。ペナルティエリア内でゴール右隅を狙ったシュートは、グラウンダー性の軌道を描き、やはり処理しにくいボールとなって、ゴール右隅を綺麗に突いた。

どちらも、GKの処理しにくいコースを、しっかりと狙ったアイデアの賜物。事前にピッチ状態を確認できる、ホームならではのプレーとも言えるかもしれない。

ところで、この2つの得点シーンを現地で見ていて、筆者の脳裏に、ある2つの過去の試合の得点シーンが甦ってきた。その時のシュート位置を、今節のシュート位置の画像と比較してみよう。

 

1点目:FKのシーンから得点

2010年 J1第23節vs山形戦
s-20100919-2-2.jpg

2010年 J1第12節vs浦和戦
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 2点目:流れの中からの得点

2010年 J1第23節vs山形戦
s-20100919-1-2.jpg

2009年 J2第17節vs横浜FC戦
s-20100919-1-1.jpg

如何だろうか?

 

どちらも、同じようなポジションからのシュートで、梁は、それぞれゴールを決めている。1点目のシーンは、今年のW杯による中断期間突入直前の、宮城スタジアムでの浦和戦。そして2点目のシーンは、昨年の福島あづま開催時の、梁の得点シーンである。

今節の1点目のシーンでは、FKを得たのは梁自らであったが、実は浦和戦でも、FKを得たのは梁自身である。また、2点目のシーンでは、昨年の福島あづま開催時の梁の得点時と、シュートを撃った位置やそのコース取り、そしてそのシュートを撃つに至るドリブルの足跡や、相手ディフェンス2枚の間を、フェイントを一発入れてから右足で撃ったところなど、何から何まで、あの福島あづま開催の時の得点シーンに酷似していたのだ。

始めは、「デジャヴ」かと思っていた。だが、浦和戦のFKも、昨年の横浜FC戦のゴールシーンも、鮮明に脳裏にこびり付いていたため、帰り足の道中、どうしても気になって仕方が無かった。

帰宅後、過去の録画映像を引っ張り出して確認したのは、言うまでもない。

どちらも見事なゴールだった。だがこのゴールは、酷似していた過去のゴールシーンからも判るように、恐らく梁の脳裏にも、「成功事例」として、強く印象に残っていたのではないか? つまり、今節の2ゴールは、どちらも「梁自身が、過去から学んだもの」という事になる。

因みに、確か、福島あづま開催時の梁のゴールは、その節のJ2ベストゴール(スカパー!・Jリーグアフターゲームショー番組内)に選出されていたと記憶している。

猛暑がやっと落ち着いたと思っていたが、宮城スタジアムのピッチは、今年のこの猛暑の影響を受けたと思われ、相当に傷んでいた。プレーする選手も、転倒時の負傷が怖かった事だろう。それでも、ピッチ上の事は、相手とも条件はイーブン。同じ条件下で手にした勝利なのだ。自信は持って良いと思う。

そして、この一戦の結果、勝ち点で拮抗する残留争いのライバルチームを一気に抜き去り、なんと13位にジャンプアップ。まだまだ予断を許さない状況ではあるが、他のチームが次々に監督解任を発表する中、残留争いの渦中に居るチームとしては、唯一、現在上り調子にあると言えよう。

ただ、前述した通り、残念ながら今節の山形は、決してベストメンバー・ベストパフォーマンスとは言い難い状況での来仙となっていた。このため、勝つには勝ったが、「ダービーの結末」としては、些か申し訳なさを感じる側面もある。

来年も是非、J1で、みちのくダービーを戦いたい。もちろん、お互いがベストメンバー・ベストパフォーマンスで、かつ、今度は残留争いなど無関係な好位置にお互い付けている状態で、純粋に、ダービーを楽しみたい。

結果から言えば、今年のダービー対戦は、1勝1敗。ホーム&アウェイと解釈すれば、お互いが3得点・3失点と、こちらも完全にイーブンの成績で終わった事になる。

と、そんな話を、試合後に立ち話でしていたところ、一緒にご観戦頂いた55氏から、こんなコメントを頂戴した。

「No.8さん。ウチはNDスタで、アウェイゴールを決めてるぶん、ウチの勝ちですよ-」

素晴らしいその「解釈」に、思わず心から肯いていた。

そして、その「アウェイゴール」を奪ったのも、実は梁であった事に、その時になって、初めて気が付いた。つまり梁は、今年のダービー2戦での「ハットトリック」を達成したのである。

山形陣営にしてみれば、梁の存在は「山形キラー」として再認識された事だろう。来年の対戦が、今から楽しみだ。もちろん、梁は先発希望である事に、変わりは無い。

これが実現するように、とにかく今年は、J1残留を果たさなくては。

来年、また会おう、山形。再びJ1の舞台で-。




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