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山形戦・横浜FM戦を無失点の連勝とし、降格圏の16位・FC東京に、勝ち点差6を付けた仙台。直近の5試合の成績は4勝1敗・失点2と、ようやく「堅守・仙台」が戻ってきた印象を受ける。
復調してきたチームが、結果的にナビスコカップの影響も受ける事もなく(素直に敗退と言いたくないので、どうぞご容赦の程を)、万全のコンディションで首位・名古屋戦に臨もうとしていた直前の事だった。
9月30日の練習中に、突如として舞い込んできた"吉報"。
筆者も、完全にノーマークだったのだが、当日の夕方、キリン・チャレンジカップ日本代表のメンバー発表があり、なんとこの中に、仙台のMF・関口訓充(24)が、FW登録で初選出された。
仙台の生え抜きとしては、初の日本代表選出。梁の北朝鮮代表選出に続き、生え抜き代表輩出の第二号となった。
いち仙台サポーターとして、素直にこの事を喜ばしいと感じると共に、改めて「J1に在籍しているのだ」という実感も沸いてきたものである。ザック監督の就任後、「J2にも選手発掘の目は落とす」との言葉はあったものの、やはりJ1が一番の「漁場」のはず。活きの良い、元気のある、技術的にも将来性豊かな選手を日本で探すとすれば、どうしてもJ1を中心に探す事になるはずであり、その点では、仙台がJ1に居たからこそ、関口が代表コーチ陣の目に留まったのだと思う。
この、降って湧いたような「快挙」には、おそらく仙台サポーターを中心に、関係者はお祭り騒ぎだったのではないだろうか。この日の夕方以降の全国のニュースで、日本代表選出メンバー発表を取り上げた番組は数多く、そしてそのほとんどが、初選出となった仙台MF・関口訓充選手を、映像付きで取り上げてくれたのである。
平成22年9月30日。この日は、ベガルタ仙台というクラブが、生え抜きから日本代表選手を初めて輩出した、クラブ史に残る記念日となる事だろう。
関口選手、本当におめでとう。心から祝福を伝えたい。
だが、決してこれが「目指していたゴール」ではないはず。国を背負って戦い、そして結果を出さなければ、代表選手としては、何の意味も無いからである。関口選手は今まさに、「代表選手としてのスタートラインに立たせて貰えた」というだけの状況であり、代表選手として評価されるべき実績は、まだ何も無いのだ。実際、僅か1~2試合を招集されただけで、以後は呼ばれなくなり、そして「元日本代表の・・・」と呼ばれるようになった選手は大勢いる。そんな選手の仲間入りはして欲しくないものだ。
彼にとっての試練は、ここから始まる。まず、代表にコンスタントに呼ばれるようにならなければならない。そのためには、代表の練習中から気を抜かず、常にアピールして行かねばならないだろう。代表は、生き残ってナンボのチーム。練習と言えど、各選手にとっては「本番の試合そのもの」と同義であるに違いないのだ。
そして願わくば、代表選手として定着し、4年後のW杯に向けて、無くてはならない存在へと成長して欲しい。
そして、私たち仙台サポーターは、応援で彼を充分に後押ししなければならない。代表に呼ばれるという事は、所属クラブの試合との掛け持ちという事なのだ。代表選手を数多く抱える、上位の強豪クラブの労苦が、これから私たちにも実感として湧いて来るに違いない。
もっとも、そんな労苦を味わうまでに至るには、関口が代表に定着していなければならない。まずは、そこへ到達するまで、私たち仙台サポーターが、今まで以上に関口選手を鼓舞し、応援で後押ししなければならないだろう。
関口選手に寄せられている期待の大きさと共に、私たち仙台サポーターに課せられた責務も、また大きいのだ。私たちのサポート無くして、関口の代表定着は成し得ないと思う。
関口選手と一緒に、代表を戦い抜くつもりで。これからも、ベガルタ仙台・そして関口選手を応援して行こう。
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さてそろそろ、目の前の名古屋戦にフォーカスを移したい。
相手は今や、まさに「盤石」。優勝争いを繰り広げるチームの中でも、一番の完成度を誇っているだろう。今年の猛暑で「墜ちていく」チームが続出する中、決して失速する事なく、快進撃を続けた唯一のチームだ。直近の5試合をみても、4勝1分0敗。11得点3失点と、とにかく爆発的で、かつ安定感がある。
特に、オーストラリア代表のケネディを始め、前節ハットトリックの玉田や金崎らで構成する3トップは、相手の守備陣を掻き回して切り裂く、鋭利な刃物のよう。また、後方では日本代表DFの闘莉王が壁となって立ちはだかり、また彼からの前線への正確なフィードも驚異であると共に、セットプレーではその闘莉王が得点源とも成り得る。前回の対戦では、闘莉王1人にしてやられた印象も強かった。
一見、どこにも隙が無いチームであるかのように見える。
が、そんな強豪でも、必ずしも「負けない」訳ではないようだ。今季ここまで、名古屋は5敗。第一クールで4敗し、第二クールでも、アウェイで川崎に0-4の大敗を喫している。
そんな名古屋の星取状況を見ていて、一つ、気が付いた事がある。それは、、、
「今年の名古屋は、連続5試合を越えて負け無しとした事がない。6試合目で必ず負けている」という点である。これが名古屋は、今季、2度続いているのだ。
1度目は、第10節のアウェイ浦和戦。(2-1で敗戦)
そして2度目は、第19節のアウェイ川崎戦である。(4-0で敗戦)
どちらの試合も、名古屋はマルチ得点を達成する事が出来ず、良いところがほとんどなく敗れ去っている。
そして今節。名古屋からみれば、この仙台戦は「負け無しで推移した6試合目」となるのである。
あれだけの盤石なチームに、慢心などあるとは思えない。だが、どんなに強いチームでも、いつかは敗戦を喫する日は訪れるものだ。そういう暗示というか、巡り合わせというか。
そこで、前述の「名古屋が負け無しで推移した6試合目の対戦内容」を、過去のJ'sGoalのレポートで振り返ってみた。すると、そこに浮かび上がって来たものは、「名古屋の焦り」というキーワードである。
第10節のアウェイ浦和戦では、先制したものの、同点に追い付かれてから。
第19節のアウェイ川崎戦では、先制を許し、相手のペースに持ち込まれてから。
いずれの場合も、名古屋は自分たちのペースを乱してしまい、焦りから得点が奪えない悪循環に陥っての敗戦では無かったか、と推測された。
どんなに強いチームでも。いや、強いチームであればあるほど、いわゆる「負け慣れ」はしていないものだ。
どうやら、この強大な相手に対峙するための材料としては、「相手を焦らす、辛抱強い戦い」が効果的だろうか。
その点、仙台は、ここ数試合で実に辛抱強い戦い方が出来るようになってきたと言えるだろう。山形戦しかり、そして横浜FM戦しかり。まずはしっかりとした守備ブロックから試合を作り、例え相手の攻撃の圧力が高くなっても、体を張って失点を堪え忍ぶ。
そういう戦い方の中から、次第に仙台は攻撃のリズムを見付け、そして逆に、相手の焦りを誘って、反撃に打って出る。決してその回数は多くはないかもしれないが、前節に先発復帰し、自ら復帰ゴールを決めてみせたFW赤嶺や、今節よりベンチ入り復帰が濃厚なフェルナンジーニョら決定力の高い選手が、その少ない決定機をモノにしてくれる可能性は充分にある。
それを裏付ける材料として、最近の仙台の戦い方に観られる「前線からのプレッシング」を挙げる事ができる。特に横浜FM戦は、相手ディフェンスが持つボールに積極的にアプローチし、パスミスを誘ってこれを拾い、ショートカウンターに繋げる意識が非常に高かった。あのような戦い方が出来るのなら、例え相手が首位の強豪と言えども、試合を互角に渡り合える可能性は充分に秘めている。
そして最後に。仙台には、大きな強みがある。それは、「相手が首位・名古屋なら、例え勝ち点1でも仙台にとっては申し分ない結果」である事だ。
もちろん、可能なら勝ち点3を奪取し、それこそ「ジャイアント・キリング」を達成してみたい。だが、「勝ちたい」という気持ちから産まれやすい、チーム全体のバランスの欠如が、逆に失点を招く事を、私たちはJ2の時代から、嫌というほど学んできた。
まだまだ残留争いの渦中という認識でいさえすれば、首位の名古屋を相手に勝ち点1をもぎ取る事は、それは仙台にとっての「勝利」にも等しい。つまりは、0-0でも構わないのだ。
そのくらいの気構えで臨み、得点よりも、まず絶対に失点しないために、布陣全体のバランスを決して崩さないようにすれば、場合によっては、名古屋のほうから勝手に崩れてくれる可能性は、充分に考えられる。
今の名古屋には、今季のJ1優勝が懸かっている。下からの突き上げをかわすために、一つでも勝利を重ねたいところだ。しかも、今節は名古屋のホーム。当然ながら、味方サポーターの大応援の中、「引き分けでOK」などという考えは到底許されない。そこに、強者ならではのプレッシャーが産まれる可能性は充分にある。
仙台としては、そんな「優勝のためには、どうしても勝たなければならない」とプレッシャーが架かる相手を他所に、「勝ち点1でも充分OK」というプランで臨み、是非ともノープレッシャーの中で、伸び伸びと戦い抜きたいものである。
唯一、筆者が心配なのは、「仮に、先制点が仙台に転がり込んできた場合」の、その後の展開である。当然、相手は取り返そうと、攻撃の圧力を増してくるだろう。そしてこちらは、強豪を相手にリードした際の戦い方に、まだ慣れているとは言い難い。
先制点を奪ってからが、本当の「勝負」ではないだろうか。如何に、自分たちを見失わず、相手のペースに巻き込まれずに、冷静に戦い抜けるか。
期待される、全てのミッションを完遂したとき。もしかしたら、瑞穂陸上で歓喜の唄声を挙げているのは、仙台のほうかもしれない。
それを信じて、今は、試合開始のホイッスルを待ちたい。
成るか。ジャイアント・キリング-。
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