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仙台1-0京都 一言で言えば、「物足りなさを感じる完勝劇」。足りないものは、もちろん決定力。だが、再三の決定機を外し続けながらも、赤嶺の嗅覚冴え渡るセットプレーからの押し込み先制弾を、最後まで守りきり、J1残留へまた一歩前進とする、貴重な勝ち点3を獲得した。

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現在降格圏に沈む下位・京都を相手に、前節のC大阪戦でみせた堅守そのまま、2試合連続の無失点を達成し、最小限の得点を守りきって、今節の勝利を収めた仙台。この勝利により、勝ち点を34へと伸ばし、今季のJ1残留確定へ向け、また一歩前進した。

ただ、勝つには勝ったが、本来ならこの試合は、3-0 や 4-0 で勝てていた試合でもあった。

「勝ったのだから、贅沢言うなよ」

そんな声さえ聞こえてきそうな書き出しとさせて頂いたが、この試合を観た者であれば、そうも言いたくなる気持ちは理解してくれると思う。

その理由は、もうお判りだろう。しっかりと相手を崩し、裏への飛び出しを成功させ、何度も何度もGKとの1対1のシーンを創成しておきながら、これを尽く逸する展開の連続。訪れたチャンスをモノに出来ない展開の繰り返しで、「そんな事をやっていたら、いつか京都に追い付かれて苦しくなるぞ」と、内心思っていた諸氏は多かったはずだ。

唯一の得点シーンである、前半27分のFW赤嶺の得点の場面でも、梁のCKをファーに居たエリゼウがヘッドで狙ったものを、GKが零してくれたからこそ、赤嶺が押し込む事ができたのであって、下手をすれば、GKに跳ね返されていた可能性は高い。

むしろ、この試合で望ましい得点シーンは、あの赤嶺の先制点のシーンよりも、その後に何度も訪れた、GKとの1対1のシーンを、きちんと決めるべきだったと思う。

ああいう得点シーンを決められるようにならないと、今季の残りの試合や、来季のJ1の対戦においても、より一層苦しくなる事は、容易に予想が付く。

ただ、こういった決定力の無さについては、何も今に始まった訳ではないため、いちいち落ち込んでも仕方ない。むしろ、この試合から獲るべきは、「下位にしっかりと勝ちきる、チーム戦術の安定性」のほうか。

以前の仙台は、「上位には良い試合をするが、どういう訳か、下位には苦しい展開を強いられる事が多い」という印象の強いチームだった。

ところが、ここへきてようやく、下位を相手にしたときの戦い方や内容に、一定の安定感がもたらされてきており、比較的、安心してみていられる試合が多くなった。

今節のこの京都戦でも、相手の攻撃のキーマンである、ディエゴと柳沢にほとんど仕事をさせず、攻撃の芽をキッチリと摘み続けていた。

その立役者は、ボランチコンビの富田と斉藤である。この組合せになってからというもの、攻守のバランスが非常に良くなった印象を受ける。その効果は、最近の失点の少なさをみれば判ると思うし、また、攻撃の面においても、今節は特に、富田の積極的なミドルシュート(しかも枠へきちんと跳ぶ)がみられ、確実に、京都ゴールへの驚異となっていた。

選手個々の成長もあるとは思うが、富田と斉藤のボランチコンビの起用は、筆者個人的には、仙台がJ1で戦い抜くための、一つの「最適解」と考えている。

その理由は、かなり地味な部分ではあるのだが、「決して攻め急がない」事を、ボランチの位置から実践している事にある。これは、チーム全体の約束事としての意味合いもあるとは思うのだが、この試合を通して感じたのは、「無理な攻め上がりや持ちすぎがほとんどみられず、効果的に攻撃出来ている事」である。

現在の仙台は、GK林を含め、堅守に相当な自信が生まれている。それも、この試合の京都側のキーマンである、ディエゴと柳沢の2トップ(1トップ1シャドーかもしれないが)を、ボランチの位置でしっかりとマーク出来ていた事から、「京都にやられた」という印象を受けたシーンは、皆無に近かった。

もちろん、危ないシーンが無かった訳ではない。ただ、最後はGK林の神懸かりセーブにも期待できる事から、相手からみれば、「仙台はどこから崩せば良いか判らない」という印象を持たれているのではないだろうか。

今の仙台から得点を奪うには、FC東京戦の平山や大黒にやられたシーンのように、相当速いクロスを後方から送り込んで、一発でゴールを陥れるか、或いは名古屋のように、高い技術力で、力技でゴールを奪うかの、どちらかしか考えられない。

長い、今シーズンの紆余曲折を経て、仙台は、ようやく「J1での戦い方やメンバーの組合せ」を見付けたのではないだろうか?

最近の好調さが、それを如実に物語っていると思う。

今後も、京都のように「決して弱いチームではないのだが、なかなか勝ちきれずに下位に沈むチーム」との対戦はあるだろう。次節の神戸戦など、その代表格だ。今節の神戸は、前評判を覆して、ガンバ大阪を敵地で下した。それも、4得点の大勝で。

順位が下で、降格圏に居るからと言って、決して油断はならない。

ただ、最近の仙台の勝ち方をみていると、どんなチームが相手でも、決して臆する事なく対峙できるという自信で漲っているようにも感じられる。実に頼もしい限りだ。

今季、指揮官が目指した「仙台スタイル」は、一定の完成度の高さをみせて来ているのではないか。ただ、最後の「決定力」のところだけが不足しているために、どうしても得点を効果的に重ねられない、というだけで。

今季の残り6戦においても、相手がJ1優勝争いに絡んでいるような強豪でない限りは、仙台は、互角以上の見応えのある試合を見せてくれるに違いない。

これで、GKとの1対1を確実に決められるようになったら、、、、来季の仙台は、ある意味、「とんでもない伏兵」と化す可能性も秘めている。

今から、そんな期待をしてはいけないだろうか?

気が付けば、現在の仙台は、ホームで4連勝を達成しているのだ。この他のアウェイ戦でも、決して相手に引けをとらない、互角な展開に持ち込む力量は身に付いてきていると思う。

決定力が足りない事を除けば、今節のような、こういう完勝劇を毎試合実践する事によって、仙台の「J1定着力」は更に増してくるだろう。

今季、泣いても笑っても、あと6試合。残された試合を、存分に堪能したい。

もう、下は向かない。上だけを、向こう。




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