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神戸2-0仙台 前半の2失点で、ゲームプラン崩壊。今季シーズン序盤に、嫌というほど味わった "高精度ミドルの怖さ" を改めて痛感させられた、冷や水ものの一敗。青色に成りかけた残留争いのシグナルのカラーは、一気に黄色へ。ラスト5戦、総力を挙げてJ1残留を死守すべし。

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勝てば、今季のJ1残留決定にリーチの掛かる一戦。相手は、現在16位に沈む神戸。神戸は前節にガンバを破り、意気揚々とホームで仙台を迎える事になったが、FW大久保やMFボッティら主力を欠き、決してベストメンバーとは言えなかった。

一方の仙台も、関口と富田を欠く布陣。仙台は新進気鋭の高橋義希や、引退を表明した千葉直樹を先発起用し、関口と富田の「穴埋め」を試みるも、予想された以上に、その「穴」は大きく、たった1試合だけでこれを埋めきるには至らなかった様子だった。

前半4分。仙台自陣の中央でボールを持った、神戸FW・吉田孝行に、「立ち上がりだから一発打っておこうかな」と、お試し程度で撃たれた、不意のミドルシュート。しかも、利き足では無い、左足でのもの。通常なら、枠を大きく逸れて、宇宙開発的にボールは宙を目指し、仙台のゴールキックで再開・・・となるかと思われるような展開なのだが、以外にもそのボールの軌道に、面白い変化(仙台にとっては面白くない変化)が産まれ、仙台GK・林の虚を突かれ、ボールが仙台ゴールの中央に、堂々と突き刺さってしまった。

神戸、1-0 先制。

前半29分。それまで、神戸に先制点を許した仙台の反撃に晒されながら、再び攻撃のリズムを掴む隙を探っていた神戸に、予想外な追加点が産まれる。MFパク・カンジョが、仙台DFの溢したボールをそのままダイレクトにシュートへ持ち込み、そのボールは、仙台GK林の反応する手をも弾き飛ばし、豪快にネットを揺らした。

神戸、2-0 追加点。

この時点で、仙台は完全にゲームプランを乱され、攻撃のリズム云々などと無関係に、ただ必死に、追い付く事だけを考える事しか出来なくなってしまった。

思い返せば、今季の14試合未勝利という長いトンネルの入り口となった、第5節・アウェイ清水戦も、敵の高精度なミドルシュートからの失点がきっかけとなり、ズルズルと5失点してしまったのであるが、試合の展開としては、まさしくあの時の再来のような様相。失点こそ2に留まったものの、アウェイである事・序盤の早い時間帯での失点・防ぎようのないミドルからの失点と、状況が酷似。この神戸戦を観ていた方の脳裏には、あの清水戦を彷彿とさせる、嫌な思い出も浮かんだ方も多かった事だろう。

この後、ようやく亀裂骨折による離脱から復帰した、FW中島の投入なども含め、点を取り返す努力を重ねた仙台だったが、久しぶりに先発を飾った選手が2人も居た仙台としては、微細なところで攻撃の連携が噛み合わない部分も多く、結果として、1点も返せずに、完敗となってしまった。

勝てば、16位・神戸との勝ち点差を11までに拡げ、今季のJ1残留へリーチを掛ける状況ではあったのだが、逆に敗戦を喫した事により、神戸との勝ち点差が5へ縮まる事に。残り5試合という状況下で、今後、たった2試合で勝ち点をひっくり返される、危うい状況へ、一気に降下してしまった。

もっとも、仙台がこの試合を、メンバー交代の影響も無しに、ゲームプラン通りに勝てるようであれば、今季のもっと早い時点で残留を決めていてもおかしくない。主力メンバー2名の負傷離脱が、この敗戦を招いたのだとすれば、それはすなわち「その程度のチーム力では、J1定着はまだまだ」との、天からの啓示ではないのか。

言い方を変えれば、「関口や富田を先発で起用し続けた事の副作用」とも言えると思う。

もっとも、どんなに好調なチームであっても、何かの拍子で敗戦を喫する事は、ままある事であり、内容に関係なく、一敗は一敗である。ただ、このタイミングや相手との組合せの妙により、この一敗の持つ意味合いがあまりにも大きいため、精神的ダメージを強く感じるだけの事である。

本当に大事なのは、ここからだ。

こういう敗戦を受け、ここから、如何に精神的な強さを発揮し、次節へ切り替えて臨む事ができるか。それが問われている。

泣いても叫いても、関口と富田は、すぐには戻って来ない。今居るメンバーで凌ぐしか無いのだ。

こういう状況で、筆者が思う事は「残り5戦において、毎節のように、関口や富田の代わりの選手を、日替わりで起用する事だけは避けて欲しい」という事である。

仙台は、先発メンバーの組合せに拘って、必要最小限の変更で、ここまで凌いできたチームなのだ。残り試合がたった5戦であっても、その方針を変えるべきではない。

この考え方に則り、この神戸戦で、関口の代わりに、高橋義希を。富田の代わりに、千葉直樹を起用したのであれば、負傷の影響でも無い限り、最後までこの2名に、先発の重責を担って貰い、日々の連携熟成に努めて貰いたいと考えている。

もし、来季に関口がまた日本代表に招集されるようであれば、どっちにせよ、関口に代わる、セカンド・チョイスとなる選手を探さなければならない。また、富田にしたって、不調や負傷により、来季も離脱する可能性はある。いずれにせよ、各ポジションに、しっかりとしたバックアッパーの存在は必要不可欠なのだ。しかも、きちんと主力先発メンバーと連携のとれる、熟成度の高い選手が、である。

J1に定着したいのであれば、主力選手の負傷離脱など、言い訳にもならない。負傷しない選手など居ないし、そのためのA契約・20数名の枠があるのだから。

現在の仙台は、控え選手の層の問題や、トップチームとの連携性の問題も含めて、まだまだ、発展途上のチームである。J1定着への道程は、まだまだ遠い。

だが、可能性は十二分に感じられる。現在、サブメンバーである高橋義希に加え、三澤純一なども、サイドハーフで起用できる、有用な戦力だ。今季から始まったMCLでの動きをみていれば、彼らが"開花"する可能性は充分に秘めている事が判る。

今季、残留出来さえすれば、彼らがこの冬に間に、更にパワーアップして来季に臨める期待感は増すものと思っている。彼らの「来季J1リーグ戦での活躍」を、貴方は観たくはないか?

観たいのであれば、今季の残り5戦を、筆者と共に、必死の想いで応援して欲しい。

次節、ホーム・磐田戦。言わずと知れた、今季のナビスコカップ覇者だ。2008年の入れ替え戦や、今季のリーグ開幕戦、そして今季のナビスコカップ準々決勝の相手と、事ある毎に、仙台の立ち位置に絡んでくる、ライバルチームでもある。

だが、ナビスコカップの覇者と言えば、私たちの仙台は、昨年のナビスコカップの覇者となったFC東京を、昨年の天皇杯で下しているのだ。

そして仙台は、今季のナビスコカップ準々決勝でゲームキャンプテンを張った、太田吉彰を擁している。ナビスコカップ準々決勝の第一戦にて、彼の決めたゴールからは、「古巣には絶対に負けない」という強い執念を感じ取る事ができた。

次節の磐田戦で、彼の存在が、一つの大きなカギとなる可能性は、大いにあると思っている。

次節まで一週間ある。富田の負傷離脱は急なものだったが、今度は充分に準備の時間があるはずだ。この先、関口や富田の穴を埋められないようでは、J1で生き残る資格は、仙台には無い。

いつもの通り、良い準備から、良い試合の入りへ。そして、良い結果を。

チームがやるべき事は、何も変わらない。

私たちサポーターがやるべき事も、何も変わらない。毎節、勝利を願って、必死に応援するのみ、である。




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