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仙台1-3清水 最高の滑り出しから得た先制点も、ファウルを犯した「あるプレー」から、流れは清水へ。仙台は、前節の「成功体験」を踏襲したプレーを何とか維持するも、清水の老獪なプレーによって、前半と後半の終了間際に失点を重ねてしまう。今季J1残留は、次節へ持ち越し。

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前半15分。期待していた「磐田戦の続き」が果たされている事を確信しつつある中で、そのゴールは突然に産まれた。

右サイドでボールを持った太田が、ペナルティエリア内で素早くクロスを入れるも、これは大きく反対サイドへ。しかしそこには梁がおり、跳ね返すように、再びゴール前へボールを放り込んだ。中央にはしっかりと赤嶺が詰めており、彼の競ったボールは、GK西部の前へ落ち、、、と思いきや、そこにはしっかりと菅井も詰めていた。

前節・磐田戦の前半35分にも、太田の右サイドの突破→クロス供給の場面から、中原の先制点(この得点も、GKとの競り合いを押し込んでのものだった)が産まれている。太田の右サイドの突破から産まれるチャンスメークは、もはや、仙台の一つの得点パターンと言っても良いだろう。

しかし、この仙台の先制点によって、清水攻撃陣の「スイッチ」が入ってしまったのか。次第に、清水の攻撃の圧力が高くなっていくのを感じた。

特に、MF10・藤本淳吾のすばしこさには手を焼いた。アタッキングサード(仙台陣のディフェンディングサード)で縦横無尽に動き回り、何としてでも得点に絡もうとする執念。時間が早かった事もあり、連戦の疲労感がまだ現れる事もなく、同点に追い付くべく仙台の守備陣を掻き回し続けていた。

仙台が先制点を獲った時間帯までは、清水の攻撃は「これがあの清水の攻撃か?」と疑いたくなるほど、清水らしい強さは感じ取れなかった。だが、あとから考えてみれば、あれは「様子見」だったのかもしれない。そして、前述の仙台の先制点が「スイッチ」となったかのように、眠れる「J最強のオレンジ軍団」を起こしてしまったのか。仙台の先制点以降、次第に試合のペースを、清水に奪われていった事を感じ取ったサポーターは多かったと思う。

だが、そんな中でも、仙台は、前節・磐田戦の内容を踏襲した、しっかりと布陣をコンパクトに保った陣形を維持し、決して大崩れしない戦い方を実践出来ていた。

しかし「あるファウルプレー」をきっかけとして、流れを清水へ渡す事になってしまう。

前半29分。仙台ゴールエリア内で清水・藤本にボールを持たれてしまい、それを止めようと朴柱成が体を寄せる。一瞬、ボールに対して体を入れる事に成功したかのように思えた瞬間。朴が「藤本の右腕」を抱えたように見られたのか。主審の笛が鳴り、PKを清水に与える判定を下されてしまう。これを藤本に確実に決められ、同点を許す。

そして、藤本を倒したと判定された朴柱成は、一発レッドで退場に。仙台は、今季初めて、数的不利な状況での戦いを強いられる事になってしまう。

この後、前半ロスタイムも終了間際に、先ほどPKを与えた藤本にまたしても得点を許す。仙台ゴール前中央で競り合っていたボールが、その密集の少し後ろに居た藤本のところへ溢れてしまう。それを見逃さなかった藤本。仙台ゴールの左隅へ、確実に枠を捉えるグラウンダー性のシュートを放ち、これがしっかりと決まってしまった。

前半終了。1-2 清水逆転で後半へ。

せっかく前半15分に先制点を奪っておきながら、エリア内でファウルを犯した事をきっかけとして、清水に「清水らしさ」を取り戻させてしまった。その結果、清水本来の強さを見せ付けられる展開となり、前半を終えてみれば、1点のビハインドを喰らい、しかも、数的不利な状況を強いられる事に。

朴の退場により、穴の空いた左サイドバックに田村を補充するため、やむを得ず、右サイドハーフの太田を下げざるを得なかった仙台。これが、仙台の攻撃力を大きく減退させる要因となってしまった。

迎えた後半。本来なら、数的不利は各々の選手が運動量を上げてカバーしなければならないのだが、日程面で有利なはずの仙台は、運動量以前に、清水のパスワークの良さに翻弄されてしまう。日程面で清水にアドバンテージを付けられると思われたこの試合で、まさか、数的不利に陥り、予想とは真逆の展開を見せ付けられる事になるとは。

それでも、決して諦める事なく、数少ないチャンスをなんとかフィニッシュまで持ち込み、「可能性」は常に失わずにゲームを進めていた。だが、前半のうちに太田を下げてしまい、そして中原を中島に代えてしまった事により、「速さの驚異」と「高さの驚異」を、後半29分の時点で既に失っていた仙台。

ここで、敢えて申し上げるが、フェルナンジーニョをベンチに置いておきながら、彼ではなく、中島を起用した事は、明らかにベンチワークのミスだ。

現在の指揮官の最大のウィークポイント。それこそが、FW中島の重用である。前節の磐田戦で、たまさか難しいゴールを決めたというだけで、どうしてあんなに決定力の無い選手を、この大事な局面で起用するのか?

案の定、この試合で唯一、彼にもたらされたシュートチャンスは、見事に枠を逸れ、ゴールは成らなかった。

これは持論なのだが、中島の起用の意味は、もはや「決定力」ではなく、先発から起用しての「前線からのプレッシング&守備貢献」でしか意味を持たない。後半の途中投入で、少ないチャンスをモノに出来る力量は、彼には「無い」のだ。

いくら、鹿島から自分で招いた選手とは言え、手倉森監督は、中島に甘すぎる。いい加減にして欲しいものだ。

※これでも筆者は、以前は中島擁護論者だった。しかし、度重なる決定機逸のシーンを見ているうちに、筆者の彼への信頼度はどんどん低下していった。もはや、彼にゴールを期待する事はない。敢えて先発で起用し、チャンスメークや、前線からの守備に奔走して頂ければ良いと思っている。彼にゴールは期待していないが、先発で出られるのなら、どこかで年間1~2ゴールは挙げる事もできるだろう。だが、それを評価したいとは思わない。よって、ベンチに置いての「切り札」としての役割は、彼には向いていないと考えている。

そして、ベンチワークのミスという意味では、この試合の終了間際に、最大のミスを犯す事になる。それが、後半43分の仙台セットプレーのシーンで、GK林を攻撃参加させた事だ。

後半ロスタイムに入り、あと1プレーか2プレーといったあたりでの指示なら判るが、まだ後半ロスタイムにも入っていない時間帯で、GKへの攻撃参加など有り得ない。

一見、「数的不利な点も考慮し、積極的な姿勢から出たもの」という、肯定的な見方も出来るが、采配ミスである事は、サポーターの目から見れば明らかである。(始めは、GK林の独断による攻撃参加かと思われたが、ベンチの指示であった事が判り、林の責任ではない事を後から確認した)

決して、GKに攻撃参加させるな、と言っている訳ではない。時間帯が悪いと言っているのだ。この点も含めて、仙台は、コーチ陣も「まだまだJ1経験が足りない」と言わざるを得ないだろう。セットプレーによる攻撃から、溢れ球をカウンターに繋げられてしまう危険性、及び、そのカウンターを得点として決められるだけの決定力を、J1の強豪は備えているのだ。

結局、このシーンは、清水が途中投入した大前によって、いとも簡単にゴールされてしまう事に。

せめて、1-2 の展開で後半ロスタイムを迎えていたのであれば、まだ劇的な同点で終われる可能性もあったのだが、我らが指揮官は、その可能性すら棄ててしまったのだ。

もっとも、筆者個人的には、中原を下げてしまった時点で、それまでロングボールの競り合いのターゲットとして効いていた攻撃の可能性が無くなったため、ほとんど諦めていた。まさか、それに追い打ちを掛けるような追加失点を喫する事になるとは、夢にも思わなかった次第だが。

こうして、試合前は「リベンチマッチ」の様相だったこの一戦も、終わってみれば「自滅」としか言いようのない結果を喫する事になった。内容的には、先制点を挙げた事も含め、決して清水を倒す可能性は低くなかったと思えただけに、"退場劇"と"誤った時間帯でのGKの攻撃参加"という、二つの有り得ないミスからの敗退は、非常に悔しいものと言えるだろう。

しかし、決して「第一クール対戦時の大敗の悪夢再現」と言ったシチュエーションでは無い、とも言いたい。確実に、清水との実力差は縮まっていたと思う事ができたし、数的不利な状況にさえ陥らなければ、充分に勝つ可能性は感じられた。今節は、判定の不運も手伝い、かのようなリザルトとなってしまったが、これで仙台の今季J1残留が遠退いた訳ではないのだ。

中2日で、すぐに試合はやってくる。大事な事は、私たちサポーターが、意識をすぐに、次節の新潟戦に切り替え、選手を鼓舞し続ける意識を持つ事だ。

どうせ、今節のJ1残留条件の一つであった「神戸●」は、神戸が辛うじて引き分けに持ち込んだ事により、仮に今節で仙台が勝っていたとしても、今節での残留は確定していなかった。

清水戦の結果に関わらず、結局は、新潟戦で決める事になる展開だっただけの事。そう思い、さっさと意識を新潟戦に切り替えたい。

清水への「リベンジ成就」は、来季のお楽しみとしておこう。

今季の残留決定の一瞬を現地で味わいたく、筆者も現地参戦させて頂く事とした。場所的にも行きやすいため、大勢の仙台サポーターが新潟の地に馳せ参じる事だろう。

今節の敗戦により、残留争いのライバルでもある、山形・大宮に勝ち点で並ばれる結果となってしまったが、ことここに至っては、もう「後ろ」は見ない。

次節の新潟戦に勝って、天命(=神戸かFC東京の何れかが引き分け以下)を待とうではないか。

是非、貴方と一緒に、今季の残留決定の瞬間を共有したい。共に、戦おう。現地で。テレビの前で。ラジオの前で。




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