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清水戦から3戦続いた未勝利の結果、とうとう残留確定は最終節へ持ち越しとなってしまった。それでも、勝ち点・得失点差の状況を考えれば、残留争い渦中の最後の3チーム(仙台、FC東京、神戸)の中では、俄然有利な状況にある仙台。そして、未だ順位アップの可能性さえ残っている以上、決して「下」を気にする戦い方ではなく、「上」を目指す戦い方としたい。
「下」とは、取りも直さず残留争いの事を指す。だが、残留争いをしたくてJ1に昇格した訳ではないはず。少しでも高い順位を目指す姿勢こそ、今の仙台に求められているリクエストではないだろうか。
この試合についての展望は、今季の最終戦であると共に、J1再昇格の初年度の挑戦でもあった事から「色々な角度」で観ることができるだろう。それに加えて、今季での引退を表明した千葉選手、平瀬選手の話はもとより、対戦相手となる川崎フロンターレとは昨年も12月に天皇杯で、今節と同じユアスタでの「年末再戦」。ただ、昨年の場合は、既にJ1昇格を決めたリーグ戦のあとでの、精神的にも余裕のある状態で対戦できた事もあり、伸び伸びと試合をする事が出来た。結局は、延長戦突入ながらも平瀬の決勝ゴールで天皇杯ベスト4進出を決め、意気揚々と年末の国立・準決勝の舞台への登壇切符を掴む喜びを味わえた事は、未だ記憶に新しい。
しかし今年は、とうとう最終戦まで残留確定がもつれこんでしまい、必ずしもすっきりした状態でこの最終戦を迎える事が出来なかった状況に加え、前節で、赤嶺までが負傷離脱というケチまで付いてしまった。関口が全体練習に復帰したものの、出場については未だ微妙。主力選手離脱が"完治"しないまま、現有戦力をフル活用しての最終戦トライとなる。
相手の戦闘能力の高さを考えれば、昨年12月や、今年8月の対戦と同様、まずはしっかりと守備を堅めるところから試合に入り、中盤では前線からの積極的なプレッシングによって相手のリズムを狂わせ、そしてボールを奪えれば要所でカウンターを繰り出す、いつもの仙台らしいサッカーの踏襲でOK。たとえメンバーが変わったとしても、そのやり方を変える必要はなく、また、変えるべきでもない。J1を戦い抜くために培ってきた、仙台スタイルのサッカーは、ハマれば充分にJ1で通用する事は、今季何度も証明されて来た。今節も、その特長を存分に発揮すれば良いだけの事である。つまりは「いつもの仙台のサッカーを、この試合でも表現できるかどうか」という事なのだ。
ただ、問題は「そこ」にこそある。この試合に勝ち、もしくは引き分け以上でしっかりと終えて残留を確定させるためには、いわゆる「不慮の事故」など出来るだけ起こさないよう、細心の注意を払う必要も出てくる。
ここで言う「不慮の事故」が、どんな意味を指すのかは、もうお判りだろう。清水戦での朴柱成の退場劇であったり、前節での赤嶺の途中交代など、数的不利や戦力低下となってしまうような状況全般である。また、詰まらないパスミスからの失点や、うっかりPK献上などもこれらに含まれる事だろう。
そして「今節に置ける最大の事故」とは、大量失点による敗戦、と定義できる。
もし、他会場の浦和-神戸戦にて万が一、神戸が浦和を相手に 3-0、4-0 などの大勝を挙げてしまうような事があれば、有利だったはずの勝ち点・得失点差など全て吹き飛び、究極の大逆転J2再転落などという、絶対に味わいたくないシチュエーションも考えられなくもない。それだけは絶対に避けたいものだ。
(本当は、最終戦へ向けたプレビューにて、この部分は書きたくなかったのではあるが)
しかし、「失点したくないから」と自陣に張り付いて守備を堅めようとすれば、相手の高い攻撃力を益々呼び込んでしまい、結局、失点を繰り返す悲劇に陥りかねない。事実、8月の等々力競技場でのアウェイ対戦では、前半のうちに2点を先行する事に成功しながら、そこからの反撃・猛攻を跳ね返せず、結局は3失点を喰らい、大逆転負けを喫した。あの時の会場には筆者も参戦していたため、ショックはより大きいものを感じていた次第であった。
「攻撃は、最大の防御」
-ふと、そんなことわざが筆者の脳裏を過ぎった。
今節、勝ち点1さえ挙げれば、つまり引き分け以上とすれば、残留は確定する。もし敗戦を喫したとしても、大量失点さえしなければ、まず大丈夫ではある。ただ、そういう「勝ち点1さえ掴めれば」とか「大量失点さえしなければ」と言った、いわゆる打算は、時として、己の足元を掬う結果に繋がりかねない。それに、そもそも試合前から「勝ち点1狙いだの大量失点しないようにだの」を目標に置く時点で、既に負けている、と言えるのではないか?
もっとも、試合終盤の展開の中で「ここは確実に勝ち点1を狙って」とか「今は得点よりも失点をしない事に集中して」という状況の判断はあると思う。もちろん、そういう局所的な判断は、絶対に必要な部分だ。前節の広島戦では、我らが指揮官が、そこの部分をで「ボタンの掛け間違い」を犯してしまったために、後半ロスタイムに痛恨の失点を喫してしまった。よって、あくまでも「試合の中での的確な状況判断」は絶対に必要、という大前提は曲げられない。
その上で、この試合に臨むべき姿勢として持つものが「あくまでも勝利を目指した戦い方をする事」である。
決して「下」を向いた戦い方をしてはならない。これは自動車の運転と同じで、目線が向いた方向に車は向かって行こうとする。つまり、現在降格圏の当落線上に居る、FC東京や神戸との勝ち点差を気にするような戦い方をすれば、自然と物事の成り行きがそちらへ行ってしまいかねない、という事を言いたいのだ。
せっかくJ1に昇格した以上、J1の中位以上に定着できるチームを目指すべきであり、毎年のように、残留争いに巻き込まれるような展開は決して味わいたくない。
崖から転落(=J2降格の意)するかもしれない、微妙な位置に居るからと、とりあえず足元を見て立ち位置を確認したくもなるかもしれないが、下を見た瞬間、崖の下が奈落の底のようにも思えて、体のバランスを崩し、本当に転落してしまう事もある。だが、目の前の道筋をしっかりと見据えておけば、崖の下など気にせず、ちゃんと渡りきれるはずなのだ。
今節、私たちサポーターが観たいものは、決して「崖の下を気にしながら、慄くように戦う仙台」ではなく、「目の前の道筋をしっかり見据えて、確実な一歩を踏み出す仙台」であるはずなのだ。
相手が強豪である事や、こちらの主力の一部に負傷者が居る事はもちろん加味すべき材料ではあるが、だからと言って、仙台らしいサッカーを棄てる理由にはならない。
目指すべきは、あくまでも、己の信じるサッカーを武器とし、勝ってJ1残留を決める姿勢。ただ、試合の展開内容によっての的確な状況判断も絶対に必要。今節に限って言えば、例え引き分けで終わったとしても、それは勝利に等しい。しかし、引き分けで終わる状況は「結果論」としては有りだが、よほどの不利な状況(またしても数的不利だの、前半だけでマルチ失点だの)に陥らない限り、あくまでも「勝利を目指すサッカー」を、
選手、コーチ陣、そしてサポーターの気持ち全てが「勝利を目指して戦う姿勢」で臨む必要がある。そうでなければ、毎年のように優勝争い候補と言われる、あの川崎を覆す事など不可能だ。
泣いても笑っても、今季のファイナルマッチとなる。是非とも、笑って年末を迎えたい。そのためには、不慮の事故など起こさぬよう細心の注意を払いながら、あくまでも、自分たちのやってきたサッカーを信じて、最後まで貫き通すしかない。
敵は、川崎フロンターレにあらず。己の中にある。
己の持てる力を信じて戦う選手の姿勢と、選手が自らの力で残留を勝ち取ってくれる事を信じて応援するサポーターの姿勢が問われている。
今節、神戸が浦和に引き分け以下でも仙台の残留は確定し、かつ、FC東京が京都に引き分け以下でも仙台の残留は確定する。最終節まで残留争いに巻き込まれたとは言え、仙台の優位性は変わらない。が、どんなに残留争いの状況が有利であろうと、今の仙台に求められているものは、自らの力で勝ち点1以上を川崎から奪い取り、実力で残留を確定させる事である。決して、他力本願であっては成らない。
それこそが、今後のJ1定着へ向けた、最低限のミッションだ。
私たちサポーターの声援で選手の足を動かし、絶対にこれを遂行しよう-。
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