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第2節vs名古屋戦プレビュー 前節・広島戦にて、今季の戦闘能力の片鱗を随所に見せてくれた仙台。満を持して、ホーム開幕戦を迎える。敵は、今季公式戦で未だ「90分での勝利」のない名古屋。調子の上がらない強豪から勝ち点を奪うタイミングは、ここしかない。またユアスタとしても、大型ビジョンのリニューアル後の「こけら落とし」の一戦でもある。

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前節のリーグ開幕・広島戦で、勝利こそ成らなかったものの、今季の戦闘能力の片鱗を随所に見せ付けてくれた仙台。佐藤寿人不在(インフルエンザ羅感による)だったとはいえ、1トップとして先発したFW李忠成に最後まで「仕事」をさせず、広島の良さを90分間に渡って消し続けられた「堅守」は、相手に関係なく次節での勝利をも予感させる、期待度充分な内容だった。

攻撃面でこそ、マルキーニョスへのゲームの組み立て依存度が増してしまい、梁・関口との攻撃連携に「いまひとつ感」こそあったものの、僅か一ヶ月のキャンプで、いきなり連携が完成するものでもない。それよりも、昨年の第33節での広島との対戦時と内容を比べれば、その「堅守性」と「攻撃性への期待度」には、格段の進歩があったと言えよう。

満を持して、名古屋を迎えて開催される、ホーム開幕戦。昨年、磐石の強さを誇って堂々のJ1優勝を飾り、今季もその流れのまま、リーグ開幕を迎えるように思われた。

・・・が、どうやらそうは問屋が卸さなかった様子である。

名古屋の今季公式戦は、ここまで3戦。XEROX SUPERCUP で鹿島と対戦し、FK から センターバック・増川のヘッドによる得点で、1-1 で PK 戦に突入。GK楢崎のファインセーブが光り、同大会初優勝を齎したものの、ACL では「格下」のはずの中国のクラブに無得点・2失点で敗戦し、そして迎えたリーグ開幕の横浜FM戦では、後半ロスタイム4分(記録では95分)にケネディの PK による得点が決まるまで、敗戦濃厚な状況であった。

昨年、圧倒的な強さで J1 優勝を決めたチームが、なんと流れからの得点を一つも奪えず、もがき苦しんでいる。その不調の一因は、どうやら、絶対的センターフォワード・ケネディの不調にある様子で、昨年の名古屋優勝の牽引役の低迷と共に、名古屋は未だ、「昨年の再来」と言える強さを取り戻す事が出来ていない。

今季、リーグ戦の日程が発表になり、ホーム開幕戦に名古屋を迎える事が判明したときには、「なんでいきなり優勝候補と・・」と思ったものだが、今となっては、昨年の J1 優勝チームから勝ち点を奪い獲る、最大のチャンスの到来と言える。

もちろん名古屋は、こちらの研究もしてくるだろう。今季の仙台の攻撃の軸がマルキーニョスにある事は、名古屋に限らず、どのチームも把握しているであろう事実だが、そこへ如何に、FW赤嶺や、2列目の梁・関口が早々に攻撃連携面でフィットするかが焦点となっている。だが仙台としては、まずは広島戦と同様、ブロックを崩さない堅守をベースとし、かつ、前線でのマルキーニョスの守備の献身性と併せて、「フィールド上のどこでも、相手の攻撃の芽を摘む」強かさを、基本戦略として戦いたい。

一方、名古屋としては、公式戦のここ3戦の流れを受け、攻撃陣に「喝」を入れるようだ。その「喝」とは、新人 FW・永井謙佑の先発起用の可能性。リーグ開幕の横浜FM戦において、試合終盤に投入された彼は、持ち前のそのスピードを如何なく発揮し、横浜FMの守備陣を尽く切り裂き、何度も裏を取り続けた。その結果、横浜FMから殊勲の PK を獲得。これをケネディがきっちりと決め、シーズン開幕を黒星発進とせずに済んだのである。

翌日のサッカー専門紙「エル・ゴラッソ」のレポートでは、彼のその類まれなるスピードを受け、「韋駄天」と表現している。

そして、名古屋の指揮官であるストイコビッチ氏の脳裏には、どうやらこの「韋駄天」を、仙台戦で先発起用する事も、選択肢として存在するようなのだ。

もちろん、こんな情報は、我らが仙台の首脳陣もキャッチしているはずで、早速にこの「「韋駄天を止める」策を練っているに違いない。本当に先発してくるかどうかは未知数だが、横浜FM戦での彼の「功績」を考えれば、最低限、ベンチ入りは間違いないと思われる。絶対的存在の FW ケネディが不調から脱していない状況において、彼という武器を使わない手は無いはずだ。

仙台としては、只でさえ厄介な名古屋の前線3枚(ケネディ・玉田・金崎)に加えて、この新人 FW・永井をも相手にしなければならない。

だが、永井が先発するにしろ、ベンチスタートで途中投入されるにしろ、仙台がやるべき事には、さほど大きな差異は発生しないだろう。

筆者がこの試合で、注意すべきポイントとして挙げたいのは、「常に、最終ラインの高さを最適な位置へ移動し続ける」という事である。

これは、昨年の対・名古屋戦でも言えた事ではあるのだが、相手の攻撃が強力過ぎるが故に、どうしても、ラインを下げて自陣ゴール前を固めたくなるが、これは「相手の思う壷」である。名古屋のセンターバックは、増川に闘莉王であり、また前線はケネディや玉田といった「長身揃い」のチームだ。このため、自陣ゴール前でのハイボール勝負に持ち込まれると、どうしてもその高さに競り勝てず、相手にヘディングを許し、そのまま失点、、、というケースが後を立たない。事実、昨年もケネディと闘莉王のコンビネーションで失点を喫しており、今季もそのケアは最優先事項である。

最終ラインを低くし過ぎれば、名古屋に高さで勝負されてしまう。いくら、新加入のセンターバック、チョ・ビョングクが屈強と言えども、一人で全て競り勝てる訳ではないはず。自陣ゴール前での高さ勝負を、100%避ける事は難しいと思うが、できるだけその機会を減らすため、可能な限り、最終ラインは引き過ぎないように維持しておきたい。

ただ、今度は逆に、そのラインを上げすぎると、玉田・金崎に加えて、今季新加入の FW 永井のスピードによって、簡単に「裏」を取られてしまう懸念も出てくる。強気で最終ラインを高く維持できるのは、相手チームに「スピードという武器」が無い場合に限られるが、少なくとも名古屋には通用しないと予想している。

・・・となると、仙台に出来る事は、「局面・局面で、最終ラインの高さを調節し、出来るだけ相手の攻撃のスイッチを入れさせない様にする」という事には成らないだろうか。要するに、「最終ラインを低くし放しはダメ、また逆に、高くし放しもダメ」である。

もちろんこれは、普段から実践している、基本中の基本である事に、何ら変わりはないはず。だが、相手が強敵であればあるほど、基本に返り、それを忠実に実行する精密さが求められるのではないだろうか?それが「組織的守備」の礎であり、仙台が、今節において名古屋から勝ち点を奪う、一番可能性の高い方法であると考えている。

ただこれは、昨年までの仙台なら、少々難しい仕事であったと思う。昨年の仙台も、チームの基本スタイルである「組織的守備」を武器として戦ったものの、昨年は J1 のチームを相手にして戦う選手がほとんどであり、どうしても、前線の攻撃陣の「自陣での守備参加の度合い」も比較的多かった事から、最終ラインを高く設定して強気に攻めに出る機会はなかなか見られなかった。(また、せっかくその機会が得られても、複数の攻撃枚数による連動した攻め上がりになかなか発展せず、結果として不発に終わるケースがほとんどだった)

だが、今季はだいぶ事情が違う。昨年途中からの加入となった、FW 赤嶺の完全移籍に加え、今季はマルキーニョスも加入。リーグ開幕の広島戦で先発2トップを飾った、この2人の特徴は、共に「ゴール前での嗅覚と併せて持つ、前線からの守備への献身性」である。

前線からの守備がしっかりと機能するならば、最終ラインは比較的高めに設定できるもの。もちろん「裏への飛び出し」のケアは怠れないので、サイドからの突破や、後方からの精度高いロングフィードなどには、最終ラインを含めた、全体布陣の素早いシフトチェンジが必要になる。攻撃陣も含めた、布陣全体の意識が統一されていないと出来ない事だが、仙台が昨年まで培ってきた堅守をベースとし、そこへ加わった、赤嶺とマルキーニョスによる構成であれば、充分に機能するのではないだろうか。

名古屋というチームは、個々の選手のタレント性も強く、1対1の局面などでは、個人技で突破される恐れも充分にある。特に、名古屋戦で「韋駄天」と称された、新人 FW・永井には要注意だ。昨年まで、他のJのクラブで特別指定を受け、プロサッカーのピッチに立つ事に既に慣れている彼は、事実上「新人」ではない。新人と称しているのは、単なる契約時期の関係に過ぎず、彼は実質、「即戦力の選手である」と見て間違いないだろう。だが、どんなに強いチームでも、勝てない時は必ずある。図らずも、今季の名古屋の公式戦3戦の結果が、それを雄弁に物語ってはいないだろうか。

昨年までのベースに加えて、前線に赤嶺・マルキーニョスという、強い「個の能力」を持った選手を配置した仙台。だが、仙台が標榜する戦い方、そのスタイルは、あくまでも「組織的守備、そしてそこから産まれる、連動性高い攻撃」である。

今の仙台が目指すサッカーが、今季、更に一段と完成度を増すとすれば、このホーム開幕戦において、昨年の J1 優勝チームから勝ち点を奪う事こそが、それを証明できる、唯一のリザルトである。

そして、そこへ期待するものは、決して「無失点、或いは勝ち点1」に留まらなくても良い。各々の選手がやるべき事をきちんとこなせば、1-0、或いは 2-0 などの完勝劇による歓喜が、私たちサポーターを待っているかもしれないのだ。

この一戦を、選手が、コーチ陣が、そして私たちサポーターが、「名古屋の胸を借りる」というスタンスで臨む必要はもう無い。相手は、あくまでも倒すべき敵。ただそれだけの認識で充分ではないだろうか。

名古屋を迎え撃つ、今季初のユアテックスタジアムでは、昨年末から続いていた、大型ビジョンとスコアボードの改修工事が終了している。聞けば、大型ビジョンは、従来の1.3倍のサイズとなり、LED化した事によって、非常に綺麗な表示を実現し、かつ、消費電力はなんと5分の1であるとの事。

我らが聖地の、大型ビジョンの「こけら落としの一戦」でもあるのだ。

この一戦が終わったとき、そのボード上には、なんとしてでも、我らが信じて応援するチームの、勝利のリザルトが刻まれている事を、強く願って止まない。




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