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C大阪1-1仙台 逃した勝ち点2の"意味"とは。九分九厘手中にしていた勝利が、ラスト2分で滑り落ちる怖さ。内容でも勝っていただけに、非常に勿体ないドロー終劇だったが、失ったこの「勝ち点2」を、意味のあるものに出来るかどうかは、「自分たちの捉え方一つ」で決まる。

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掲示された後半ロスタイムの時間、5分-。

誰しもが、「絶対、そんなに長い訳ないだろう!?」と思ったはず。筆者も、せいぜい3分程度と考えていたため、5分の掲示には些かの驚きと共に、若干の嫌な予感がした。

昨年のリーグ終盤でもみせていた、このチームの「試合の締め方の甘さ」。1点のリードで迎えた試合の終盤において、相手がパワープレーを駆使し、何が何でも敗戦を回避するという意気込みで臨んでいる事は、ピッチの上で充分に体感していたはず。そして、どうあっても相手に得点を許さず、この試合をこのまま"ゲームオーバー"に持ち込みたかった。

だが結果は、ラスト2分で相手に同点ゴールを許しての1-1ドロー。誰しもが、「また昨年終盤の再来か・・・」と嘆いたに違いない。

そう、思われても、仕方のない結末だった。4連勝を目前にして、試合の締め方に甘さが出た。どうしてあの場面で、あの残り時間で失点しなければならないのか。

・・・・いや、そうではないのでは?

試合を終えてから、丸1日を経過し、頭を冷やして考えてみた。確かに、1-0で迎えた局面では、絶対に失点は許されない。だが、結果として失点してしまう事は、ままある事だ。

第一、仙台は今季、ここまでの5戦で、僅かに2失点しかしていない。失点に関しては、充分に及第点なのだ。

落ち着いて考えてみれば、今節の失点シーンのような展開は、この試合中にも何度も訪れていたではないか。その度に、仙台のディフェンス陣は、GK林の好セーブも含めて、体を張って失点を何度も防いで来たのではないのか。

それに、最後の失点シーンでは、GK林は、確実にシュートコースを塞ぐように、完璧に反応していた。ただ、そのシュートコース上に、運悪く菅井が居て、その菅井の胸にボールがあたり、軌道が変わって、林の「虚を突く」ように、ゴールが決まってしまったものである。

あんな展開、いったい誰を責められるというのか。

後半ロスタイムに得たFKを、まともに蹴った松下が悪いのか?あそこで時間稼ぎに徹していれば良かったのか?
-違うだろう。それは結果論に過ぎない。

この試合において「勝てなかった理由」。それは、試合終了間際に失点した守備陣の問題ではなく、平均1試合に1点しか獲れていない、攻撃陣の問題ではないだろうか。

落ち着いて考えてみれば、この試合でもそうなのだが、試合開始約10分程度の猛攻を含め、仙台には、いくらでも得点のチャンスが訪れていた。開始直後のバー直撃弾、関口の豪快な突破から撃った、角度0°のシュート(これはポストに嫌われた)など、運の悪さも含めて、現在の仙台は、攻撃陣が「マルチ得点を獲れない」状況下にある。唯一、川崎戦の逆転劇だけが、今季のマルチ得点の試合だ。

今節の、このドロー劇は、今の仙台に覆い被さっている「マルチ得点を獲れない」症候群の症状が表面化したものだ。これは、何も今節に限った話ではない。浦和戦しかり、福岡戦しかりだ。浦和にしろ、福岡にしろ、たまさか攻撃陣に結果が出ていないだけであり、本来なら、仙台は1失点程度はあってもおかしくなかったはず。その「隠れていた問題」が、今節、たまたま顔を出しただけの事なのだ。

リーグ戦再開後の展開において、3連勝という状況を受け、正直、少し浮かれ気味だったようにも感じる。5試合で5得点。平均、1試合1得点。きっちりと点は獲れている。ただやはり、これでは足りないのだ。

攻撃陣には、今後、より一層の奮起を求めたい。

ただ、そうは言っても、攻撃陣が決して不調という訳でもない。組織的な守備と連動した、「早くて速いパスワーク」から産まれる、可能性タップリのフィニッシュシーンを、今季は何度も見せてくれている。実際、この試合でも、得点が決まってもおかしくないシーンは何度も訪れているのだ。

今季の仙台を応援する者であれば、今の仙台の「チームの状態」は、良く判っているはずだ。豊富な運動量を礎とした、オーガナイズドな守備からの、切り替えの早い、アグレッシブな攻撃。そして期待度バツグンのフィニッシュシーン。どこをどう切り取っても、「J1のチーム」として充分に見応えのある内容だ。明らかに、J2時代のそれとは、レベルが、次元が違ってきている。

そろそろ、このレポートでの「筆者なりの結論」を出そう。

現在の仙台のチーム状態は、守備にしろ攻撃にしろ、向かっている方向は、決して間違ってはいない。ただ、向かっている方向に対して、点灯しているヘッドライトの先に、確固たる結果がまだ見えてきていないだけの事なのだ。

そしていずれ、私たちの求める「結果」は、目に見える形で出てくると思うのである。

失点は、極力ゼロに抑える。しかし、何試合かに1回くらいは、1失点くらいはあるのかもしれない。
得点は、極力2点を獲る。しかし、何試合かに1回くらいは、1得点以下で終わってしまう事はあるのかもしれない。

常に、1失点は想定の範囲内とし、常に、2点獲る事を目標とする。そういうターゲッティングで毎試合臨み、そしてその通りの結果を数多く出すようにすれば、自ずと上位争いに食い込めるようになり、いわゆる「残留争い」とは無縁の常勝チームへと昇華できるようになると思う。

-この考え方は、少し前(数年前)までは、単なる「理想論」に過ぎなかった。J2でもままならなかったのに、J1でこんな「理想論」など追求できるのか。毎年、残留争いに巻き込まれるのが関の山ではないのか。「そんなマイナスな思考性」が、今でも脳裏に無い訳ではない。

だが、今の仙台のサッカーを観ていると、決して理想論ではないように思えてしまう。むしろ、もう少しで現実化するのではないだろうか。

この論法を、肯定して頂くも、否定して頂くも、読んで頂いた方それぞれの自由だ。だが、少なくとも筆者は、この「毎試合2得点以上、毎試合1失点以下とし、常勝チームの仲間入りを果たす」という理想論は、もう、私たちの手の届くところまで来ていると信じている。

信じるが故に、今節のような展開があったとしても、長いリーグ戦の中の、一つの小さな失敗と捉える事ができる。

今、私たちが成すべき事は、「なぜあの展開で失点して、勝ち点2を失ったのか」という事を考える事ではなく、「なぜ2得点を獲れなかったのか」という事を考えるべきなのだ。

もちろん、どうしても2得点を獲れない時は、1得点を最後まで死守して、1-0での勝利を目指す必要もある。今の仙台は、まさにこれを地で体現している。が、決して「1-0での勝利こそ美学」としている訳ではないはず。ここは、カテナチオの国・イタリアではないのだ。今の仙台は、決して「毎試合1得点止まりの、攻撃力の無いチーム」ではないはずだ。目標は、もっと上に設定しているはずなのだ。

表題で書いた、「逃した勝ち点2の"意味"」。それを、どう捉えるかで、今後の試合への臨み方が変わってくる。

筆者としては、今節に失った「この勝ち点2」の意味は、「いつまでも1得点で勝てると思うな」という、サッカーの神様からの訓示だと思っている。

決して「失点を喫した事」を、今節に勝利を逃した原因、と考えてはいけない。もし、それを原因としてしまうと、毎試合、失点してはいけない事になってしまう。

そんなの、絶対に無理だ。

サッカーというスポーツが、得点を奪い合うスポーツである以上、必ずどこかで失点は喫するものだ。もちろん、堅守を売りにするチームなら、失点の少なさを武器として生き残る事もあるかもしれない。だが、それは「得点力とのバランスの問題」でしかない。

毎試合のように2得点以上を獲れるチームなら、1失点は許容範囲だ。しかし、毎試合、1得点しか獲れないチームなら、1失点は勝利を逃す、致命的な問題となる。

実際問題として、過去に「得点力はそれほどでもないが、堅守を武器とし、ロースコアで勝利を重ねてきてJ1昇格を果たした」というチームがあった。チーム名は言わずとも、ご存じだろう。そして、それらのチームの「その後」を思い起こしたとき、「守備だけではJ1では通用しない」事を、再認識させられる。

今のチームの状態に、あれこれと注文を付ける必要はないだろう。

私たちが、今やるべき事は「攻撃力の開花」を信じ、ひたすら応援する事のみである。決して、勝ち点2を失った事に対する、悲観や批判などではないはずだ。

決して、チームの方向性は間違っていない。
もう少し我慢すれば、1試合で2得点以上の結果が出るようになる。そうすれば、今の堅守性なら、充分に勝ち点を伸ばせるようになるはずだ。

そうなれば、今節に失った勝ち点2など、有って無かったようなものとなる。むしろ「良い勉強代だった」と捉えて、気持ちを次節へ切り替えよう。




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