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仙台3-3磐田 両SB連携による華麗な先制点も、ジュビロキラー・赤嶺の追加点も、そして試合終盤の角田の突き放し弾も。相手をいなし切れずに失点を重ねる展開では、勝ち点1でも嬉しくない。2試合連続の後半ロスタイム失点は、絶対に修正すべき課題。「6戦不敗」を言い逃れの材料にせず、敗戦を越える危機感を持って、次節へ臨むべし。

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「サッカーは、2-0からが一番怖い」。
そう言われて久しいが、今節は、嫌と言うほど「それ」を味わった試合だった。

2-0で前半を折り返してのハーフタイム。一緒に観戦していた身内(オフクロ)が言った。「この前の福岡って、ここからホームのマリノスに3失点の逆転を許しているんだよねぇ」。

・・・オイオイ、何て事を言うんだ。オフクロの「つぶやき」は、得てして当たってしまうんだぞ、縁起でもない。と、内心思っていた。

そして、逆転負けこそ喫しなかったものの、後半は磐田に3失点でのドロー劇。ほうら、言わんこっちゃない orz。

それでも、記憶では過去5~6戦において「年1回見に来るかどうかという参戦頻度だが、現地参戦した試合は全勝」という、頼もしい運持ちの「我が弟」の参戦により、辛くも敗戦だけは免れた。

(なんだか、筆者の身内の存在だけで、試合を持ち上げたり落としたりしてしまったみたいで、大変に申し訳ない気がしないでもないのだが)

余談はこのくらいにして、冷静に試合を振り返ってみたい。

概ねの試合展開を簡単に表現すると、「前半の仙台、後半の磐田」となるだろうか。仙台は、試合序盤から実に頼もしく試合をコントロールし、あっさりと決定機を創り出す展開。

試合が動いたのは、前半の4分。左SBの朴柱成の丁寧なクロスに、なんと右SBの菅井が綺麗にヘッドで合わせての先制点。
そして、得点はそれだけに留まらない、前半の10分。自陣右後方の梁から、左サイドを駆け上がっていたチョ・ビョングク(!)へ繋がり、その折り返しへ、気持ちを乗せて右足を伸ばした赤嶺が合わせる。一瞬、磐田GK川口のブロックを受けたかと思ったが、ボールはそのままゴールイン。赤嶺、磐田戦へのゴールの期待そのままに、ジュビロキラーの異名を更に確固たるものとする、突き放しの2点目を挙げた。

その後も前半は、磐田攻撃陣の芽を、徹底的に摘み取り続ける。前半が終わった時点では、「仙台のワンサイドゲーム」と言っても過言はないくらい、素晴らしい内容に終始した。

ここまでは、この試合を観戦に来ていた、日本代表・ザッケローニ監督の目にも、良い印象で映った事だろう。

・・・ところが試合は、ハーフタイムを境として、前半と全く真逆の展開を見せる。

後半開始直後から、「磐田の逆襲」が始まった。選手こそ交代はなかったものの、「現在売り出し中」の大卒ルーキー・MF10・山田大記と、FW25・山崎亮平に、それぞれ後半13分・15分と立て続けに失点を喫する。磐田が今季、大卒ルーキーの当たり年である事は知っていたが、あそこまで落ち着いてPA内でプレーされたり、ミドルシュートを豪快に決められると、もうお手上げである。

筆者としては、2-0から2-2に追い付かれたのは、相手の巧さもあり、ある程度やむを得ないと感じていた。(それでも、もう少し相手の攻撃をいなす事は出来なかったものかと、悔しくて仕方ないのだが)

2得点から、一気に2失点を喫し、これでようやく「ケツに火が付いた」仙台攻撃陣。ここから反撃が始まり、積極的な選手交代采配で、ピッチ内の攻守のバランスを保ち続け、そしてとうとう、後半43分の角田の勝ち越し点に繋げる。

梁から朴柱成に渡ったボール。これを彼は、前半4分の菅井の得点と同様、丁寧にセンタリング。そしてそこへ、まさに「攻守の核だ(角田)」と監督にダジャレを言わしめた、その攻撃力を発揮し、豪快にヘッドで磐田ゴールを揺らす。

後半43分、仙台3-2磐田。苦しかった時間帯を凌ぎ、勝ち越しに成功した瞬間だった。

-しかし、このゲームの「問題点」は、まさにここから、嫌と言うほど味わう事になる。

掲げられた、アディショナルタイムは4分。リードしているチームにとって、この時間が長ければ長いほど「苦しい時間帯が続く」事は間違いないのだが、前節の5分に続く4分の表示を受け、少しだけ、嫌な予感はしていた。

そしてその予感は、現実のものとなって、その醜い顔をさらけ出す。

後半ロスタイム突入後の46分。磐田GK川口の「何でもないゴールキック」への対処のシーン。後半途中から入ってきた、磐田FW17・金園英学との競り合いを、チョ・ビョングクが落ち着いて体を寄せてブロックしたものの、その「溢れ球」の処理を、鎌田が痛恨の判断ミス。GK林まではまだ距離があるのに、なんと鎌田は自分でクリア処理をせず、林を指さしてしまい、対応を林に任せてしまったのだ。

これで慌てた林は、やむを得ず前へ出て行き、ボールを処理しようとしたが、この「一瞬の隙」を見逃さなかった金園に先にタッチされてしまい、勢いはなかったものの、ボールはそのまま仙台ゴールへ。

滅多な事で"個人攻撃"はしたくない筆者だが、このシーンだけは、どうみても鎌田の判断ミスだった。

経過時間はともかく、もう後半ロスタイムに突入し、あとは逃げ切るだけの時間帯だった事は、本人も当然に判っていたはずだ。こういう時は、相手に絶対に仕事をさせてはいけない。このシーンは、鎌田が自分で大きくクリアすれば良かっただけの事であり、なぜそれをせずに、林に任せる気になったのかが解せない。

通常なら、こういう展開のときは、3-2で終わるべきものだ。1点リードで試合終盤を迎える事が出来た以上、あとはそのリードを、最後まできっちりと守り通すのがプロの仕事だ。

試合が終わったとき、途轍もない脱力感が、体中を駆け抜けた。
2試合連続での、後半ロスタイムでの失点。それによる、勝ち点4の喪失。

明らかに仙台は、2試合で獲れた勝ち点4を、自らのミスで溢した。

百歩譲って、C大阪戦のドローには目を瞑ったにせよ、前節のあの悔しさを晴らすどころか、その悪夢を甦らせるかのような、今節での失点劇に、歯痒い想いをしたサポーターは数多く居る事だろう。

もう2度と、こういう展開は見たくないものだ。こういう展開を繰り返せば繰り返すほど、その「悪い経験」が脳裏にイメージとしてこびり付き、「またやってしまうんじゃないか」という妄想に囚われるようになってしまう。

あの最後の失点さえなければ、今節の3得点は全て意味のあるものとなり、1試合でのマルチ得点力が戻ってきた事を、素直に喜べたものを。

鎌田の「一瞬の判断ミス」で、全て台無しにしてしまった-。

もっとも、他の誰に言われなくても、ミスした鎌田が一番悔いている事だろう。大いに反省して欲しい。

そして、ここで一番に注意しなければならない事は、「それでも開幕から6戦負け無しなのだから、仕方ないじゃないか」という、今節のドローを許容する空気を産んではいけない事にある。

勝ち点1を獲れた事自体は、数字の上では確かに「負けるよりまだマシ」ではあるのだが、それによって、2試合連続でドローを喫し、勝ち点4を自らのミスで手放してしまった事実から、目を背けるような事があってはならない。

この2試合連続のドローは、決して「負け試合から拾った勝ち点2」ではないのだ。もしこれが、負け試合から拾った勝ち点2であるのなら、まだ意味もあり、救いようもある。だが、一度は掴んでいた勝ち点6(2連勝の意)を、自らのミスで4つ減らしてしまってのものなのだ。どう考えても、許容できるものではない。

一番に危惧される事は、「ドロー=負けていない」と、安易に現状を誤解する事だ。これは、選手にも、そしてサポーターにも言える事だ。

今節の、いや前節から続くこのドロー劇2連発は、「2連勝の取りこぼし」であり、勝っていたチームにとっては、敗戦にも等しいものなのだ。それならまだ、前節を0-1敗戦とした上で、今節に3-2勝利としたほうが、2戦で勝ち点3を獲得できた。そのほうが、状況的にはまだ救いようもあるのだ。

よって、チームには、決してこの勝ち点2の加算に満足する事なく、「この2戦は、2連敗したものと同義」と考え、前節以上に危機感を以て、次節のみちのくダービーに臨んで欲しい。

山形サイドには大変申し訳ないのだが、「次節の敵」は、実は山形ではない。

「それでも負けていないのだから、このままの流れを維持して山形戦に臨めば大丈夫だろう」という考え方を持ちかねない、自分たちの思想そのものが、最大の敵である。

私たちは、次節の山形戦へ向け、「C大阪戦・磐田戦と、2連敗に等しい状況」と捉えて、厳しい視線でチームを見つめ、次節の勝利をチームに要求し、そしてそれを要求する私たちサポーターも、一緒に闘わなければならない。

甘えは、禁物だ。

次節の相手が、誰だか判っているか。

直前までの成績など関係なく「仙台戦は別もの」と、まるで人が変わったかのように、仙台に対しては突然に牙を剥いてくる、あの山形が相手なのだ。

相手の直前までの成績など、関係ない。

これは、決して「リーグ戦の一つ」などではない。ダービー戦なのだ。
否応なしに「普段とは違う力」が見え隠れする、奇妙奇天烈な戦いなのだ。

仙台としても、全ての邪念と甘い考え方を捨て去り、一戦必勝の想いで臨まなければならない。

その覚悟を、チームと、サポーターと。そして筆者自身に求める。




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