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第12節vs山形戦プレビュー 「今度こそ。」2試合連続で終了間際に勝利を手放している仙台と、得点力不足や失点癖に喘ぎ、今季2勝目が遠い山形。お互いが3試合ぶりの勝利を目指すが、この試合は「ダービー戦」。リーグ戦の一環として安易に考えれば、きっと痛い目に遭う。ダービー独特のモチベーションを携え、強い気持ちで臨むべし。

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両者、中7日で臨む、今季初のみちのくダービー。お互いに疲労は癒え、フレッシュな状態で対峙する事になるだろう。もとより、豊富な運動量が好調の礎でもある仙台にとって、この試合間隔は大変に有り難いものとなった。

震災を経てのリーグ戦再開後、早くも6試合目となる。3連勝の後に2分けを喫し「自らのミスで5連勝を逃した」と言っても過言はない、3位・仙台と、首位の柏をホームで下した以外は、得点どころか持ち前の堅守にすら綻びの見える、降格圏の17位に沈む山形。

両者の状況が本当に正反対で迎えるダービー戦となったが、だからと言って、仙台が有利に試合を運べるという保証はどこにもない。

一見、仙台側が状況的に有利に思える、この一戦。toto の投票率を見ても、山形の勝率20.05%に対して、仙台の勝率 55.63%。(引き分けは 24.32%)。全国の toto ファンの大半が、この試合は仙台の勝利と予想している。

もちろん、その期待には大いに応えたい。だが、この試合だけは「勝利を目指す」という安易な目標設定だけでは、絶対に勝てない一戦でもあるのだ。

この一戦のポイントは、ここ2戦で試合終盤に失点を喫し、勝ち点4を失いながらも3位と好順位に付けている「好調・仙台」側には無い。仙台側としては、準備面では特に変わった事をする必要がなく、ただ「ダービー戦であるが故の、独特の雰囲気に飲まれないようにするための心構え」があれば良いと考えている。

では、その「ポイント」やらはどこにあるのか?

この答えは、今、状況的に追い込まれている側の山形にある。この一戦へ向け、「ダービーだけは絶対に負けられない」と、毎度のように、ダービー独特のモチベーションで仙台にぶつかってくる山形。昨年のNDソフトでの対戦時には、試合直前までの悪天候明け後に、天童の空を飾った、見事なまでの虹に勇気付けられ、山形3-1仙台 という結果をもたらし、仙台にとっては屈辱的な敗戦を喫した。

この試合は、昨年6月のワールドカップによる中断明け後の一戦だったが、仙台・山形共に、決して好調とは言えなかった。仙台は、あの「14戦未勝利の長いトンネル」通過の真っ最中で、山形は、中断前の2試合で合計6失点。共に、勝利を渇望しての一戦となったが、結果は前述の通り。山形が「地の利」と「天童の空に掛かった虹」に勇気を貰い、仙台を完璧に抑え込んでの勝利だった。

山形から見れば、この仙台戦に臨む周辺の状況は、昨年と非常に良く似たところがある。まして、当日の天候予想は雨模様だ。天候も含め、昨年と実に良く似た雰囲気が醸し出されつつある。当然、「昨年の試合展開の再来を」と、山形側の関係者は目論んでいるに違いない。当然、山形の各選手も、モチベーションもグッと持ち上げて、この試合に臨んでくる事だろう。

決して、この試合に臨んでくる山形を、直前までのチーム状況や戦績だけで判断してはいけない。

仙台が、現状の好調性を踏まえた上で、このダービー戦で勝利を収めるためにやるべきこと。それは、「山形を決して調子付かせない事の徹底」にある。具体的に言えば、「絶対に失点を許さない事」となるか。

ダービー戦の怖いところは、お互いが「相手がノったら手を付けられない」という点にある。前述した、昨年のNDスタジアムでの一戦に加えて、2008年にユアスタで山形と対戦した際には、前半に山形に2失点を喫したものの、後半に3得点&DF宮本の退場アリで仙台の大逆転勝利と、後半限定で完全に仙台がノッた試合などがあった。

一般的に「好試合」と呼ばれる試合としての内容には、概ね「お互いがそれぞれの特徴を出し合った」という修飾的表現が用いられる事があるが、この一戦だけは、決して「好試合」である必要は毛頭ない。

泥臭く、お互いの良さを消し合い「勝利という結果」のみを目指す、一戦必勝のガチンコバトルなのだ。

判りやすく例えて言えば、ボクシングでいう「クリンチ」を駆使して、相手の攻撃を抑え込みながら、瞬間的に相手が見せた隙を突き、カウンター一発で相手を沈める、といったところだろうか。

決して、前節のような「ノーガードの撃ち合い」にはならないと思っているし、そのような試合をやってはいけない。そんな事をすれば、得点を許した分だけ、相手をノせてしまうきっかけを与えるだけであり、現状で不調のどん底にある山形に、復調のきっかけを掴ませる事に成りかねないからだ。

では、仙台としては、いったいどうすれば良いのか?

筆者が思うに、この試合において、仙台としてやるべき事は、実は「何も変える必要がない」と考えている。

技術的にみれば、現在の仙台の先発メンバーの構成と戦い方は、充分、現在の山形に通用する内容のはずだ。ただ唯一、戦い方のスパイスとして「相手に自由に攻撃をさせず、そして守備をさせず」という部分を実践すれば良い。

その「スパイス」とは、関口と太田の両ドリブラーの存在である。

緩急自在なドリブルを身に付けた関口は、攻撃参加のみならず、最終ラインまで躊躇うことなく降りてきて守備もこなし、そこで奪ったボールを、そこからドリブルで前線へ運ぶ事もできる、類い希なる運動量の持ち主だ。

そして太田は、守備面にまだ改善の余地はあるものの、ボールを奪ってからのカウンター攻撃での上がりの速さや、スピードだけでなく、ゴール前にも顔を出して得点を決める、フィニッシャーとしての特徴が、MFながらFW起用で先発の出番を維持し続けている理由となっている。

両者の共通点は、その「トップスピード」にある。フィニッシャーとして、ここまで3得点を挙げた太田と、最終ラインまで超特急で降りてきて、平気で守備をこなす関口の両者が、ピッチの両サイドを、縦横無尽に走り続けているのだ。

「判っているが、止められない」。

おそらくこれが、山形側からみた、2人の印象だろう。

対峙するチームに、ドリブラーが1人だけならば、複数の人数を掛けて止める配慮をする事もできる。が、仙台のように2人居て、しかも両者とも先発陣に名を連ねるとなれば、マークしようもないはずだ。

仙台が、この大事な一戦で勝利を収めるためには、この両ドリブラーが、これまで以上の運動量を駆使して、山形がやりたい攻撃と守備を、徹底的に掻き回す事が必要になる。特に、山形の攻撃に対し「如何に自由にさせないか」が大事だ。

「仙台戦は別物」と、試合前は相当な意気込みで、山形はこの一戦に臨んでくる事だろう。

ポイントは、山形側の「この特別な試合に向けた、独特なモチベーション」を、如何に削り取って行くかだ。もっと判りやすく言えば、如何に山形に、戦意を喪失させるかに掛かっている。

そのために手っ取り早いのは、早い時間帯での先制点を挙げる事ではあるが、もし0-0で試合が進行しても、仙台としては、一向に焦る必要は無い。時間が経過すればするほど、チーム全体的に運動量が豊富な仙台には好都合となるが、メンバーが手薄な山形には、時間の経過が逆に重荷となる。

但し、仙台側からみた、唯一の懸念材料。それは、古橋の復帰か。長い間、負傷の影響で試合に出られなかった様子だったが、この仙台戦で復帰の情報も。得てして、こういう選手の存在が、チーム復調のきっかけとなったりするものだ。もし、先発にしろ途中投入にしろ、今節で彼がこの試合に出て来たときは、要注意だ。

震災後のリーグ戦も6試合目を数え、リーグ戦には、いつもの雰囲気が戻りつつある。仙台としては、東北の被災地という属性を携えながら、今節は同じ東北同士の対戦との事で、再び、全国からの注目も集まる事だろう。ユアスタでは、NDスタ開催ながらパブリック・ビューイングが企画され、県内の他会場でも、同じようにパブリック・ビューイングの予定がある。

被災地、そして被災者のみなさんに勇気を、という気持ちは維持しつつも、この試合だけは「好試合を見せる」必要はなく、結果として勝利を収められれば良い。

華麗なプレーも、豪快なシュートも、決して必要不可欠なものではない。

相手をノせてしまえば、自分たちが苦しくなる。まずは相手をノせないように、細心の注意を払いつつ、チャンスが有れば攻撃に打って出て、確実に1点ずつ得点を重ねたい。

そして、筆者の考える、今節の課題のおさらい。

「この試合だけは、絶対に失点するな」

そして、更に付け加えたい事がある。それは、「敢えて "2-0" という、一番危険な得点差を維持しての完勝の達成」を臨みたいという事だ。2-0で勝てれば、御の字。無理に3-0を狙わず、2-1になる可能性を潰せれば良い。結果的に 3-0 以上で勝てるなら、更に御の字だ。

2試合連続で、後半ロスタイムに失点を喫したチームにとって、今、一番大事なのは「要所で如何に失点しない試合運びが出来るか」という点である。ダービーという特別な一戦の中においても、その課題がある事は決して忘れてはならない。

今季の仙台に必要なもの。それは「2-0から仙台を引っ繰り返す事は、ほぼ不可能」と言わせるくらいの堅守性を取り戻し、それをリーグ終盤までキッチリ維持する事にある。

そのためには、試合運びの甘さなどは早急に改善し、2連勝・3連勝程度で慢心など持たない、強い気持ちを持ったチームに昇華しなければならない。

そして、それを要求し続けるのは、私たちサポーターの仕事であり、役目である。

今節も、大勢の仙台サポーターがNDスタに詰め掛ける事だろう。微力ながら筆者も、現地で選手を後押ししたい。

絶対に、勝って帰仙する。
そのためには、天童の泥水でも雑草でも、何でも喰らって、必死に選手を鼓舞する。

みなさん「闘い」に行きましょう!




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