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前節終了後の各局のスポーツニュースや、スポーツ紙面上で飛び交ったフレーズ。
「J1仙台、リーグ唯一の無敗チームに」
第12節の終了時点で、仙台が今だ負け無しで推移した結果を受けてのものだが、正直、胸を張って「無敗チーム」と言えるほどの強さは、仙台にはまだ無い。あくまでも、7試合を消化した時点での数字的な状況に過ぎず、決して驕る事なく、粛々とリーグ戦を戦い抜くのみ、である。
それにしても、今季の「対戦カードの妙」には、いちいち驚かされる。前回ホームの対戦節(第11節)では、仙台を含め、首位~6位までのチームの直接対決が組まれていたのだが、今節もなんと、首位・柏 vs 4位・神戸、そして、2位・仙台 vs 3位・横浜FM という対戦カードとなった。
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ところで、毎節、各地で息を飲むような展開の続いているリーグ戦だが、今節の横浜FM戦で、5月までの対戦カードを消化し、いよいよ6月に突入する。6月の仙台の対戦スケジュールを見ると、6月の全6戦中、今季ナビスコカップの試合が1試合開催(アウェイ・柏戦)される事に加えて、仙台のホーム開催の試合が2試合しかないのだが、その2試合とも、なんと「平日の13:00」開催。ユアスタの照明設備の復旧工事完了が7月にずれ込む関係で、やむを得ない日程となってしまった。
つまり、大部分の仙台サポーターが、6月はユアスタでの試合生観戦が難しい状況なのである。それでは尚更、今節の横浜FM戦を、大事に戦わなければならない。
だが、今節の対戦相手となる横浜FMは、現在3位に付けており、内容をみても、絶好調そのもの。今節も、決して楽な展開にはならないものと予想される。
ただ、現在の横浜FMの好調を支えているのは、実は「7試合で16得点という数字から伺う攻撃力の高さ」だけが要因ではない。それに加えて、栗原勇蔵と元日本代表の中沢祐二とで構成するセンターバックを中心とした守備陣の存在も大きく、今季消化済みの7試合中、3試合で無失点試合を達成。その3試合は全て得点を挙げて勝利しており、それが現在の横浜FMの好調の原動力となっている。この点については、得点力の差こそあれ、仙台と非常に良く似ていると言えるだろう。
今節を迎えるにあたり、前節の「横浜FM-甲府」の対戦カードをチェックした方も多いと思う。新進気鋭のルーキー小野を欠きながらも、前半だけで甲府から4得点を奪い、前半で勝負を決めてしまった。荒いプレーで、相手選手をガツガツ削る事でも有名な甲府の攻撃陣をいとも簡単にはね除け、その上で、FW大黒の2ゴールを含めた4得点を獲得。
昨年までの横浜FMの低迷ぶりが記憶にある方なら、今季の横浜FMの好調ぶりには目を見張っている事だろう。だが、そんな横浜FMの今季の強さの中にあっても、「脆く崩れ落ちる時」が、実はあるようだ。それは、横浜FMの"前半"に隠れている。
今季の横浜FMの全7失点の内訳を見ると、前半に4失点、後半に3失点。なんと、前半のほうが失点が多いのだ。このうち、後半の3失点中、2点は、試合終盤のPKによる失点である事から、流れの中やセットプレーなどで取られた失点は、前半の4失点と、後半の1失点という事になる。
このうち、「前半の4失点」に注目してみた。
なんと、10節の福岡戦では、FW城後に2失点。そして続く11節の広島戦でも、FW李忠成に2失点。2試合続けて、前半のうちに、同じ選手に2失点を喫しているのである。
この2試合連続での前半での2失点を受け、前節の甲府戦では守備の修正が効いたようで、その前半だけで4得点・無失点を達成し、後半はそのまま逃げ切っての快勝となった。が、筆者の個人的な見解として、横浜FMの「前半での失点癖」は、実は完治していないのでは?と見ている。
そして、更にこれに付け加えたい状況がある。それは、横浜FMは、甲府戦で前半に4得点を挙げるまでの6戦において、前半はたったの2得点しか挙げる事が出来ていないという事実。それなのに、今季既に4勝目を挙げている好調の理由。それこそが、「後半の爆発」にある。
現在まで、横浜FMが後半に挙げた得点は「10」。この数字は、もちろん現時点でリーグトップである。現在、首位にいる柏レイソルの9得点よりも多いのだ。対して、横浜FMの後半の失点を見ると、試合終盤に喫したPKによる2失点を含めての3失点のみ。横浜FMの今季の後半において、流れの中から許した得点は、広島のムジリに対してのみで、これは前掛かりになっていたところに、広島のカウンターを受けてのものである事から、多少は仕方ない面もある。
ここまでの分析を総合し、横浜FMのストロングポイントとウィークポイントをまとめてみると、
ストロングポイント:後半の守備の安定感と、得点力の高さ。
ウィークポイント :最近の前半に見せた守備の不安定要素と、得点力の低さ。
と、なるだろうか。詰まるところ、今季の横浜FMは「後半勝負」のチームなのである。これに加えて、前節の甲府戦では、前半だけで勝負を決めてしまった勢いが加わり、更なる自信を携えて仙台に乗り込んでくる事だろう。
そんな横浜FMを相手に、今節、どのように戦えば良いのだろうか。
ここで、一つの判断材料となるのが「雨の可能性」か。ご存じの通り、現在、台風2号が接近してきており、その影響で、今週の前半の時点で「週末は雨の可能性」と報道されてきた。そしてその雨は、ユアスタの「ボールの止まりやすい、長い芝足」を濡らし、ボールのパススピードを上げてしまう。この事は、素早いパスワークで相手守備陣を切り裂いてゴールを急襲する、横浜FMの得意とする戦術にマッチしてしまうため、できれば、雨は降らない方が良い。
なお、今季の雨天時の勝率は、仙台・横浜FM共に良い事から、もし降られても、決して臆する事はないのだが、前述した「ピッチ上の環境面の問題」から、雨が降らないに越した事はないのである。
そして、この「希望」は、どうやら通りそうだ。今週の前半までに予測されていた、試合当日の「曇り時々雨」の予報は、前日の時点で「曇り」へ変更になった。梅雨前線の動きが変化した事から、試合当日は快晴とは行かないものの、観る側もプレーする側も、雨天に悩まされる事は無さそうである。
その上で、仙台が今節にやるべき事。それは、前節の山形戦と同様に「可能な限り、相手にチャンスメークさせない、全員守備の徹底」にある。それも、特に注意すべきは後半か。
横浜FMの前節の「対甲府戦で、前半だけで4得点」という結果だけを見ると、前半勝負と思われがちだが、それは局所的な見方に過ぎない。もちろん、前半の試合の入りから注意すべきではあるのだが、大方の予想として、堅守をベースとしたチーム同士が対戦する場合、前半は堅い試合展開となり、得点は産まれにくいものだ。
但し、ここで「重要なポイント」がある。前述した通り「横浜FMが最近に喫した、2試合連続の前半2失点」という事実が、今の横浜FMの堅守を突く、一つの材料となるかもしれない。もし、前半のうちに1点でも獲れようものなら、その1点を大事にしつつ、勝負の後半へ突入できる。
そして、90分を通して大事なのは、横浜FMに対し、絶対に、仙台自陣ペナルティエリア内で「仕事をさせない」事だ。特に後半は、前半以上に集中力を試される時間帯となるだろう。
横浜FMの攻撃陣の得点シーンをみると、アタッキングサードにおいて、短くて素早いパスを繋ぎ、相手ディフェンスを切り裂いてゴールを奪う印象が強い。また、一時代の鋭さは無くなったが、フリーキックの場面では、元日本代表・中村俊輔の、精度高いキックにゴールを脅かされる。
いずれにせよ、仙台としては、自陣ゴール前で、横浜FMに対し、簡単に「仕事」をさせないディフェンス力の高さが必要になるが、その点については、過度の心配は不要だろう。というのも、仙台の攻撃陣が繰り出す「前線からの積極的な守備」は、既に、リーグ屈指の強さとなっており、仙台が今季、前半で喫した失点は、僅かに「1」。それも、リーグ再開後のアウェイ川崎戦(4/23)で、37分に川崎の田中裕介に喰らったものであり、そこからはだいぶ時間が経過している事から、仙台は前半での失点を喫しないよう、相当なケアが進んでいるものと思われる。
前半での失点が少ない仙台と、(前節の甲府戦を除けば)前半での得点が少ない横浜FMとの対戦カードにおいて、勝負どころが前半にくる可能性は少ない。但し、横浜FMが、2試合連続で前半に2失点を喫したという経緯を考慮すると、横浜FM側の「前半の守備の穴」を突く事が出来れば、首尾良く、1点リードで試合を折り返す事が出来るかもしれない。いずれにせよ、前半での失点は無いものと見ている。
・・・となると、勝負どころはやはり「後半」という事に。
ここで懸念される事は、「後半に向けての修正力がまだまだ発展途上の仙台」に対して、「後半に向けての修正能力が高い横浜FM」というバーサスか。
仙台は、第11節のホーム磐田戦で、後半に戦い方を変えてきた磐田への対処が間に合わず、後半15分までに2失点を喫してしまった。対して、横浜FMは、第10節のホーム福岡戦では、前半終了間際の得点を含め、後半に修正が効き、更に2得点を加えて3-2と福岡を逆転で下している。
この試合、どこからどう考えても、勝負ポイントが「後半」に集中している事が判る。もし、首尾良く前半のうちに先制点を得て、リードで前半を折り返したとしても、そこで試合は終わらない。むしろ、0-0でハーフタイムを迎えるよりも、1-0でリードした場面で迎えたほうが、後半の試合は、お互いにとって、より難しいものになるだろう。
ただ、そんな中でも救われるのは、当日の気候が涼しい中で行われる可能性が高いという事。90分を通した運動量の差では、おそらく仙台に軍配が上がる。その運動量を活かした守備で、前半も後半も、横浜FMの攻撃陣を中盤で釘付けにし、自陣に極力ボールを入れさせないようにすれば、横浜FMは、勝利のために為す術を失う。大黒のニアへの飛び込みも、中村俊輔の精度高いFKも、そしてこの試合で復帰が見込まれる、新進気鋭の小野のドリブル突破も。全ての「個の能力」が、宝の持ち腐れになるのだ。
いずれにせよ、仙台がこの試合に勝利を収めるためには、これまでの7戦以上に、高い集中力と組織力を発揮できるかどうかだ。当然、その中には、詰まらないミスをしないという事も含まれている。
ところで、この試合に向け、各所で富に囁かれているのが、横浜FMの監督・木村和司氏の「ちゃぶる」ネタである。
「仙台の無敗」をちゃぶるつもりで乗り込んで来る事に加えて、横浜FMの選手は今週、クラブハウスの食堂で、横浜「大勝軒」のつけめんを食したそうな。
「大勝」の名に肖ったのかものかどうかは判らないが、それならば、仙台にも勝負ネタの食品があるのをご存じか。
それが、太白区・長町の"蛸屋"にて販売されている「全勝餅」である。戦時の出征において、出兵する兵士の前途を祝して名付けられたもので、当時もこれで本当に戦果を挙げた事から、受験や試合など、勝負事の験担ぎに、買って食べる仙台人も少なくはないだろう。
この一戦は、決して「大勝軒 vs 全勝餅」の食べ物対決ではないのだが、前節に大量得点を挙げた横浜FMが「大勝」を掲げるのに対し、今季ここまで無敗の仙台が「全勝(負け無しの意で)」を掲げ、いざ、勝負?
いずれにせよこの一戦は、餅のように粘っこく戦い抜いたほうが、勝利を手にする事だろう。そして、この勝負に勝った暁には、是非とも、久しぶりに全勝餅を買って食べたいものだ。
横浜FMのみなさん。是非、「ちゃぶられる気分」をご堪能頂きたい-。
■速報コメント/関口選手、日本代表に選出!
本日(5/27)、関口選手が 6/1 ~ 6/7 のキリンカップのメンバーとして、FW登録で日本代表に選出されました。今季はまだ得点こそありませんが、関口の豊富な運動量と突破力を併せ持つスピードは、絶対に代表でも通用するはずです。仙台サポーターとしても、嬉しい限りですね。僅か2試合の大会ですが、ゴールやアシストなども含めて、大きな活躍に期待しています。
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