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2015年5月アーカイブ

 「技ありゴール」とは、まさにこういうシーンで使うフレーズだろう。前半33分、ウイルソンからのメッセージ性の高いラストパスを、敵陣ペナルティエリア内で、神戸ゴールを背にして受けた金園。相手ディフェンダーを後方に背負う不利な体勢だったが、うまくボールをトラップし、体を左に回転させたかと思うと、そこから右足一閃。放ったシュートは、角度の無いところからもしっかりと枠を捉え、神戸ゴールのど真ん中に、豪快に突き刺さった。

 気が付けば、前期優勝争いも佳境を迎え、あと4試合で決着。だがこちら(仙台)は、優勝争いどころか、残留争いの渦中に、その膝下を、ドップリと浸してしまっている。新潟戦の完勝によって、ようやくそこからの「脱出口」が見えてきたと思っていたら、前節甲府戦にて、まさかのシュート数僅か3本での無得点敗戦を喫し、仙台の残留争いは、一進一退の様相となっている。

 考えてみれば、J1在籍でないと参戦出来ないナビスコカップにおいて、山形との「カップ戦みちのくダービー」は初開催だった。だが、ミッドウィークに開催が集中するナビスコカップ予選であるが故に、スタジアムの集客はその出足が鈍く、公式発表ベースで8,030人。それでも、ダービーでは負けたくないのがサポーター心情なのだが、今ひとつチーム状態が波に乗り切れていない仙台は、リーグ甲府戦に続き、この一戦も落としてしまった。

 もはや、試合経過を振り返る事すら憚られる。あまりに酷い内容で、試合経過を振り返っても、何の得も見出せないからだ。

 
このチームはいったい、何度、同じ過ちを繰り返すつもりなのか-。

 前節、ようやくリーグ戦8試合ぶりの勝利を挙げた仙台。しばらく不相性だった新潟を相手に、よくぞ無失点で、勝ち点3を持ち帰って来てくれた。奥埜とキム・ミンテの2戦連発弾も飛び出し、ようやく、仙台の中盤の得点力が目を覚ました、と言える状況へ昇華したと思っている。

 戦前、新潟レオ・シルバの緊急離日に加えて、新潟エースストライカーのラファエル・シルバまでが欠場濃厚との報に、喜ぶどころか、逆説的に「ピンチ感」すら覚えた今節。相手チームの主力欠場の穴を突く狡猾さに乏しい仙台は、これまで何度も、逆に相手チームに芽生える「出場できない選手の分まで頑張る」モチベーションに圧倒され、額面通りの結果を出せずに苦しんできた。

 現在、辛くも15位を維持し、降格圏への転落をギリギリ免れている仙台。今節は、順位では下の17位に居る、新潟とのアウェイマッチとなる。

 一晩を置いても、未だ興奮冷めやらない-。

 
それだけ、この一戦は凄まじかった。J1前期第11節、ホーム浦和戦は、壮絶な撃ち合いの末に4-4となり、戦前にはとても予想出来なかったハイスコアドローでの終劇となった。

 リーグ戦の第5節が終了した時点で、2勝3分の無敗とし、4位に付けていた仙台。だが、そこからの5連敗で、順位は15位にまで急降下。ナビスコカップを含めても、公式戦8試合で勝利がない。完全に、J1の「蚊帳の外」に追いやられてしまった感を否定できない仙台は、前節のFC東京戦でも、終盤に2得点と追い上げたものの、3点目に届かずに敗戦。

 リーグ4連敗で迎えた、ホームFC東京戦。ホームでは、相変わらず良い試合の入りが出来ており、この試合でも、やはり良い入り方の中から、チャンスメークを繰り返した仙台だった。

 リーグ戦4連敗、公式戦5連敗と、苦しい戦いを強いられている仙台だが、連戦は待ってくれない。しかもここからの2戦は、ホーム連戦のアドバンテージがあるとはいえ、現在2位のFC東京と、現在首位の浦和との上位対戦が続く。

 もはや、今季のスローガンである「挽回」というキーワードを口にする事さえ憚られる様な、あまりにも情けない負け方で4連敗を喫した仙台。またもアウェイの地での敗戦を喫し、これで、アウェイ未勝利は15に記録を更新。丸々1年間、アウェイで勝てない事が確実となった。

 開幕からのリーグ戦5試合を無敗としながら、その後に3連敗と低空飛行を続ける仙台。だが、GW連戦の真っ直中では、問題点を見直す時間も、それを修正する時間も限られる。連敗脱出という "結果" が欲しい仙台にとって、今節の相手となる広島は非常にやっかいな相手だ。