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2015年4月アーカイブ

 試合前にウイルソンの先発復帰が報じられたとき、ある程度は攻撃の組み立てが巧くいくであろう事は予想できた。だが、実際に前半のピッチ上で繰り広げられたのは、ウイルソンに限らず「勝ちたい」という気持ちに満ち溢れた、仙台の選手たちの躍動だった。

 まだGWの入り口だと言うのに、初夏を思わせるような陽気。夏日を記録する地域が続出し、Jリーグの開催地とその開催タイミングによっては、暑さとの戦いを強いられる試合も出て来た。

 筆者、久しぶりのアウェイ遠征。仙台から片道500kmを越える高速道路の路程を、長野県に向けて進むにつれ、次第に眼前に広がり始める、風光明媚な山岳風景。地元の方々にとっては「いつもの風景」でも、初めて訪れる者にとっては「絶景」である。

 ここ数年、いわゆる「新顔チーム」との初対戦が無かった仙台だが、今節の松本山雅戦にて、それが久々に実現する。過去、一度も対戦した事のない相手。だがその躍進ぶりは、各メディアにて嫌というほど取り上げられ、観るともなしに、目に耳に情報が飛び込んでくる。

 前半36分。清水1-1仙台。

 前半28分。仙台1-0川崎。

 
川崎ゴール前の混戦から、ウイルソンが「何もせずに」その嗅覚だけで決めてみせたゴール。幸先良く決まった先制点に、ユアスタが沸いた。その直後の32分には、今度はそのウイルソンからの縦パスに反応した奥埜が、川崎GK西部と1対1になり決定機を迎えるも、シュートは西部の右足に当たってしまう。が、追加点への期待感が次第に増してくる。

 前節、順位を2位タイから4位に落とした仙台だが、リーグ戦では未だ無敗を継続。堅守をベースに無敗を勝ち取ってきた仙台の今節の相手は、今季既に2桁得点の10点を記録し、その自慢の攻撃スタイルを貫く川崎だ。昨年まで仙台に在籍の角田が移籍し、今節は角田の迎撃戦という意味合いも含んでの一戦となる。

 「あと1分!」

 
後半22分の鎌田の先制スーパーボレー弾で先制点を挙げ、1点先行で迎えた後半のアディショナルタイム3分。その2分を過ぎようとしていたとき、自陣でのクリアボールを拾われ、それを豪快に叩き込まれてしまい、悔しいドローで終わった仙台。

 ミッドウィークのカップ戦を消化し、中3日で迎えるリーグ戦。今節の相手となる横浜FMとの対戦の時期が来ると、毎年のように、「日産スタジアムでは負けていない」という過去データを再確認する事になる。J1昇格後、2010年から2014年までの5年間で、過去5回、日産スタジアムで横浜FMとの対戦があったが、その戦績は、仙台の4勝1分無敗。しかも、このスタジアムでは、過去に喫した失点は、僅かに「1」しかない。その試合も、3得点での快勝だった(2011年の第27節)。

 この時期は、「三寒四温」の四字熟語でもよく表現されるように、やっと暖かくなったと思ったら、急に寒の戻りに見舞われるなど、寒暖差の大きくなる時期でもある。それを思い出させるかのように、この日、仙台地方を襲ったのは、まさしく「寒の戻り」だった。

 掲示された、後半アディショナルタイムは4分。それを優に過ぎる95分に、仙台の決勝弾が記録された-。

 2013年の天皇杯。敵地で初めて、清水を下した。

2014年のリーグ戦。敵地では敗れるものの、ホームでは初の対清水戦勝利を挙げた。