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2009年3月アーカイブ

「オン・ターゲット」。

このフレーズは、今節のスカパー実況を担当してくれた、下田恒幸氏(元仙台放送)が好んで使うものだ。選手の打ったシュートが、枠を捉えていたかどうかを端的に表現したものでり、非常に判りやすい。このフレーズに限らず、彼の実況は個人的にも大変好きであり、ベガルタの試合の実況は全て彼にやって頂きたいくらいなのであるが、今節、久しぶりに彼の実況でスカパーの試合中継を見られる事になり、大変嬉しく思った。

1週間で3連戦のも過密日程も、この試合で一段落。だが日程を気にする以前に、4試合も消化した時点において、チーム全体で2得点しか奪えていない状況に、大いなる憂いを感じているのは筆者だけでは無いだろう。

守備が堅い事は良いことだ。だが、それだけでは勝てないのがサッカーである。唯一の2得点の試合は、辛くも無失点で乗り切り、ここまで2勝をあげている。が、反面、無得点に終わった岡山戦、そして前節甲府戦は、当然ながら勝利を逸し、内容に関係なく「決定力の無さ」を露呈した格好で、ここまで推移している。

この試合後、サポーター・監督コメントも含め、一様に聞かれる言葉。

「内容は良かった。」

だが、昇格争いのライバルであるC大阪や湘南が、きっちりと4連勝を収め、もう既に昇格争いを一歩抜け出そうとしている。今節、なんとしてでも勝ち点3を積み上げなければならなかった試合であった。

ただでさえ、一週間で3試合という過酷な日程の中日である事に加え、この試合はキャプテン・梁の負傷離脱濃厚である事や、試合当日に限って、なぜか降雪の予報となっている、宮城県仙台地方。

ヘレン・ケラーとまでは言わないも、過密日程の件を含めればなんと3重苦となってしまいそうなこの状況においても、リーグ戦は粛々と行われる。

そこに見られた光景は、岡山戦の内容とは打って変わった、「積極的な攻めの姿勢」を貫いた選手たちの躍動であった-。

得点のシーンは前半15分。札幌戦に続く、梁のCKからのセットプレー弾。「エリゼウとはアイコンタクトがとれていた(梁選手)」との言葉の通り、右CKから放り込んだ梁のセンタリングは、エリゼウの頭がこれをドンピシャで捉え、豪快に地面を叩き付けてゴールに吸い込まれる。

ようやく迎えた、ホーム開幕戦。相手はサガン鳥栖。またこの試合は、今季・宮城スタジアムでの初開催試合でもあり、試合の結果のみならず、運営面の課題がどの程度改善されているのかを推し量る「試金石」でもある。
ここまでの2試合を振り返れば、得点こそ「合計1得点」と奮わないものの、安定した守備で無失点を継続中。やはりエリゼウの加入は大きく、札幌戦・岡山戦では、何度も自陣ゴール前での見事なブロックを披露。また、エリゼウの安定性のおかげで、ペアを組む渡辺広大は、その持ち味でもある「当たりの強さ」を如何なく発揮できている。

悪癖、再発-。

そう言われても仕方のない、なんとも期待感の無い攻撃であった。
決定力。それは、決して仙台に限らず、全てのJリーグのチーム(ひいては世界中のサッカーチーム)が抱える問題ではあるのだが、他のチームはさておき、仙台を前提とした場合のそれは、今節に限って言えば「無策に近い攻撃オプション」と言わざるを得ない内容であった。

第1節に続き、アウェーの戦いが続く。今度はJ2初見参のファジアーノ岡山。因みに「ファジアーノ」とは、イタリア語で雉(キジ)を意味し、岡山県の県鳥でもあるそうだ。なるほど、「桃太郎スアジアム」にチーム名はキジですか。妙に納得。

・・・と、そんなお話はどうでもよく、肝心なのは、「引いて守ってきそうな相手をどう崩すか」である。

待ちに待った、開幕戦。現地に赴く者、PV会場に足を運ぶ者、自宅でTV観戦する者、ラジオ実況に耳を傾ける者-。

皆が勝利を伝える主審のジャッジと同時に、その喜びを、選手と共に爆発させた。2009年J2リーグ開幕戦、1-0勝利。

その試合内容は、最少得点勝利ではあったものの、お互いが好機を演出し、ともすれば撃ち合いになっていてもおかしくない、激しく攻め立て合うものであった。

もはや、「今年もダメでした」は通用しない。

他のチームに比べ、戦力・キャンプの出来・開幕直前に地元に帰って調整できる余裕など、ほぼ全てにおいて望ましい状況下で開幕を迎える、我らがベガルタ。もうこうなると、相手がどうのこうのではなく、昇格の可否は、自分たちのサッカーをどこまで貫き通す事ができるか?という点に掛かってくるだろう。

逆を言えば、それが出来なかった時、今季末には大変な事態が待ち受けている。今度こそ、梁・関口は移籍をしてしまうだろうし、他の有力選手も離仙の危険性がある。そうなると、またチームを作り直さねばならない。

だが、そんな心配を開幕前からしても仕方ない。ネガティブな発想はこのくらいにしておいて、前を見る事にしよう。

長く感じるようで、案外短かった、シーズンオフ。それも、あと一週間弱で終わりを告げ、あの「興奮」にこの身を委ねる季節が到来する。

Jリーグ、今季開幕。

昨年の入れ替え戦の結果を受け、不本意ながら今季も戦いの主戦場はJ2ではあるが、近年稀に見るチームの完成度を受け、「間違いなくJ1昇格候補の一角」と、他からは目されている存在である。