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2009年7月アーカイブ

ホームで劇的なロスタイム弾勝利を飾っておきながら、直後の試合で真逆の展開を強いられてしまい、思うように勝ち星を伸ばせないでいる仙台。だが、苦しいのはC大阪も湘南も同じで、ここしばらく、昇格圏内のチームは毎節のように下位チームに勝ち点を奪われる展開で推移している。

「絶対に許してはいけない、勝ち点3」

そういう試合が、年に何回か訪れる。勝てば上位進出とか、負ければ昇格圏から脱落とか。しかも、後半ロスタイムで、あと何分もない状況の中、相手の「勝ちたい気持ち」に圧され、ほんの僅かな隙を突かれて、ドローや敗戦を喫し、順位の後退を余儀なくされる-。

前節、中原の劇的なヘッド2発で首位・湘南を沈めた激闘から、僅か中3日。あの興奮冷めやらぬうちに、もう次の対戦がやってくる。本当にJ2というリーグは、余韻を楽しませてくれない、過酷なリーグである。

あまりにも、あまりにも劇的過ぎる展開-。

この「非日常的体験」こそが、ユアスタ劇場と言われる所以である。1点ビハインド、後半残り10分から、中原の奇跡的なヘッド2発による逆転勝利。

今季開幕前、手倉森監督が公言した、今季の目標設定。「昨年の悔しさを晴らすためには、完全昇格しかない。J2で優勝して昇格する-」

もし、今節の対戦を落とすような事があれば、この目標は、ほぼ可能性が潰えるだろう。もちろん、今季の残り試合数が20以上残っている事を考えれば、決して可能性はゼロではない。

鳥栖は、鳥栖らしく。自分たちの持ち味を存分に発揮し、正々堂々と戦いを挑んできた。

それに対峙した、仙台。数こそ少なかったものの、前半のうちにFW中島・中原にそれぞれ訪れた決定機を共にモノに出来ず、梁のFK弾以外に良いところなく、敢え無く敗戦となった。

2位との勝ち点差が2。4位との勝ち点差も2。そして、2位・C大阪と4位・甲府との直接対決もある今節。

これがどういう意味を持っているか、このプレビューを読んで頂いている方なら、詳しい説明の必要もないだろう。そう、勝てば2位躍進もしくは4位との差を大きく出来、逆に負ければ4位陥落もあるという、非常に怖い状況なのだ。

今節の上位陣他会場の結果を見る限り、今節の勝利がどれだけ大きい意味を持つかは、昇格争いの渦中に居る我々サポーターならば、誰しもが痛感しているはずだ。

試合前日までに、関口の腰の問題に加え、菅井の足の不調まで露わになった仙台。最悪、この2名の欠場をも覚悟し、4-3-3布陣の採用すら考えざるを得なかった状況の中、当日の試合2時間前に発表になったスタメンには、なんと関口・菅井の両名の名前があった。

勝てないチームを、「関口負傷離脱」という緊急事態が、覆い被さるように襲い掛かってきた。

聞くところによれば、10日の練習で関口が腰をやってしまい、富山戦の出場は難しい様相。只でさえソアレスと朴柱成の復帰が待たれる状況に、この「仕打ち」は堪らない-。

せっかくのユアスタ開幕戦だったが、試合は「同じ過ちを繰り返す」チームの成長の無さの前に、3戦連続ドローという結果に終わった。
長いリーグ戦も、この節より後半戦へ突入。昇格へ向けた気持ちを新たに、いざ折り返しの戦いへ臨みたいところであるが、その「気持ちを新たにする」ために、充分過ぎるほどの材料が揃っている今節である。
ベガルタサポーターならずとも、この試合がどれだけ「サッカーの試合」として面白かったかは、この試合を見たものには言葉を必要としないくらい、気持ちの入った、素晴らしい内容であった。

宮スタ開催の日程を終え、いよいよリーグ戦も後半に突入。全51試合のうち、この節を以て、ちょうど折り返しとなる。

気が付けば、首位から4位までが抜け出し、5位の徳島と4位の甲府の勝ち点差は10も離れている。長いリーグ戦の折り返しを迎えるにあたり、昇格争いの渦中に充分留まっているこの状況が、なんとも嬉しく感じる。