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2013年8月アーカイブ

 前節の梁の復活ゴールは、ここから始まる仙台の"秋の勝ち点争奪合戦"参戦の狼煙と思いたい。毎年、夏場の成績が伸び悩む仙台という話は、もう耳にタコが出来るほど聞き飽きた話だとは思う。それでも今季は、7月・8月の成績としては過去最高のものを記録した。決して、成長出来ていない訳ではない。

 前半23分。後方からボール持って上がった梁は、ウイルソンへボールを預けると、そのままC大阪の最終ラインへ侵入。そこへウイルソンから、結果的に「ワン・ツー」の形で、絶妙のスルーパスが送り込まれた。これを受けた梁、相手DF2枚を落ち着いてかわし、最後は、相手GKとゴールポストの僅かな軌道を、しっかりと捉えるシュートを放ち、待望の先制弾が決まった。

 Jリーグと日本代表を股に掛けて、いま、一番ノリにノっている選手だろう。FW柿谷曜一朗。早くからその能力を見出され、C大阪に入団したものの、素行の問題から、一時期はJ2徳島に預けられる形で修行を積んできた。その後のC大阪復帰以降の活躍は、日本代表へ初選出された事も含めて、誰しもが知るところである。

 降雨の中で迎えたアウェイ鳥栖戦。仙台の攻撃は単調で、かつ、精度も迫力もなく、鳥栖ゴールを脅かした数は限定的。撃ったシュートは、尽く枠を外れ、今季初の連勝を狙う鳥栖の前に、正直、何もする事が出来なかった。

 処暑を迎え、少しづつではあるが、夏の暑さが抜け始めた感もある東北地方。だが、今節の対戦の地である九州・佐賀県は、まだまだ暑さの最中にある様子。気候は暑いが、順位はお寒いところに留まっている鳥栖が、今節の相手となる。

 
その鳥栖は、現在、J1得点ランク3位タイの14得点を挙げているFW豊田陽平を擁していながら、現在、14位に沈んでいる。それもそのはずで、リーグ戦ここまでの失点が47。現在、降格圏に沈む、湘南・磐田・大分よりも多いのだ。本来であれば、その降格圏に鳥栖が沈んでいてもおかしくない失点の多さなのだが、それを、ギリギリのところで沈まずに我慢できているその理由が、得点源・豊田の存在なのだろう。

 勝利という結果にこそ繋がらなかったが、その可能性は充分にあり、夏場の戦いであることや、主力選手に負傷者が続出していることを考えれば、充分に納得・満足できる内容の試合だったのではないか。きっと、そのように思われている諸氏も多いと思う。

 
J1第21節、柏-仙台の一戦は、最後までお互いに得点が動く事はなく、スコアレスドローに終わっている。アウェイの立場で臨んだ仙台は、立ち上がりこそ柏の攻撃の圧力に押されて苦しい展開を余儀なくされたが、時間の経過と共に、試合運びに落ち着きが産まれ、柏の攻撃を狙い通りに寸断できるようになってきた。

 誰しもが、「仙台、苦手の夏場に3連勝中」というステータスをみれば、チーム状況が好調で、とうとう夏場の戦い方を克服したのだろうか、と思いたくもなる。

 
だが実際は、そんな「理想」からは掛け離れた状況にある。主力メンバーの多くが負傷で戦線離脱し、従来であれば、それに比例するように、成績は低迷してもおかしくない状況。しかしそこを、歯を食い縛って支えているのは、控え陣選手の台頭と活躍である。

 ウイルソンに、武藤に、菅井が欠場。しかも、開始僅か12分で、梁が早々に負傷交代-。

 
こんな試合の「入り」で、いったい誰が、こんな逆転劇を想像出来ただろうか。J1第20節、仙台-鹿島の一戦は、鹿島・中村に先制点を許す苦しい状況の中、後半の逆転劇で、仙台が見事に3連勝を収めた。

 ウイルソン、武藤、菅井が別メニュー調整-。

 
今週の練習にて、こんな衝撃的な状況である事が明らかになった。実際に、今節の試合に出場可能かどうかは、当日のオーダー発表を受けてみないと判らないが、ウイルソンについては、前節に負傷退場した際の捻挫の影響がまだ残っている様子で、捻挫で済んだとはいえ、必ずしも万全では無い様子。先発回避の可能性は棄てきれない状況にある。

 一言で言えば、心臓に悪い試合-。

 
それだけ、試合終盤に向けて川崎の猛攻を受け続けた一戦だった。川崎の攻撃力の高さ・凄さは、今季3度の対戦で、充分に判っていた。応援する者にとっても、身に染みて感じていた。果たして、今日こそ勝てるのか。目下、リーグ戦ではせいぜい1得点止まりの仙台が、現在、最多39得点を挙げている川崎を相手に、果たして勝てるのか。誰しもが、半信半疑の中で迎えた一戦だったに違いない。

 今節の対戦相手となる川崎は、直近のリーグ戦10試合で、7勝1分2敗。それより以前の、開幕からの8試合の成績が、1勝3分4敗だったのだから、如何に、川崎が急激な復調をみせて来たかが良く判る。

 
しかも、この「1勝3分4敗」のうちの「1勝」は、仙台から挙げたもの。敵地で4失点を喫した、あの一戦から、川崎は急激に復調を遂げ、現在は勝ち点28の7位と躍進している。つまり、現在の川崎の復調は、仙台がアシストしたものだと言われても、反論できないのだ。

 そのゴールは、甲府のブ厚いディフェンス網の隙間をかいくぐるような、絶妙のスルーパスを放った武藤が起点となった-。

 
前半21分。この日はボランチの位置でスタートした梁から、前線のバイタルエリアに居た武藤へパスが通る。これを受けた武藤、前を向いてタイミングを測り、ウイルソンが斜めに走り出したのと同期するように、絶妙なスルーパスを、甲府ディフェンスラインの"編み目の間"へ供給。これを受けたウイルソンは、張り付く甲府の守備陣をものともせず、そのまま振り切ってシュート。ウイルソンから放たれたボールは、甲府の選手の股を抜き、GKの虚を突くような軌道で、甲府ゴールの右隅へ転がり込んだ。